セントライト記念ではゼーヴィントで2着に導き、夏から続いたJRA重賞連続連対記録をなんと「10」にまで伸ばした戸崎騎手。今週のオールカマーは並み居るG1馬を相手に、OPクラスではまだ白星のないショウナンバッハと挑むことになる。また、中山開催も残り2週とし、東京、京都開催の開幕も目前。大舞台での騎乗も控えるところだが、夏からのリズムを継続して活躍なるか。今夏の好調の秘訣に迫りつつ、注目レースの意気込みも伺った。

祝・サマージョッキーズシリーズ優勝!その秘訣は!?

-:先週はサマージョッキーズシリーズの表彰式が行われましたが、サマーシリーズについては伺っていなかったので、遅ればせながら喜びの声を聞かせていただけますか?

圭太:例年、夏は成績が上がらないこともあり、今年は何とかしたい、という思いがありましたね。その中で馬の質も例年以上に上がってくれたことが何より。その上、暑さの中でも頑張って走ってくれたことが大きいです。このタイトルも重賞での結果が反映されますし、本当に一鞍一鞍、たくさんの馬が頑張ってくれたおかげです。

-:謙虚なコメントはいつも変わらないですが、現在も継続中である重賞連続連対記録。これは騎乗馬の質はもちろん必要かもしれませんが、安定して結果を残すことは用意ではないと思います。重賞の騎乗などを拝見しても、どっしりと構えられている印象がありますが、精神的な変化はありますか?

戸崎圭太

圭太:いやあ、どうでしょうかね。前からどんなレースも同じような心持ちで乗りたいとは思っていますし、むしろ最近、そう思っているというか。それが良い方に向いているのかもしれませんし、変化なのかもしれません。自然体で臨めていることは確かだとは思いますが。

-:何はともあれ、充実の夏を送れましたね、今年は。

圭太:枠なり、展開、馬の状態など上手く噛み合ってくれたと思いますよ。毎年、同じような成績を残すとなれば簡単ではないでしょうし。その中でも、レースへ向かう準備、イメージトレーニングは上手く出来るようになってきているのかとも思います。とはいえ、全てが合格点ではありませんから、もっと上を目指していきたいです!

大物相手に一矢報いることができるか?ショウナンバッハ

-:活躍の要因などは詳しくは年末特集号でも、まとめて振り返りたいですね。今週はオールカマー(G2)ショウナンバッハ(牡5、美浦・上原厩舎)とのコンビ!AJCC以来の騎乗になりますね。

圭太:マリアライト、ゴールドアクターなど少頭数ながらもメンバーは揃っているだけに、盛り上がりそうな一戦ですね。実績的には遅れはとりますが、中山でも上手に走ってくれていました。

-:AJCCはインでロス無く運んで、最後の直線で外に出して、何とか3着。あの競馬を見ると、力関係がカギになってきそうです。

圭太:どうしてもテンから先行できるようなタイプではないので、ハマり待ちといいますか、流れが向いてほしいですね。その点、前に行くメンバーもいますから、いい末脚を活かしてあげたいです。

-:小柄なステイゴールド産駒という点からも、休み明けは問題なさそうですか?

圭太:この中間は乗っていませんが、大丈夫そうな雰囲気はありますね。

戸崎圭太

▲ショウナンバッハとは4度目のコンビ 陣営も乗り慣れている点に期待を寄せているようだ

-:その他の騎乗馬は土曜から伺うとして、5R(2歳新馬)のクティノス(牡2、美浦・栗田徹厩舎)は追い切りに乗られたそうですね。

圭太:初戦ですが、態勢は整っている印象は受けましたよ。良い雰囲気は持っていますね。

-:九十九里特別のレイズアスピリット(牡5、美浦・上原厩舎)、セプテンバーSのサザナミ(牝4、美浦・堀厩舎)とどうでしょうか?

圭太:レイズアスピリットは中山のほうが向いていると思いますよ。コース替りに期待したいです。サザナミも同じく中山が良いですからね。京王杯は引っ掛かっていたようですが、スプリント戦があっていると思います。もともとセンスのある走りをみせていましたし、年齢的にも伸びしろがあるのではないかと思います。

-:日曜に移って、芙蓉ステークスのレジェンドセラー(牡2、美浦・木村厩舎)は2、1着と来ています。新馬戦の勝ち馬も重賞で好走していましたね。

圭太:新馬の前から高い評価を受けていましたね。着実に成長はしていますが、まだまだゆるさも残っていると思います。ここでも良い走りをみせてくれると思いますが、将来的にも期待したい馬ですね。

-:ここまでは東京、新潟と転戦してきました。走り方を見ると、中山の適性について伺いたいところです。

圭太:トビの大きなタイプなのでね。本質的には広いコースが合うと思いますよ。

-:続いて外房特別のチョコレートバイン(牝5、美浦・加藤征厩舎)は以前、乗られていましたね。

圭太:このクラスではもうひと押しに欠けていますが、上手くハマってくれたらと思います。コース実績もありますからね。

戸崎圭太

一戦ずつ成長感じるゼーヴィント

-:先週のその他のレースについて教えてください。ゼーヴィント(牡3、美浦・木村厩舎)はラジオNIKKEI賞を制し、重賞ウィナーとして秋初戦に臨みました。敗れはしたものの、よく走っていると思いますが、いかがでしたか?

圭太:思ったよりも良いレース内容をみせてくれましたし、ああいう不慣れな形でも、しぶとく差し替えして、しっかりと競馬をしてくれました。成長していますし、力もつけていますね。

-:レース前はゲートの不安も口にされていたので、運が悪ければ、出遅れの危険性もあるのかと思っていたんです。

圭太:僕もあの位置から運ぼうと思ったわけではありませんが、いいスタートを決めてくれたのでね。正直、驚きましたよ。

-:そして、今後ですが、菊花賞には向かわないようですね。

圭太:ええ、聞けばそうらしいですね。

-:ということは、菊花賞デーは東京での騎乗と。

圭太:その予定です。

戸崎圭太

▲現在、2位に18勝差でリーディングもトップ!

-:レディスプレリュード(Jpn2)サンソヴール(牝5、美浦・和田郎厩舎)は久々のダートとはいえ、よもやの大敗でしたね。

圭太:ここまで負けるあたり、やはり芝のほうが良いでしょうね。以前もダートで勝っているとはいえ、やはり下のクラス。今回は適性の差が出てしまったと思います。

-:最後に読者からの質問が来ております。よくある質問ですが「いま、ハマっていることを教えてください」だそうです。

圭太:ハマっている、ハマっている……(考えて)う~ん、なんだろうな。トレーニングについて、興味が深まりましたかね。

-:馬あっての活躍ということで、あまりご自身のトレーニングについては公表されないですが、以前よりもトレーニング理論に対する理解度が深まったというわけですか?

圭太:まあ、そうですね。前よりも興味を持って臨めていますし、意図を理解できていると思います。やっていることも良い方に向いてくれてはいると思いますが、それは馬ありきなのでね。

-:いつになるかはわかりませんが、機会があれば、取り組まれていることなどもご紹介できればと思います(笑)。そして、次週のスプリンターズS(G1)ウリウリ(牝6、栗東・藤原英厩舎)、再来週の東京開幕週は毎日王冠(G2)ルージュバック(牝4、美浦・大竹厩舎)。いよいよ秋も本番といったところですね。

圭太:そうですね。夏が良かったら、秋はダメだった、なんてならないよう頑張ります!

-:年間200勝の大台もまだまだ可能性はあると思いますし、頑張ってください。

(聞き手:競馬ラボ・小野田学)

※次回は9月30日(金)に更新予定です!