ダービージョッキーを背にウワサの素質馬たちが激突!

いよいよ秋の中央開催が開幕。ここからPOGで人気になったクラシック候補が続々登場することになる。といっても最近の傾向から、真打は10、11月の京都、東京デビューだろう。それでも秋の開幕週に照準を合わせ、楽しみな馬が出走してきた。

目玉となりそうなのは、日曜日の阪神2000m。POGで上位人気になったスワーヴリチャード(牡2、栗東・庄野厩舎)が始動する。

ドラフトが終わると、参加者の間で情報交換会が行われるのだが、「ノーザンFで特に評判の馬は?」みたいな感じで話を聞くと、母トゥザヴィクトリー(トゥザクラウン)、母アパパネ(モクレレ)が出るのは当然として、結構耳にしたのが「母ピラミマ」(スワーヴリチャード)だった。POG本を見ると、それほど大きく扱われていたわけではないので意外な感じもしたが、だからこそ余計に気になっていたのだ。
入厩後は順調に時計を出し、2、3週前は余裕を持ってCW67秒台をマーク。1週前は馬場が重かったこともあり5F70秒程度だったが、上がりは12秒前半(以降、調教は主に1週前のもの)。特に上がりがかかった日だけに評価できる。「厩舎の格上馬と併せても見劣らない動きを見せている。稽古はいいし、あとは実戦でどんな走りをしてくれるか」と庄野師。
セレクトセールでは、馬主のNICSの関係者の方々が、この馬の落札が決まった瞬間、雄たけびをあげるほど歓喜に溢れていたのを思い出す。あの時の感動が、レース後に甦るか。鞍上はダービー2勝の四位騎手。目標は当然ダービーだ。

スワーヴリチャード

バンドワゴンの半弟・スワーヴリチャード

これに立ちはだかるのは、同じノーザンF出身のアウステルリッツ(牡2、栗東・高野厩舎)だ。「春先に入厩した時に比べて体も大きくなったし、体力的にもしっかりしてきた。距離はあって良さそうなタイプ」と高野師。鞍上は、こちらもダービージョッキーの川田騎手だ。
坂路では52秒5-12秒5の時計を出し仕上がりは順調。母のマリアヴァレリアは4勝も、素質はオープン級と評されていた馬。母の姉には重賞4勝、G1・2着3回のフサイチデアデールがおり、血統も筋が通っている。

他ではメリオラ(牡2、栗東・中竹厩舎)がデムーロ騎手を確保してデビューだが、「長めの距離でいいタイプ。ただ叩いてからか」と、まずは様子見か。他には厩舎から、ジェルファルレイ(牡2、栗東・池江寿厩舎)も見逃せないが、1週前時点の動きは地味で、最終調教をよく見たい。

土曜日の阪神は新馬が2鞍。芝1600m戦を予定のシグルーン(牝2、栗東・宮厩舎)は、岡田スタッド屈指の評判馬。トレセンでも、その評判に変わりはない。「素質を感じるし、牝馬の割にしっかりしている。素直なところもいい」と陣営の評価も高い。
調教でも坂路で52秒5-12秒8の時計を余裕をもってマーク。非社台ながらデムーロ騎手が乗ってくることからも、前評判の高さが伝わってくる。母のワルキューレは4勝し、エリザベス女王杯6着の実績はあるが、重賞までは手が届かなかった。母の悲願を、仔が達成したい。

カデナ(牡2、栗東・中竹厩舎)も、半兄にスズカコーズウェイ(京王杯SC)がいる良血馬だ。「相当走る。心配なのは、ゲートが遅いことだけ。後方からの競馬になるかもしれないが、最後は差してくる」と、少々不安はあるが、陣営の期待感は頗る高い。

同日の牝馬限定芝1400m戦で調教、血統ともに目立つのはデリスモア(牝2、栗東・大久龍厩舎)。1週前のCWでは併せた馬に遅れたが、これは1秒近く追走したもので時計は悪くない。むしろ2週前の坂路51秒8-12秒4を評価すべきだ。
母はセントウルSなど重賞2勝のアルティマトゥーレ、母の弟に皐月賞馬キャプテントゥーレ、小倉記念を勝ったクランモンタナなど活躍馬が多数いる一族。気が早いが、目標は桜花賞か。

ダンスウィズユー

重賞勝ち馬と併せ馬を敢行しているダンスウィズユー

イリスファルコン(牝2、栗東・安田隆厩舎)も、2週前に坂路で51秒4をマークし脚力は十分。半兄は5勝したメイショウライナー、祖母は忘れな草賞勝ちのナナヨーストームと、血統も悪くない。

中山では、日曜日の芝2000mでダンスウィズユー(牝2、美浦・木村厩舎)がデビュー予定。派手な時計は出ていないが、2週前に重賞ウイナーのゼーヴィントと併せ馬をしたように期待は高い。半兄はブラックバゴ(京成杯2着、ホープフルS3着)で、早くからの活躍も見込める。

前日の1600m戦は、サレンティーナ(牡2、美浦・萩原厩舎)。母のサンヴェジェルマニアはアメリカのG2勝ち馬で、近親にドイツダービー馬が2頭いる。キングカメハメハにつけたくらいだから、繁殖牝馬としての期待も高いのだろう。調教は目立たないが、まだまだ詰められそうな雰囲気で、最終調教でどんな時計を出してくるか。

グラドゥアーレ(牡2、美浦・小西厩舎)は、ここへ来て変わってきた馬。2週前までは平凡だったが、1週前は坂路54秒2-12秒7で併せた相手に3馬身先着と上昇気配。このままレースまで上げていければ、新馬戦から勝負も見えてくる。

ニューカマーもやはりディープ産駒に注目!

新規入厩も秋になって活発化し、良血馬が続々入ってきている。ディープインパクト産駒で挙げておきたいのは2頭。

サトノルーラー(牡2、美浦・国枝厩舎)は、セレクトセールで1億1000万円の値が付いた高額馬。母のコンテスティッドはエイコーンSなどアメリカでG1を2勝している。レッドルチア(牝2、美浦・鹿戸雄厩舎)は、兄姉にレッドセシリア(阪神JF3着)をはじめ、レッドセシリアレッドライジェルなど活躍馬が並ぶ。早くから走る一族なので、POGで指名した方も多いのでは。

サトノルーラー

セレクトセールで億超えの期待馬・サトノルーラー

ディープ産駒以外で目が行くのはタイセイスターリー(牡2、栗東・矢作厩舎)。半兄にミッキーアイル(NHKマイルC)がおり、セレクトセールでも1億円近い値がついた馬。POG本でも結構採り上げられており、ドラフトでも中位くらいで消えていた。矢作厩舎なら、おいしいポイントを稼いでくれるだろう。

ヘヴントゥナイト(牡2、戸田厩舎)は、母がエアトゥーレ、兄姉にアルティマトゥーレキャプテントゥーレクランモンタナら重賞ウイナーが並ぶPOGお馴染みの一族だ。

デビューを目指し、期待馬たちも再入厩している。エアウィンザー(牡2、栗東・角居厩舎)は全兄がエアスピネル、今週中にも札幌から栗東に移る予定のリナーテ(牝2、栗東・須貝尚厩舎)は全兄がサトノダイヤモンドミスエルテ(牝2、栗東・池江寿厩舎)は話題のフランケル産駒と、それぞれPOGで人気になった馬。個人的には、これまで上が全て笹田厩舎だったエアメサイアの仔が、初めて角居厩舎所属となったエアウインザーに注目したい。