【阪神JF】出走なれば上位人気も 潜在能力秘めるロカ

1戦1勝の抽選対象も、新馬戦で圧巻の走りをみせつけたのがロカ。出走叶えば、一躍、上位人気も予想される素質馬は、おじにあのディープインパクトがいる牝系の出身。出走が確定していないということもあり、【ザ・インタビュー】のコーナーで取り上げることはできなかったが、若きトレーナー・今野貞一調教師にその魅力を余すことなく語ってもらった。

●阪神JFに出走叶えば台風の目に

-:阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)を予定しているロカ(牝2、栗東・今野厩舎)の1週前追い切りですが、動きは軽快だったのではないでしょうか?

今野貞一調教師:馬場があまり良くないので、ちょっとノメる感じはありましたが、トレーニングとしては良い負荷が掛かって、丁度良かったかなと思います。

-:新馬戦を使って、2走目ということの上積みは期待できますか?

今:まだまだ身体も弱い部分はありますし、使えば使うほど、上積みがあるタイプかというと、正直、そうではないですね。成長度合いからも、現状は傷むところを気にしないといけないと思っています。

-:その辺りは馬体の大きさも関係していますか?

今:大きさよりも体型ですね。

-:ハービンジャー産駒というと460キロぐらいで、コンパクトな馬が多い印象があります。加えてサンデー系の牝馬に種を付けたということで、その相性は凄く良いというデータも出ていますが、この馬は異色という印象も受けます。

今:馬格は胴が長いですね。背中が長いので、どうしても傷みやすいのです。

ロカ

12/3(水)、CWコースで和田竜二騎手が騎乗
マルカロゼッタと併せて6F82.0-65.6-51.1-37.6-12.0秒をマークした。


-:ただ、新馬戦のパフォーマンスを見ますと、出走叶った場合は阪神JFでも人気になるだろうと思います。

今:そうかもしれないですね。何より外回りの広いコースで、直線が長いというのは良いと思います。距離はもう少し長くても良いですけど、現時点では小回りとか忙しいような競馬は合わないかなと。そういうところで走るなら、この舞台の方が良いのかなと思いますね。

-:あとは馬場が綺麗な方が良さが出そうなイメージがあります。

今:バランス的には良い馬なのですが、やっぱりスライドは大きいですし、キレイに走るので、良い馬場の方が走りやすいと思いますね。

-:ハービンジャーと言うと、胸前とか肩の筋肉が発達している傾向にあると思いますが、この馬はどうでしょうか?

今:まだ薄いですね。トモなどはだいぶ丸みが出てきましたけど、トップラインの筋肉あたりはこれからもっと付いてほしいと思います。

-:それでは、ここから春にかけて、もっと成長してほしいということですか?

今:もちろんそうですね。まだ間隔は詰めて使わないですし、そうなると、ぶっつけでココということになっちゃいますね。

ロカ

開業3年目にして、クラシック候補を管理する今野貞一調教師


●未知なるバッグボーンが魅力の馬

-:デビュー戦は500キロということでしたが、レースを使って、調教を積んで、というところで、現状はいかがでしょうか?

今:筋肉の付きも、そういった風に付きますし、カイ食いも繊細なところがあるので、工夫が必要なところはあります。ただ、500キロというのはあまり変わらずですね。

-:骨格と筋肉量を考えたら、もう少し筋肉があってもいいかなと。

今:まだちょっとバランスが取れていないので、もう少し筋肉は欲しいですね。

-:血統的にも楽しみにしているファンは多いと思います。動きだけでなく、血統面も含めての人気になるのかなと。

今:母馬は未勝利ですし、姉馬も勝ってないですしね。でも、そういったバックボーンがあるから能力はあるのだと思います。僕としてはきっちりと仕上げるだけです。

-:新馬戦との比較で見ると、その仕上がり具合というのはいかがですか。段階を一つ上がれる感じでしょうか?

今:上がれるというより、上げなくては、という感じですね。ただ、弱い面もあるので、単純に使った分の上積み、といった簡単なものではないと思います。

-:2歳戦、かつ牝馬の難しさですね。

今:その辺りは承知して、気をつけていますので、馬が応えてくれたら良いなと思います。

-:ただ、新馬戦のレースを見ると、この先の期待も膨らむのではないでしょうか?

今:流れも遅かったですし、展開もありましたからね。

-:2戦目で、多頭数の阪神1600という舞台に変わります。そこの適応性はどう見ていますか?

今:前走はスローペースでの競馬で、上がりだけの競馬でした。それだけに、ペースが流れてどうなるのか。流れた上で同じ脚を使えるのか、その辺りはやってみないと分からないですね。

●来春の大目標はオークス!?

-:先生の印象ですと、どのようなタイプなのでしょうか?

今:大きい馬なので、スパッという感じではないです。前走でも後半に加速してきて、ラスト1ハロンが一番速かったですからね。なので、一気にトップスピードになるよりは多少ギアチェンジに何段階か掛かるような感じだと思います。

-:イメージとしたら、桜花賞よりもオークス向きだと。

今:距離はもうちょっと長くて良いですね。1600はベストではないと思います。器用さがないので、直線が広くて長いコースやコーナーの広さは合っていると思いますが、そこが良いだけで、距離は合っていないと思います。

-:上がり4ハロンぐらいの勝負になると。

今:そこは1回乗っている騎手ですので、騎手に聞いたほうが良いかな、と思います。

-:今日、追い切りに乗った和田竜二騎手のコメントはいかがでしたか?

今:「いいよ」とは言っていましたね。

ロカ

-:距離は合わないかもしれませんが、楽しみですよね。

今:そこは皆さん、楽しみにしているでしょう。まだ2戦目で、前走はスローの競馬でしたからね。どちらにしても終いで勝つ競馬が良いとは思います。まだ背中が弱いので、がっちり勝ちに行くよりは終いを活かす、持ち味を出す競馬になるのかなと。

-:そこは未知の魅力を秘めているということですか?

今:成長を見ながらですし、今回が最大の目標ではないですからね。

-:それでは、まず今回の阪神JFを見てからということですね。

今:そうですね。ただ出走できれば、ですけどね(笑)。

-:ちなみに出走できない場合のプランはあるのでしょうか?

今:どうですかね……。(12/27の)エリカ賞(阪神芝2000m)かな。

-:とにかく来年も期待しています。

今:順調にいってくれることを願いますね。まだ弱い部分がいっぱいありますのでね。

-:ロカの成長を期待したいですね。ありがとうございました。

(取材・写真=高橋章夫)

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