'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
勝利数
3月25日時点1472勝
条件は課題も… 経験を実らせたいベストウォーリア
2014/12/4(木)
JBCの敗戦を糧に
-:チャンピオンズC(G1)はお馴染みベストウォーリア(牡4、栗東・石坂厩舎)とのコンビになりますが、前走のJBCクラシック(Jpn1)は絶好調過ぎた。気が入っていた」ということで、そのマイナス要素もあり、コーナー4つのコース形態もあって、なかなか持ち味というか、良いところが見られませんでした。今回は1ハロン短くなりますし、2ターンも、古馬になってからは2度目、2回連続になります。その前走を踏まえた上での見通しというのはいかがですか?
戸崎圭太騎手:前走でコーナー4つはやっているので、馬もわかっているかな、わかってくれているかな、という気もしますし、折り合いには気を付けて行こうと思っています。
-:ジョッキー以外、ホースマン以外からすれば、コーナーが2つと4つの違いが、どれだけ馬にとって大きいのか、そこが少し分かり辛い印象があります。
圭太:う~ん、こなすのは大した問題ではないでしょうし、ダメという訳ではないものの、そのコーナーが苦手な馬にはちょっとキツかったりするのはありますかね。
-:あの馬にとっては正直、そんなに向いている条件ではないと。
圭太:そうですね。どちらかと言うと、2つの方が良いかなという感じですね。
-:そうでなければ距離という問題はあるでしょうけれど、あそこまで、ああやって(コーナー2つの)得意な条件ばかりを続けて使うというのは、なかなか考え辛いことですからね。
圭太:そう思いますね。
-:その点、兵庫CSの時はもっとコーナーを回っていますし、大井ではジャパンダートダービーも経験しました。今回は場所こそ違いますが、2回連続でそういったコースになるので、少し慣れというか、馬も分かってくれるのかな、という期待はできます。そのコーナーが苦手な要因は精神的な問題なのでしょうか?
圭太:肉体面、精神面、両方少しずつの影響があるかな、という感じはしますね。
「前回は4つコーナーで馬が戸惑っていた部分があって、直線も走るのを止めていたところがあったので、その辺の負担は軽いでしょうね」
-:「前回は絶好調過ぎた」というお話だったのですが、それが絶好調の時に、例えばフェブラリーSなどの条件だったら、歓迎出来る材料ですよね。しかし、絶好調時を使って、ここに戻ってきて使うというのが、絶好調と聞いてしまったが故にどうなのかな、という懸念もあります。
圭太:いや、タイプ的にドンドン調子が上がってくるタイプだと思うのでね。良いんじゃないですか。
-:筋肉量も多いです。
圭太:そうですね。だから、僕はそんなに懸念はないですね。
-:ダートなので、一走ごとの負担も少しは軽い、ということを考えれば、何とか良い状態に持ってこられるのかもしれないですね。
圭太:ハイ。前回は4つコーナーで馬が戸惑っていた部分があって、直線も走るのを止めていたところがあったので、その辺の負担は軽いでしょうね。
-:最後止めたというか、嫌気が差した感じですね。もともとそういったことはあるタイプですか?
圭太:そうですね。JDDもそうでしたね。戸惑って直線もそんな感じで、手応えがなかったですもんね。
-:脚元や走りも幾らか硬さがあった、という時期ですね。
圭太:今の方がフットワークは良くなっている感じはありますね。
-:それもあり、距離、コーナーの要因もあって、という感じですか?
圭太:ええ。それらを踏まえても、今回は前進できるんじゃないでしょうか。
理想はパサパサの力を要する馬場
-:細かく伺った上で、1F距離が短くなって、メンバーも一気に上がります。改めて今回の見立てとしてはいかがですか?
