最も中京を知る若武者が愛馬と初G1タイトル奪取へ
2013/3/24(日)
ブレイク中の松山弘平を語る上でキーになるのが、コンビで9勝(内重賞2勝)を挙げているドリームバレンチノ。万全の状態でなかったスプリンターズSの雪辱を晴らすべく、G1の頂に挑むが、主戦はこの1年の間も積極的に新装中京コースで騎乗し、他の騎手を上回る経験を積んでいることは見逃せない。昨夏はコラムを連載していただき、「チーム競馬ラボ」としても欠かせない存在である当人に、ズバリ高松宮記念の自信度を伺った。
万全ではない状態で結果を残した近2走
－：スプリンターズSの前にもドリームバレンチノについて、お話を伺いましたけれど、スプリンターズSから振り返って下さい。
松山弘平騎手：スプリンターズSは“馬のデキが8割ぐらいかな”と思っていたという部分もありましたし、ゲートを出てすぐに挟まれたり、3コーナーでも少し挟まれて、直線もすごく狭いところを割ってくるという形。厳しい競馬だったんですけれど、それでも3着と、しっかり力を示してくれました。敗れはしたんですけれど、本当に強い内容だったと思いますし、スムーズな競馬ができていたら、もっとやれていたと思います。それでも、まだ、あんなもんじゃないというか、もっとやれる馬だと自分では思っています。
－：そのレース前の中間の段階で、「何か良い頃に比べると、気合が少し足りないんじゃないか」とおっしゃっていましたね。
松：そういう部分もあったので、デキとしたら8、9割なのかなという不安は少しありました。
－：この馬が勝った時はすべて松山さんが乗られてきて、例えるならば、10のデキというのはどのレースですか？
松：やっぱり函館SSの時とかは、すごく状態が良かったと思います。
－：スプリンターズSは、フィフスペトルに寄られたりだとか、出脚が付かないレースもみられますね。
松：スプリンターズSの時はゲートは出たんですけれど、ブツけられて、挟まれて、内からドーンとなって、それで行き脚が付かなかったので。不利がなければ、前走ぐらいにはスタートは切れると思うので、今ではスタートはそんなに課題ではないかなと思うんです。函館SSの時のようにたまに全然、進んで行かない時があるので、そのあたりはちょっと難しいというか、馬に聞いてみないと分からないこともあるんですけれど……。
－：函館の時に進んで行かなかったというのは、どういう理由があったんですか？
松：それが分からないんですよ。ゲートを出る時と出ない時があるので……。まあ、周りが速かったというのもあるんですけどね。
－：そして、シルクロードSは着差こそわずかでしたけれど……。
松：直線、ちょっと前が壁になって、スムーズさを欠いてしまった分、着差がああなってしまったんですけれど、楽に抜け出していたら、もっと抜けていたと思います。
－：追ったのは正味、1ハロンですからね。あの切れ味はすごいですよね。
松：スローペースの上がり勝負の競馬になったので、それも逆にこの間は良かったんじゃないかなと。何よりあのポジションに付けられたのが大きかったですね。
－：そこで焦らないのが、松山さんの良さですよね。
松：いや、正直、「ヤバイ！」と焦りましたよ。でも、残り200mで、あの脚をつかえるのがスゴイですね。一気にビュッと脚がつかえるのは、この馬のセールスポイントだと思いますね。
－：ラップ的にも一番速いところでしょうからね。あそこであその脚をつかえるというのはね。
松：いやあ、スゴイですね。他の馬も勢いがつく中ですから、本当に馬が強かったです。
－：その中間も寝違えで、少し順調さを欠いて、厩舎の方のコメントなんかを読んでいると、あくまで高松宮記念への叩き台じゃないですけれど、そういうニュアンスを感じとれました。
松：元々が高松宮記念が目標だということだったので。だから、ちょっと体にも余裕がありましたし、ちょっと太いのかな、という気はありましたけどね。
－：プラス10キロですよね。
松：そうですね。それでもしっかり押し切ってくれたので、力が違ったなというか、次はもっと良くなるなと感じましたけれどね。
－：2走前が8、9割のデキだとすると、前走はどれぐらいですか。ジャッジは難しいかもしれないですけど、もう1段階落ちる感じでしたか？
松：正直、どれぐらいかなという不安があったんで、それが気になりましたね。
－：しかもハンデもトップハンデじゃないですけど、それなりに背負わされて。
松：あと枠も2枠で良かったですし……。結構、味方をしてくれますね、枠は。
－：次走に向かうにあたって、枠はやっぱり、内の方が良いですか？
松：いや、10番が良いですね。
－：真ん中の偶数ということですか？
松：8、10、12……。
－：そうやって言っていて、希望枠が当たることがあるんですか、松山さんは？
松：ぼくはよく当たります。枠の運はいい方なんです。
高松宮記念を照準に中京で騎乗
－：去年、中京コースがリニューアルされましたが、今の中京で乗られている回数というのが、他のジョッキーより多いと思うんです。
松：そうですね。その点もずっと頭に入れながらやってきてるので、高松宮記念を目標に僕自身もレースをしてきたつもりです。たくさん乗せてもらって、馬にも恵まれてますしね。
－：ある意味、“中京マスター”の松山さんがこの1年間乗ってきて、中京競馬場の1200mはファンに伝えるとしたら、どんなコースですか？
松：いやいや、そんなことないですが(笑)、う～ん、難しいと思います。
－：そのポイントは？
松：それは極秘です(笑)。
馬にもよると思うんですけれど、他の競馬場と違って、かなり力がいる馬場ですね。例えばスゴいスピードがあって、小倉とかで逃げ切った馬などが、中京じゃ全然、通用しなかったり。坂もありますし。だから、フラットなローカルとは別というか、違うなと。コーナーの……。
－：バンクですか。外の方がちょっと角度がついているという。
松：そうですね。外の方が勢いがつきやすいのかなとか。僕も全然、勉強中というか、まだまだ分からないことがたくさんありますし、これだけ乗ってるんですけれど、それでも掴みにくいというか、本当にそういう難しいコースだなと中京は思います。
－：先週の中京での口取り写真とかを見ていたら、芝丈が結構、長く感じたんです。
松：それも外の方がちょっと長くて、内はそうでもなかったり、今月から一番内側のAコースになりましたし。1月の中京なんかはBコースで、本当に外ばっかり(が上位にきていた)でしたし、今はまた……。う～ん、本当に読み辛いですね。
－：去年の夏とかは結構、時計が出てましたね。
松：それに中京が開幕した時なんかはすごく芝が長かったですしね。
－：その時はまだ下が踏み固められてないというのが、すごく大きかったのかと。それが開催を使ったことで段々、傾向が変わってきた感じもしますけれどね。
松：そういう経験を踏まえつつ、ちょっとずつ自分の中では掴めつつあるんじゃないかなと思っているんです。
松山弘平騎手インタビュー(後半)
｢中京コース、左回りが合うという確信｣はコチラ→
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■最近の重賞勝ち |
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小学校の頃から阪神競馬場の乗馬センターに通い騎手を志す。一度は騎手試験に失敗したが、二度目の挑戦で念願の騎手試験に合格。丸山元気、国分兄弟らと同期として過ごす。 デビューイヤーは36勝をマークしてJRA賞を受賞するも、2年目は30勝、3年目の昨年は26勝と勝ち鞍が減少。巻き返しに意欲を燃やした昨年は節目の通算100勝に到達しただけでなく、重賞勝ちも経験。一気に飛躍を遂げた。競馬ラボでは夏季限定コラムを担当するなど、お馴染みの存在。次代の競馬界を担う活躍が期待される。 |
