第四章

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-:ここまで、デビュー前の馬で期待の高い馬を伺ったのですが、デビューしている中で、今後伸びそうな存在を「馬のマネージャー」である増田様に教えていただきたいです。

増田隆彰氏:わかりました。よろしくお願いします。ここ最近、上のクラスの馬が抹消してしまいまして、新しい馬が出て欲しいと思っているところです。まずは今週(8/9)、使うタイセイアプローズ(牡3、栗東・宮本厩舎)ですね。それと、(8/2に)未勝利戦を勝ったばかりのタイセイプレシャス(牡3、美浦・池上弘厩舎)ですね。

田:タイセイプレシャスはすごい脚でしたよ。後方2番手ぐらいから、直線だけで差し切りましたから。

-:初の1200で展開も向いたとはいえ、豪快な勝ちっぷりでしたね。改めて増田様からみたデビュー前の馬の評価も教えていただけますか?

増:オーナーも話していたタイセイヴィクターですね。タイセイアモーレ(牝2、栗東・宮本厩舎)はこの間ゲート受かって、1回放牧に出して、秋にデビューの予定ですね。厩舎からも「能力はある」と聞いています。

-:現在、現役馬は何頭くらい抱えていらっしゃるのですか?

田:登録している馬で30頭くらいかな。登録していないのもいますからね。抹消したりするのも多いですし、毎年20頭ぐらいは買って補充しますが、その分、抜ける馬もいますから。常に登録しているのは30弱ですかね。今年の2歳は全部揃うと、もっといくかと思いますが。

増:そうですね。40頭ぐらいですね。そこから抹消する馬もいて、35頭くらいが平均になるかと思います。

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増田マネージャーも期待のタイセイアプローズ インタビュー直後に勝ち星を挙げた


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韓国で大井競馬移籍初戦を迎えたタイセイレジェンド


-:抹消といえば、JBCスプリントを制したタイセイレジェンド(牡8、大井・藤田輝厩舎)も大井に移籍することになりましたね。

田:8月30日(日)、韓国で大井競馬との交流(アジアチャレンジカップ競走)を予定しています。近走の成績が芳しくなくて、賞金面でもJBCに出られない可能性もありましたし、あの馬は斤量を背負うとダメなタイプ。GⅢになると斤量が60キロを超えてしまいますし、東京盃に出ても58キロにはなってしまう。どうすべきか考えた時に、大井でやってみようかと。それならば、地方競馬の代表でJBCに出られるじゃないですか。たまたまそういう話をした時に、韓国の交流があるという話を聞いたので、ちょうど良いタイミングだと思いました。その後に大井でも交流レースが行われるので、それに使ってJBCスプリントへ行く路線にしようかと思っています。去年のJBCでも3着に来ていますが、(斤量が)57キロでしたからね。年齢的な衰えが来ている可能性はありますが、今年いっぱい使うのだったら、それが最善かと思いました。

-:韓国のレースも賞金が期待できそうですね。

増:ええ、2400万円と言っていましたね。

田:大きいですよね。今年で現役は引退をさせようと考えているのです。その後は種馬に出来たらと思っていますので。本当は中央で引退させて種馬にしようとしたのですが、時期的な問題もあり、今年一杯だけ走らせて、来年にそうしようかと。預託先などは決まっていないので、どうなるかは未定ですが、そういうプランを考えていますね。

-:ここまで色々と馬選びのポイントを語っていただけましたが、増田様も含めて、競馬の知識・見識を向上させるために、特別研究されていることがあれば教えていただけますか?

増:競馬場のパドックはよく観るようにしていますね。やっぱり完成された馬の良し悪しというのが分からないと、なかなか説得力がないですよね。とはいっても、説明が難しいものですが……。

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自前のファイルに所有馬のデータをまとめ、管理している増田氏


-:ファンが馬を見る時にこういったところを見たら良いよ、というコツがあったら教えていただけますか?

増:走れる馬の走れる格好、仕上がりの姿がどういう状態、仕上がりかを見て覚えるのが一番大事だと思いますね。当歳や1歳よりも競走馬をまず見られないと、競走馬の仕上がっている姿、あるべき姿というのをまず分かっていないといけないですよね。そこから遡って、じゃあ、2歳の時はどうなのか、1歳の時、当歳の時はどうなのか、と。例えば、成績の出ていないクラスの馬を見て、どこが悪いのかということも把握することも大事だと思います。そういう意味では、競馬場が一番分かりやすいのではないでしょうか。地方競馬から中央のG1を含めても、全てがクラス分かれていますから。


「馬体は目立たないとしても走る馬。今はそこを追求しているところです。良い馬はセリで集中してしまうので、ひと目につかないような馬の方が落としやすいのは事実ですよね。なおかつ、コストパフォーマンスが良ければと」


-:今年のセレクトセールは馬体的な視点で見て、全体的な傾向はどういった風に感じましたか?

増:売れそうな馬が一杯いるな、高いだろうな、と思っていました。その中で高くないのはどれかと探すので、まともに行ったらセリ受けするといいますか。出される方も当然“良い馬、高くなると予想される馬”を出してくる訳ですからね。

-:馬体で見ても高くなるという感触はあった訳ですね。

増:そうですね。良い馬を出しているから、見ていて高そうな馬が多いなと思っていました。

田:その中でノーザンの血統馬を買えた訳ですからね。去年はノーザンの馬は1頭も買えなかったのです。毎年、セレクトセールでは買っていますが、全部競り負けて。それが今年はほとんどノーザンの生産で。

増:馬体は目立たないとしても走る馬。今はそこを追求しているところです。スターアイルは別としても、だから、ノーザンファーム生産馬でも買えているのかもしれません。良い馬はセリで集中してしまうので、ひと目につかないような馬の方が落としやすいのは事実ですよね。なおかつ、コストパフォーマンスが良ければと。

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