高橋摩衣のほんわかレポート
2010/4/2(金)
相田一善&鈴木勝久調教助手(斎藤誠厩舎)
鈴・相:よろしくお願いします。
高:まずお二人がこの世界に入ったキッカケをお聞きしたいのですが、相田さんからお願い出来ますか?
相:僕はゲームがキッカケですね、ダビスタからです。それからテレビで観るようになりました。その後はジョッキーになりたくて試験も受けましたけど、見事に1次試験で落ちました(笑)。それで高校に行って、たまたま馬に乗ったら「面白えじゃん!」と思って。それから乗馬を始めて、大学も馬術部だったので合計7年間乗馬をやりました。
高:相田さん、大学の時には馬術で日本一になったんですよね?
相:はい、一応。運が良かったんです(笑)。
高:凄いですよね。ひけらかさないところがまた良いですね。それだけの実績があると、スカウトってないんですか?「君、ちょっと競馬の世界に入ったらどうだ?」とか。
相:部活が終わってすぐぐらいはやっぱり「乗馬クラブに来い」とか、「競走馬をやらないか?」とか声を掛けてもらいましたけど、あえて反発して「いや、僕は普通に就職する」と。だから東京で働くつもりで就職活動をしていました。
高:それが「競馬の社会に入ろう」となったのは、どうしてですか?
相:単純に「馬に乗って稼ぐというのもいいかな」っていう気持ちになったんです。それならトレセンに入るのが一番良いかなと思って、この道に進みました。
高:競馬の道に進むと決めたあとは、調教助手になろうと思っていたんですか?
相:はい。僕、馬の手入れも好きなんですけど、馬に乗る方が好きなんで、調教にたくさん乗れる調教助手になりたいな、と思っていました。
高:そうなんですか。馬に乗るのが好きで、調教にたくさん乗りたいから、助手に。
では、鈴木さんはいかがですか?まずどういう形で競馬の世界に興味を持ちましたか?
鈴:僕は生まれたのがトレセンだったので。
高:そうなんですか、「トレ子」なんですね。
鈴:そうなんです、トレ子なんですよね。もう3代続いていますからトレ孫ですね(笑)。でも、小さい頃は競馬に興味がなかったんですけどね(笑)。
高:興味なかったんですか(笑)。
鈴:ほとんど観なかったですね。凄く小さい頃は毎週競馬場に連れて行ってもらって、凄くのめり込んでいましたけど、小中高になると全然。
高:別のものに興味が移ったんですか?
鈴:そうですね、小中高とバスケットをやりました。
高:それがいつ頃から競馬が復活して来たんですか?
鈴:大学へ入る頃に、将来を考えた時に「馬でご飯を食べたいなあ」と思ったんです。それで畜産科のある大学に進んで馬を勉強して、という感じになって。大学に入学する時は「馬で食べていこう」っていうのは決めていました。
高:急に「馬の道に進みたい」ってスイッチが入って、それでちゃんとそういう学校に進めるっていうのが凄いですね。しっかり対応出来たんですね。
鈴:やる時はやるB型なんで(笑)。
高:B型の人って血液型の話をすると、だいたい損な評価が多くないですか(笑)?
鈴:そうなんですよね。鼻で笑われたり。「B型かよ」みたいな(笑)。でも、嫌がられるんですけど、僕はそうやって嫌がられているのが嬉しい(笑)。
高:その域まで達したんですね(笑)。それで鈴木さんは大学に入った後に乗馬をされたんですか?
鈴:そうです。その前はやっていませんでしたけど、大学に入学してから乗馬クラブに通い始めました。
高:大学を卒業してすぐに競馬学校に入ったんですか?
鈴:いえ、大学を出てすぐにイギリスへ行きました。トレセンの中は知り合いばかりですし、何をやっても親の名前が付いて回るのがちょっと嫌だったので、全然違う方向から競馬にアプローチをしたいな、と思って。
高:1回見聞を広げようという事で。どの位の期間行かれていたんですか?
