“ヤンチャ息子”エピファネイアの快走も角居師「まだ油断ならない」

●11月30日(日) 5回東京9日目 第34回 ジャパンC(G1)(芝2400m)

歴代最強とも言われたメンバーの中で堂々の4馬身差圧勝。10万人オーバーの観衆の度肝を抜いたのは、今年ここまで燻っていたエピファネイア(牡4、栗東・角居厩舎)。

今回はテン乗りとなったC.スミヨン騎手に導かれての先行策から、直線で後続を突き離しての快勝。「スミヨン騎手には“引っかかりますよ”と伝えていました。インの3番手に付けましたが、あそこで折り合えるかが鍵。ギリギリだったとはいえ、うまく抑え込んでくれました」と角居勝彦調教師もスポット参戦となった名手への賞賛を惜しまない。

春の2走では本来の行きっぷりが影を潜めての敗戦。試行錯誤を繰り返して秋を迎え、天皇賞はさらに着順を落として6着。それでも、終始折り合いを欠いていたように、3歳時の荒々しさを取り戻しつつあったか。「春先は前向きさが薄らいでいましたので、休み明けから気持ちを高めました。それが、天皇賞(秋)ではマイナスに出ましたね。今回は東京に着き、競馬の直前まで落ち着いていましたよ。装鞍してパドックを周回しているうち、闘争心がわき起こってきましたが、暴れるほどではありませんでした」とレース前の様子を明かした。

エピファネイア

角居調教師にとっては2009年ウオッカ以来の勝利。当時は2センチ差の大接戦となったが、今回は4馬身差。「後ろから追い上げる馬たちには、馬場も緩かったですし、辛い形だったと思います。差を広げた時点で、これなら大丈夫だと確信しました。菊花賞以降結果を残せませんでしたので、皆さんの前でいいパフォーマンを見せられて、ホッとしましたね」と時折笑顔を浮かべながらの回顧となった。

自身が手掛けたシーザリオの産駒ということもあり、やはり特別な想いは隠し切れない様子。「この仔はタイプが違い、パワーがある。時にありすぎるくらいです(笑)。でも、能力に関してはしっかり受け継ぎました」と語る指揮官は、孫を見守るかのように柔和な表情。

次走は有馬記念への参戦が予定されている。「この馬の個性がどっちに転ぶか。まだまだ油断なりません」と最後はG1続戦に向けて気を引き締めた。新生エピファネイアの鮮やか過ぎる船出。危うさと強さを取り戻した今、再び古馬王道路線の主役を務める。

エピファネイア