圭太:あの馬の「ベスト」レースをしたいな、という感じですね。(ベストというダジャレは)狙っていないです、フフフ。
-:ベストウォーリアだけに……。今までは、ある程度相手が絞れるレースが多かったですが、今回は層が厚いメンバーです。そこで揉まれたりした時にどうなのかな、という懸念もありますし、前回がハイレベル、トップレベルの闘いとはいえ、それ以上のメンバーでどういったレースを挑むのかが気になります。
圭太:まあ、自信を持って挑みます!
-:その時の馬の状態にもよると思いますが、プロキオンSのような競馬にはならないですか?
圭太:それは分からないですね。ただ、使ってきているので、ああいうことはないと思いますね。あの時は距離が短いのもあったでしょうからね。その点、今回はあれほど後ろになるとは考え辛いです。
-:ただ、前回より言えるのは、コパノリッキーが完勝してくれたお陰で、相手も全体的にあそこをマークするというか、淀みない流れになりそうです。その点、今回はベストウォーリアにとって漁夫の利じゃないですが、一発を狙いやすい展開になるのかな、という予感がします。前回よりも条件が難しくなるところもあれば、多少は良くなるところもあるのかなと。
圭太:G1ですからね。メンバーが揃うのは当たり前だし、前回で2000mを使って、ゆっくり乗っていますし、そこは馬も分かってくれるでしょう。あとは自信を持っていくしかないな、という感じですか。
「若い時よりは全身を使って走るフットワークが出来てきたと感じるので、その辺は良いんじゃないですかね」
-:前回、前々回と地方交流に出て、南部杯は圧勝でした。中央のダートに戻る形になりますが、中京の砂質の馬場適性はどう感じますか?
圭太:距離が違うだけで中京で勝っていますからね。そこら辺は問題ないと思いますね。ただ、どちらかと言えば地方の方が良いですかね。
-:と言うこことは、当日の天気としては……。
圭太:晴れてパサパサで力のいる馬場の方が良いですね。雨でも走っていますけどね。う~ん、走っていますが、その辺は展開とかも色々あるのかもしれない。でも、走っていますからね。勝っていますよね?
-:そもそも圭太さんが乗っている時はほとんど好走しています。
圭太:だから、問題ないということですね。それはイメージだけですか。
-: G1なので、細かく聞かないといけませんからね。ココを初めて見る人もいるかもしれないので。
圭太:そうですね。そう考えると、馬場が悪い方が良いのかもしれないですね。乗っているイメージではそんな感じもないですが、僕がそう思っているだけであって、思い返せば千四のレコード勝ちもありますから。
-:馬体は何か筋骨隆々としたタイプなんで、軽い馬場はどうなのかなと思いますけどね。馬体重的には、馬をつくる側ではないと思いますが、デビュー当時とそれほど変わっていません。ここまで乗られてきて変化はありますか?
圭太:体重に関しては特にはないですかね。ただ、若い時よりは全身を使って走るフットワークが出来てきたと感じるので、その辺は良いんじゃないですかね。
ジョッキー自身、珍しく「掛かった」前走
-:そして、パドックから返し馬までジックリ見るファンもいると思います。経験上、良い感触を得る時の癖や特徴はありますか?
圭太:行きっ振りが良い時は、常歩の時に多分、前向きに歩いていると思いますね。乗ってからも気合乗りが良いですしね。
-:ちなみに、その気合乗りという点で言うと「前回が気合が入り過ぎている」という話だったのですが、その前回というのはいかがでしたか?
圭太:いや、もう良かったですよ(苦笑)。
-:その時点で2000という距離を考えたら、どうなのかな、と心配になるほどでもあったのですか?
圭太:いや、その時点では全然。良い方にとらえていましたよ。
-:もともとそういった元気の良さはあるタイプですよね。
圭太:そうですね。まあ、あとは僕の腕じゃないですか、折り合いは。
-:前回は珍しく掛かったと。
圭太:はい。珍しいかどうか分かんないですが。
-:前も伺った通り、あんまり「掛かった」という話がないじゃないですか?
