【秋華賞】ヌーヴォレコルト 斎藤誠調教師一問一答

16日、秋華賞(G1)の追い切りが栗東トレセンにて行われた。オークスに次ぐ二冠制覇を狙うヌーヴォレコルト(牝3、美浦・斎藤誠厩舎)は助手を背にCWコースでの最終調整。松永幹夫厩舎の2頭を目標に、スタート時には7馬身ほどあった差を楽な手応えでみるみるうちに詰めると、直線手前で早々に交わし去り最後は4馬身ほど先着。ラストは軽く気合を付けられただけで、時計は6F81.8-66.0-50.8-37.5-12.2秒をマークしている。

追い切りを見守った斎藤誠調教師は「思いのほか動きが良くて、ちょっと予定より時計が速すぎた」としながらも、「それだけ調子が良いということで無理はしていません」と前向きにジャッジ。「オークス馬として恥ずかしくないよう仕上げたつもりです」と本番への手応えを語った。

前哨戦のローズSをアッサリと突破した上、春にしのぎを削ったライバル・ハープスター不在。圧倒的支持を集めることが予想される中、樫の女王は抜かりなく態勢を整えていると言えよう。



10月19日(日)に行われる秋華賞(G1)の共同記者会見が、栗東トレセンにて行われた。

ヌーヴォレコルトを管理する斎藤誠調教師の一問一答は以下の通り。

●栗東滞在でうれしい変化

-:先週、1週前追い切りを終えた後は笑顔も見られましたが、今週はいかがですか。

斎藤誠調教師:緊張の中にも、馬がどんどん良くなってくれているので、非常にすがすがしい気持ちで調教を見ています。

-:今も笑顔がちょっと出ていますね。

斎:ローズSの後に栗東トレセンに入れてもらって、思ったように馬が変わってきましたので非常に楽しいです。

-:その前走のローズSは、これまでより前目で、道中4番手から非常に強い内容でしたが振り返っていただけますか。

斎:オークスの時もスタートは良かったのですが、ローズSでは逃げちゃうんじゃないかと思うほどのスタートを見せてくれて、そこから先行してくれました。勝った後上がってきて、岩田君が「次のことを考えてああいう競馬にしました」と言ってくれたので、考えて乗ってくれているんだなと思って、非常に収穫のある前哨戦でした。

-:レース前にはそのような指示はなかったのですね。

斎:そうですね。あのくらいのジョッキーですから、勝てるレースをしてくれというのがいつもの注文なので、彼なりに考えてくれたんだと思います。

-:その騎乗に応えられるように、好位につけられるように馬も仕上がっていたということですね。

斎:そうですね。2歳のときに中京で勝ったときも先行していて、自在性のある非常に賢いクレバーな子なので、ああいう競馬もできるんだなと再確認したレースでした。

-:そしてそのローズSの後は栗東滞在ということで、うれしい変化というのも教えていただけますか。

斎:僕は元々関東の調教師なので、関東の施設でG1レースに出したいと常々思っているんですけども、今回はオーナーさんの進言もあってなるべく勝利へのリスクを減らすようにということで。春先勝てなかったG1ですから、栗東滞在もありかなと思って滞在したわけですけど、良い方向に向いていると思います。

-:具体的には、この栗東滞在でどういうところが良くなってきたのかを教えてください。

斎:美浦からの長距離輸送のリスクがないのは一番だと思いますが、環境の変化というのもヌーヴォレコルトであればこなせるかなと考えていました。レース後1週間は体重も戻らないで、そわそわしている感じもありましたが、1週間して栗東に出張してきて体が丸みを帯びてるのを見たら、すごく良い方向に向いていると思っています。

-:美浦では見られなかった瞬発力が見られるようになったというお話も伺いました。

斎:春にちょっと足りなかったゴーサインに反応する瞬発力というのが、先週今週と追い切りを見ていても、夏を越して出てきているのかなという感じはあります。

●オークス馬として恥ずかしくない仕上がり

-:その栗東滞在の前のローズSでも、オークスからマイナス6キロという馬体減で臨んでいたわけですが、馬体重としてはそれほど変化はなくとも、その時点で春と比べて中身は変わっていたのですか。

斎:そうですね。春が終わって放牧先の山元トレセンで馬を見せてもらったときに460キロまで増えていました。そこから調教して絞って、輸送もして、トレセンに来たときが440でした。そこからトレセン内の調教を経て438キロであれば、しっかり体は出来ているのかなと。あとは、夏を越してだいぶ筋肉や体幹のブレがなくなっていたので、非常に成長しているなというのは感じていました。

-:それにプラスアルファして栗東滞在です。帯同馬は妹(ヴェールデローザ)なのですね。

斎:そうですね。3日遅れで美浦から送ってきて、デビューさせようと思ったのですが、まだ無理は出来ないということでそのまま美浦に返します。お姉ちゃんにとって、また妹にとっても、お互いに助けあって、出張馬房で話をしているように見えますので、非常に良い関係になっていると思います。

-:追い切りに関してですが、1週前の追い切りが松永幹夫厩舎の馬と3頭で併せる形になりまして、非常にいい走りでした。その辺りをまず振り返っていただけますか。

斎:この1ヶ月の栗東滞在に際しては松永幹夫厩舎のスタッフさん、また先生に調教をつけてもらって、幹夫厩舎がなかったらこの栗東滞在もなかったと思うので非常に感謝しています。1週間前は、2頭を追いかける形で岩田君が乗って、感触を確かめてもらって、非常に良い動きでした。

-:先週の時点でもう態勢は整ったのかなという印象は受けたのですが、先ほどの追い切りも50.8-12.2秒と、これもまた松永幹夫厩舎の馬を大きく追走して大きく離すという形だったとは思うんですけど、この辺りの指示、それから手応えというのはどう感じていらっしゃいますか。

斎:今週はもう、“無理をしない時計で”という指示だったのですが、幹夫厩舎からは「目標にしていいよ」と言われていたので、ほとんど単走のようなつもりで、目標にさせてもらって直線は単走にするという感じには考えていたんですけど、思いのほか動きが良くて、ちょっと予定より時計が速すぎたかなとは思いますが、それだけ調子が良いということで無理はしていません。今も上がりを見てきましたが、カイバも顔を突っ込んでいるような感じですぐに食べていますので、心配はないと思います。

-:お話を伺っていますと、春よりも、ローズSよりも今回が一番良いという風に捉えてもよろしいでしょうか。

斎:そうですね。先週岩田君が跨った瞬間にですね、「良い状態だね。前走よりも良い状態かもしれない」と言ってくれたので、それを踏まえて今日まで調教をしてきましたけど、非常に良い状態だと思います。

-:前走のような競馬が出来れば、初めての京都も関係ないと。

斎:前走みたいに先行できれば、京都の内回りの2000でも立ち回りはうまく出来るかなと、自在性のある彼女なら上手く競馬をしてくれるんじゃないかとは思います。

-:今回は追われる立場、女王として迎える一戦です。改めて、ファンに向けてメッセージをお願いします。

斎:春は強い子を目標にどうにか負かしてやろうと考えてやってきました。今回はオークス馬として恥ずかしくないよう仕上げたつもりです。追われる立場、マークされる立場ですが、他もみんな強くなっていると思いますので、頑張ってもらうように、あと何日かですがしっかり調教をしたいと思います。応援の程よろしくお願いいたします。