トライアルの中でも最もメンバーが揃っていた感があるスプリングSで4着に敗れたベルーフだが、気性的に難しい面がある馬でもあり、京成杯勝ちの舞台に戻ればまだまだ見限ることはできない。騎手の交代やブリンカー装着など、かみ合えば武器になるスパイスは穴党ならずとも気になるところ。競馬ラボ初登場となる岩澤一詩調教助手に、巻き返しに向けての手応えを伺ってきた。

ハービンジャーの初年度代表産駒

-:皐月賞に出走するベルーフ(牡3、栗東・池江寿厩舎)ですが、ハービンジャーの初年度産駒で母がステイゴールドの妹・レクレドールということで超良血馬ですね。

岩澤一詩調教助手:そうですね。ただ、ハービンジャー産駒の評価をどうとるかにもよりますよね(笑)。

-:まだ初年度ですからね。皐月賞に出てくるのはこの馬だけになります。

岩:う~ん、3歳になってからは少し勢いが良くないですね。

-:ハービンジャー自体、現役時代はキングジョージ6世&クイーンエリザベスSで11馬身差でちぎった訳ですが、その血が入ったベルーフを最初に見た印象はいかがでしたか?

岩:兄弟とは違うなと思いました。僕は兄のクリューサオールクラージュドールにも少し関わりましたが、キンカメ(キングカメハメハ)を付けたからかゴツイ体で出てきたのです。それに比べてベルーフはコンパクトだなと思いましたね。

-:実物のハービンジャーは結構コンパクトでしたから、その辺りは父の影響が出ているのかもしれませんね。個人的には胴が詰まり気味でコンパクトにまとまっているのがハービンジャーの良さだとは思っています。

岩:そうなんですか。ただ、周りが言っていたハービンジャーの特徴には当てはまっていなかったと思います。周囲は「賢い、素直」といったイメージを持っていました。しかし、当初からそのようなことはなかったのですよ。

ベルーフ

▲ベルーフの可能性を語る岩澤調教助手


-:この先どうなってしまうんだろうかと。

岩:僕はお母さんのことはよく分からないのですが、世間で言われているハービンジャーのイメージとは違うなと思っていました。デビュー戦から(川田)将雅も怖そうでしたよ。バーっと引っ張っていきますから。

-:そういった危ういところがあると。

岩:最初はそうでしたね。

-:牧場の方に聞いたらサンデーサイレンスとの配合で走るということが分かってきたそうで、それはデータにも出ているみたいです。その中でも走っている馬を取材していますと“悪いやつ”が走っている印象があります。

岩:そういうデータがあるのですか。しかし、最近は悪くなりすぎて走らない馬も多いですね。

-:走らないというよりはムラがあるのかもしれません。悪さをしたり、というのはあるのですか?

岩:人に対してはないですね。物音に凄く敏感であったり、ずっと同じ所を見ていたりと。それに当初、追い切りをした時はだいぶ動いたのですが、次にやった時は止まりませんでした。今から始めようとする馬について行こうとしていました。最近はそういったことがなくなりましたね。故にデビュー前が攻め馬は一番動きましたよ。段々と攻め馬では本気で走らなくなってきましたからね。

ベルーフ

騎手交代でブリンカー着用

-:前走のスプリングSでは4コーナーから内をキレイにまわってきましたね。

岩:ええ、勝ったかと思いましたね。

-:もう少しで勝ったキタサンブラックを捉えるかのような手応えでしたが、あまり伸び切れませんでした。そこは気性の難しさが出たのでしょうか?

岩:将雅が言うには突き抜けるぐらいの感触はあったそうです。ただ、「そこから馬が急に止めてしまった。勝手に止めてしまった」と。よく見てみますと、右側を見ながら変な格好をして走っていました。僕はそれが原因なのかなと思ったのですが、ステッキもほとんど入れていないと思いますよ。

-:それでいて4着に入った訳ですね。

岩:能力で負けたわけではないと思いますね。気性の分で負けてしまったレースです。

ベルーフ

ベルーフ

4/9(木)、CWコースで併せ馬を行ったベルーフ(内)
一杯に追われて83.3-67.8-53.2-38.7-11.9秒をマークした


-:そのレースを終え、切り替えて皐月賞に向かうわけですが、今日(4/8)の1週前追い切りの動きはいかがでしたか?戸崎騎手が騎乗し、3頭併せの真ん中で、後ろにはルメール騎手が乗ったサトノアラジンがいましたが。

岩:サトノアラジンは攻め馬で凄く動きますからね。ベルーフは正直あまり見えなかったのです。戸崎さんは「真面目に走っていたよ」とは言っていました。ただし、抜け出していないのでね。抜け出してから止めることが多いです。前走の時も最終追い切りで併せていた2頭を1馬身ぐらい突き抜けてから止めてしまって、最後は差し返されるくらいでしたから。今回は突き抜けていないので最後まで集中していたのかもしれません。

-:調教ではブリンカーを着けているのですか?

岩:着けていますが、薄めではなくそれなりにありますかね。前走のこともありますから、今回から着けてみようかと。

-:戸崎騎手はブリンカーについてどのようにおっしゃっていましたか?

岩:これまで乗っていないので比較のしようがないのですが、「最後まで集中できていた」とは言っていましたね。

-:それでは本番も?

岩:着けて臨むことになると思います。道中の行きっぷりは良くなりますね。途中まで掛かるくらいでしたから。もしかしたら競馬でも掛かってしまうかもしれませんが。

-:問題は直線でどれだけ弾けられるかですからね。

岩:真面目に最後までやってくれるかというところだと思います。多少なら掛かっても、とは思っています。スタミナに関しては抜群にありますから。

-:2000mだと少し短いぐらいだと。

岩:もう少しあっても問題ないと思います。2400もいけそうですし。前走の1800よりは2000の方が競馬はしやすいかなと。

ベルーフ・岩澤一詩調教助手インタビュー(後半)
「本番に向けて詳細部分の見通し」はコチラ⇒

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ベルーフ

ベルーフ

▲皐月賞で装着予定のブリンカー