圭太:そう。僕の中ではね。
-:「掛からない」戸崎圭太の中でも掛かったというレースだったんですね。
圭太:そうですね。周りはどう思っているか分かんないですが。
「掛かるという感覚も人それぞれだし、多分見ている側も人それぞれだと思うんですよね。僕はそれで少し戸惑ったところもあったんです。自分が掛かっていない、と思っても、ああ、掛かったな、とか言われるケースはあるので、その辺は上手く伝わらなくて難しいな、という気もするんです」
-:話は脱線しますが、重賞を問わず、最近でそれくらいのものはありましたか?
圭太:いや~……。ああ、アンタラジー。あれもすごいですね。
-:未勝利馬ですが、人気はしていましたね。と言うことは、あの馬もそれなりに能力は?
圭太:あると思います。ただ、「掛かる」という感覚も人それぞれだし、多分見ている側も人それぞれだと思うんですよね。僕はそれで少し戸惑ったところもあったんです。自分が掛かっていない、と思っても、「ああ、掛かったな」とか言われるケースはあるので、その辺は上手く伝わらなくて難しいな、という気もするんです。
-:負けた時に本人は掛かっていないと思っていても、周りからしたら掛かって御せていないと思われるということもあるんですね。
圭太:そうですね。掛かったのが原因だったというのもあるとは思うんですよ。本当に掛かっているのかもしれないですが、それは自分の感覚がまずあって、の話だと思うので。だから、馬乗りには完璧がないですしね。どれが一番正解なのかもないでしょうし。
-:しかも、同じメンバーでやることがあったとしても、同じ競馬場でなかったりだとか、同じ秒数で流れないし、同じ位置じゃなかったりしますしね。どんな条件も揃わないのが競馬の難しさかなという感じがしますね。
圭太:そうですね~。本当に難しい。
-:その上で気になるのが、前回はデキの良さも条件もあって、ああいう結果になったと思います。今回は輸送も短いですし、調整もココを大目標にやっていらっしゃるでしょう。相手も上がる分、どうしても前回の結果を踏まえると、割と前中心の前掛かりのレースになりやすいと思います。今回の折り合いの見立てというか、そこら辺はどのように感じますか?
圭太:枠順と馬の並びですかね。それによって出して行き方が変わってくるかなとは思っています。
-:話を伺っている限りだと、メンバーも上がる分、そこら辺は心配ないのかなという感じはします。
圭太:う~ん、いや、そんなに甘くないと思いますね。
-:それは本質的な適性距離、条件から延びるということも(ありますか)?
圭太:そうですね。でも、1800もギリギリやれるとは思いますね。
今年のうちに欲しい中央G1V
-:期待と不安も入り混じるところですが、面白い一戦になりそうです。それでは、レースに向けての意気込みをお願い致します。
圭太:中央のG1も数少なくなっていますからね。たくさん有力馬に乗せていただいているので、この辺でしっかりと結果を出せるように騎乗したいと思うし、自信を持って乗ってきたいと思います。
-:ちなみにこの後のG1での騎乗予定というのはあるのですか?
圭太:GⅠですか。今のところ、2歳戦は分からないです。有馬記念も含めて全くない、ということはないですが、決まっていないです。大体周りはみんな決まっていますね。
-:それは、今のご時世はみんな決まっていて、しかも、これだけランキングが上位にいたら、普通は……(決まっている)ということですね。
圭太:情けないということですね。
-:波が年に何度かありますね?「情けない宣言」が。
圭太:そうですか。ああ、いつも情けないと思っています。
-:十分立派だと思いますが、ならば少しでも情けなくない2014年にするためにも?
圭太:そうですね。もうちょっと頑張りたいですね。
-:チャンピオンズCでチャンピオンになって?
圭太:一年が長いですね。(リーディングを確定させるためにも)早く終わってもらいたいですけどね。
-:ようやくタイトルを獲って、年間のタイトルも獲って、ということですね。
圭太:ハイ。そういう締めくくりにしたいです。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成し、NARとのダブル1000勝は史上4人目の快挙を挙げた。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。