鈴:1年半、2年弱ですね。住み込みで働いていました。その時、たまたまモハメド殿下の奨学生で留学していた斎藤先生に会ったんですよ。痩せていた頃の先生なんですけど(笑)。
高:そうなんですか(笑)。
鈴:競馬場のパドックで馬を引っ張っている時に、馬を観に来た斎藤先生に話しかけられたんです。「美浦の前田厩舎の調教助手をやっている斎藤と申しますけど、こちらで働いて長いんですか?」って聞かれて「僕、美浦生まれなんですけど」「え、そうなの?」っていう話になって、最後には「一緒に働けたらいいな」って。
高:それはまた凄い偶然ですね。それで鈴木さんはイギリスから戻ってどうされたんですか?
鈴:その後は牧場に行って、競馬学校に入りました。
高:競馬学校卒業後にトレセンに入ってすぐに斎藤先生と一緒に働けたんですか?
鈴:いえ、斎藤先生はまだ開業していなかったんです。僕は最初、別の厩舎で調教厩務員を1年近くやって、その後助手になりました。
高:鈴木さんは、なぜ助手の道を選ばれたんですか?
鈴:「この世界に入るからには調教師になりたい」っていう気持ちがあったので、助手になろうと思いました。調教厩務員だと基本的に自分の担当馬は2頭ですけど、助手になれば担当馬は2頭だけではないので、いろんな馬に乗れるし、いろんな方向から物事を見られるようになれるかな、と。
高:調教師になるにはそういう経験が必要だろう、と。
鈴:そうですね。いろんな人と知り合う機会も増えるでしょうし。早く助手になりたかったです。
高:将来を見据えて。そして斎藤先生が開業されてから異動されて。でも、行きたい厩舎があっても、その希望通りに行ける訳ではないですよね?
鈴:はい。たまたま運が良かったんです(笑)。
相:僕も運が良かったんです(笑)。
高:お二人とも運良く斎藤誠厩舎で助手として働くことが出来て(笑)。えー、次は助手さんのお仕事内容について聞きたいんですけど、具体的にどのようなお仕事をされているんですか?
鈴:助手は、調教で乗る馬を厩務員さんが連れて来るのをスタンドで待っていて、来たらそれに跨って、調教が終わったらまた厩務員さんに渡して、というスタイルが従来の基本的なスタイルかな、と思いますけど。
相:昔からのスタイルですね。
鈴:今、そういう感じの厩舎は全体の2、3割くらいなんじゃないですかね。今は馬場に入っているときだけではなくて、ウォーミングアップから最後のクーリングダウンまで乗るところが多いですよね。それに加えて獣医的な仕事というか、治療の相談や報告受けて、どういう治療をしたらいいか、と考えたり、餌のことまで考えたりするようになっていると思います。他の厩舎の助手さんがどうしているのかは、よく分からないですけどね。
高:厩舎によって仕事内容が。
鈴:違いますよね。助手の仕事は馬に乗る時間が長いですけど、それでも馬に乗っていない時間の方が長いんですよね。その、馬に触れていない時間をどう過ごすかは、厩舎のスタイルで仕事の内容も変わると思います。
高:かなり幅広くいろいろと出来ないといけないんですね。細かな事務作業みたいなものもされたりするんですか?
鈴:しますね。レースへの出走登録や馬の入退厩に関する書類や翌週の出張届けとか。この仕事は基本的に、1週前に次の週の用事をどんどん申し込むんです。
次の週に入厩させたい馬の手続きを前の週の土曜日までに済ませたり、関西圏へ出走させたい場合も、前の週に馬房の申し込みをしないといけないとか。
高:ほとんどの手続きを1週前に済ませないといけないんですね。
鈴:そうです。だいたいそういうスケジュールで動くんで、出走予定馬を先生と話し合いながら、それに照らし合わせていろいろな事務的手続きをして、書類を出しておきますね。
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■出演番組
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2006年から2008年までの2年間、JRA「ターフトピックス」美浦担当リポーターを務める。明るい笑顔と元気なキャラクターでトレセン関係者の人気も高い。2009年より、競馬ラボでインタビュアーとして活動をスタート。いじられやすいキャラを生かして、関係者の本音を引き出す。 |