昨秋もJCダートを制すなど、日本ではお馴染みの存在として知られるクリストフ・ルメール騎手。欧州競馬の本場であるフランスを拠点に、長きにわたって世界的なトップジョッキーとして活躍を続けてきながら、来年度のJRA騎手試験の受験を表明したことには、日本のファンのみならず、東西サークルにも大きな驚きを呼んだ。10.1、運命の受験を目前に控えた今、日本移籍を決意した、その胸中に迫った。

JRA受験に懸ける思い

-:10月1日に行われるJRA外国人騎手通年免許1次試験の受験を表明されています。

クリストフ・ルメール騎手:英語で行われる筆記試験に備え、日本競馬の法規の勉強を続けています。2次で必要となる日本語の面接の対策としては、シャンティー在住の日本語教師にお願いして、個別のレッスンを受けています。10月の試験前後の日程は未定ですが、フランスから日本へとんぼ返りするようになると思います。

-:母国の競馬が窮地にあるM・デムーロ騎手には明確な志望動機がありましたが、フランスを拠点とするルメール騎手の受験には驚かされました。どのような動機がありましたか?

ル:ボクにとって日本は第2の故郷です。日本での騎乗は2002年から13年間毎年続けています。日本競馬はハイレベルで日本人ホースマンはプロフェッショナル。JRAが門戸を開き外国人騎手への通年免許制度を創設してくれたのなら、それにトライしてみるのはボクにとって自然なことです。もちろん、アガカーン殿下との契約を打ち切られたことなどのタイミングもありますが、年齢的にも新たな挑戦をしてみようと考えました。


「(JRA受験に)妻やフランスのエージェントもみんな応援してくれています。周りにマイナスの意見はひとつもありませんよ」


-:大きな決断だったと思いますが、ご家族など周囲の反応はいかがでしたか。

ル:妻やフランスのエージェントもみんな応援してくれています。周りにマイナスの意見はひとつもありませんよ。

-:アガカーン殿下の主戦は2010年から4年間務めました。英米仏で9つのGⅠを制しましたが、残念ながら昨年限りで契約解除となりました。

ル:契約を打ち切られてしまったことは残念で、もちろん悔しくもありますが、今はいい経験をさせてもらったと前向きに捉えています。実際4年間の本当に素晴らしい時間を過ごしました。フランス競馬界において、あの緑色の勝負服に袖を通すことは最大の名誉のひとつです。降板したことによって誰かを恨んだりなども一切していませんし、素晴らしい経験になったと思っています。

-:イタリアのM・デムーロ騎手と連絡を取り合ったりはされていますか?

ル:冬で一緒に日本で騎乗した際に、試験場の雰囲気であるとか、いくつかのことを教えてもらいました。でも、それからは特に話をしたりはしていません。

クリストフ・ルメール騎手

日本馬のライバルに!?凱旋門賞を占う

-:JRA移籍が実現すれば、当然リーディング争いも期待されると思います。そうしたことは意識されますか?

ル:シーズンオフのあるフランスとは異なり、年間を通じてすべての騎手が同じ週末を戦う日本のリーディング争いは非常にフェアだと思います。でも、リーディング自体はそれほど意識していません。大切なのは目の前の一鞍ずつを丁寧に乗って、関係者の信頼を勝ち取り、ひとつのレースを次のレースにつなげることです。そのために、レースに向かうまでの集中力や心身のコンディション作りを怠りたくないと考えています。

-:9月14日の前哨戦も終わり、凱旋門賞が近づいてきました。今年は日本のGⅠ馬が3頭出走を予定しています。レースの展望をお願いします。

ル:凱旋門賞は色々な路線から強い馬たちが集結するレース。だからこそ面白いし、難しいレースです。日本馬は勝つ資質を備えていますし、チャンスだと思いますよ。

クリストフ・ルメール騎手

-:ルメール騎手自身の今年の騎乗馬は決まっていますか?

ル:正式な騎乗依頼はいただいていないのではっきりとは言えません。ニエル賞2着のテレテキストは来年に備えて無理はさせず、凱旋門賞に向かわないと聞いています。

-:サンクルー大賞典で1位入線した(禁止薬物検出で後に失格処分)スピリットジム(牡4、仏・P.バリー厩舎)はいかがでしょうか?

ル:今年は一年間難しいシーズンになることを覚悟していたので、6月のサンクルー大賞典は嬉しい勝利でした。先日のフォワ賞は3着でしたが、休み明けとしては悪くないレースでしたよ。馬場も彼にとっては硬すぎましたし、よく走っています。凱旋門賞は上位争いできるはずです。

-:最後にファンの方へのメッセージをお願いします。

ル:いつも応援ありがとうございます。ボク自身のキャリアにとってJRA受験は年齢的にも騎手人生の大きなターニングポイントです。合格すればダービーを筆頭とした日本のクラシック競走にも騎乗できるわけですから、このチャレンジにワクワクしています。もうすぐ競馬場でいつでも会えるようになるかもしれませんので、楽しみに待っていてください!