鞍上の手綱は微動だにもせず!レトロロック、圧勝のデビュー!!

レトロロック

14年8月31日(日)2回小倉10日目5R サラ2才新馬(芝1800m)

レトロロック
(牡2、栗東・角居厩舎)
父:ディープインパクト
母:サムワントゥラブ
母父:シンボリクリスエス

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小倉も後がなくなってきた5週目。そんな時にかなり素質のある馬のデビュー戦を迎えた。ディープインパクト産駒がなかなか小倉でのデビューはあまり見かけない。距離が1800だからこそあり得る舞台設定であろう。
その期待に違わず、まったくの馬なりでゴールを迎えたレトロロック。凄かったのは、満を持して先に抜け出したパイオニアステップにスッと接近して、アッサリと抜いていく長くて切れる脚だ。一騎打ち様相だったが、終わってみるとワンサイドゲームの感じ。どこまで強いのか、早くも次走が気になる馬である…。


スタンド前でゴールからラスト100mぐらいのゲートからのスタートだが、むしろレトロロックが一番のダッシュ。しかしあまり行く気がないと言うか、デビュー戦から逃げる競馬はさせたくないのだろう、手綱を抑えて内の馬を行かせる。枠順の差を生かして最初のカーブに先に到達したのは、パイオニアステップ。行く気のテイエムダイバートを制して先手とする。ヒトミヲトジテが3番手だが、前3頭が後ろを少し離して行く。
レトロロックは前から7頭目、先頭から6頭分ぐらい後ろをゆっくり進む。2角を廻って、どうやら前でアクシデントがあった様だが、PVもないし判らずじまい。ちょうどカメラアングルを換えた処での事で見えずじまい(ここらをちゃんと全周を映すカメラ映像も欲しいと常々思ってます)。
向こう正面では後続との差もなくなり、少しペースも緩め。レトロロックも中団で前から4馬身ぐらい。3角を廻って4角へと向かうが、むしろ2番手テイエムダイバートや、4番手を進んでいたコスモアルゴルが押し気味。4角手前のラスト400のハロン棒で、3番手の外目に上がってきたレトロロック。カーブを廻る時にやや気合を入れながら前へと出てきた。

ラスト1ハロンでもまだパイオニアステップが先頭で、1馬身後ろに迫るレトロロック。左ステッキを入れて最後の詰めをするパイオニアステップの横を、楽な手応えで交していく。交すか否かの時に、浜中Jは後ろをチラ見する。そしてレトロロックの首の処に手綱はおさまったまま動かずにゴールを迎える。
最後の2F(4角手前から)のラップが11.6~11.8であるが、その最後を強め程度でのフィニッシュのレトロロックの強さ。
ちなみに3着に入ってきたタイセイラビッシュは、前から5馬身でのもの。前2頭が強いし、尚且つレトロロックはここではかなり上の力を感じたものだった…。

火曜の朝、厩舎地区を廻っている時に、角居厩舎のところで、酒井貴之助手が調教をひと段落してリラックスしている処に遭遇した。思わず訊いてしまう。《レトロロック強かったですね~。ところで次って決まっているんですか?レースが》とダメ元で尋ねると『ハイ、阪神3日目の野路菊ステークスです』とハッキリした返事に驚く。すでに青写真が描かれていた。
思わず《そこには橋口厩舎ダノンメジャーも用意してますし、強い馬とぶつかります》の問いに、向こうはただただ『?』の顔だった。当たり前だわね~。よその厩舎の馬はどうでもいい事だものね。
酒井助手はまだ続けた。『小倉の小廻りであの勝ち方をしてくれたのがいいですね~』であった。

どんどんと強い馬が下りてくる関西の2歳新馬戦の状況だ。私共も乗り遅れないようにせねばと、気もひき締まる想いでした。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。