新生クリノスターオー ブリンカー着用で抜かせぬ、抜かせぬ!!

クリノスターオー

15年4月18日(土)2回阪神7日目11R 第20回アンタレスS(G3)(ダ1800m)

クリノスターオー
(牡5、栗東・高橋厩舎)
父:アドマイヤボス
母:マヤノスターライト
母父:ジェイドロバリー

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パドックで馬を観ていた。ふと気がついた事があった。アジアエクスプレスがブリンカーをしている。《そうか、以前からしていたのか~》と。そして他の馬も見渡す。クリノスターオーが今回からブリンカー着用とある。同じ高橋忠厩舎サンレイレーザーも同様の装着だ。あんまり気にしていなかったがB着用。集中させようとするのが狙いだ。《なる程ね…》と厩舎の思惑を知る。
それに見事に応えたクリノスターオー。アジアエクスプレスの逃げを1馬身以内とピッタリと喰らいついていき、直線でもステッキを入れて追う相手に対して、手綱をたぐるだけでノーステッキでの勝利。半馬身差だが、もっと永遠の差ほどの感じでゴールを駆け抜けた。いかにもブリンカー効果大の、『新生クリノスターオー』であった…。

そのパドックの周回で、マスクゾロがジワジワと気がきつくなってきていた。いわゆるイラつく感じが出てくる。前回はまだマシだった様に思えたが。ローマンロジェンドは12キロ増だがまったく太目感はなく、むしろスッキリした悪くない体だ。マルカプレジオワイドバッハは普通、印象的に薄い。馬場入りではナムラビクターがややゴネていたが、稽古でのもっとひどいのを知っているだけに、マシかと思う。

そのナムラビクターのゲートの出があんまり良くなかった様子。前進体勢にない時に開かれたと言った処か。少しだけ遅れての出となる。アジアエクスプレスがすっと出る。それにクリノスターオーがすっと並ぶ加減で行く。外からポアゾンブラックが来るが、2頭の前に出る気配はなし。その後は淡々と流れていく。
向こう正面を過ぎるあたりか、地方から参戦のサミットストーンが馬群から弾かれる様にズルっと下がり出す。それを避けたローマンレジェンドが外へ出る。後ろのマルカプレジオにワイドバッハにも影響があった様だ。

3角から4角の間で今度はアスカノロマンが急に手応えが悪くなり下がりだす。そのアオリを喰ったのが、マルカプレジオとワイドバッハ。アスカノロマンの下がりを避ける。僅かなアクシデントが、永遠の時間差となる。
前を行く2頭が一番手応えが良く、直線に入ってきてその2頭が追い合いをしての決着。最後の1ハロンが13.0と数字的にはバテてているのに後続から脚を伸ばせたのは、ナムラビクターのみ。内でひしめく馬群の中から脚を伸ばしてきて、アジアエクスプレスにクビ差まで迫る3着。スタートでの安めが惜しまれるものだった。

それにしてもブリンカー効果の大きさだ。クリノスターオーがこれ程に力強く堂々と戦う姿を観るの事は、これまではなかったかと思えるもの。集中すれば、能力はかなりあると言う事である。
アジアエクスプレスが造ったペースは1000mを1.00.1。決して遅いものでもない。ほとんどが12秒台の前半での推移。この乾いた馬場での1.49.6は、決して遅いタイムではない。

今年の初陣をいい感じで飾ったクリノスターオー。次なるステップはどこへ進むのだろう…か。
ブリンカーと言う鎧を身につけた新生クリノスターオーの快勝劇であった。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。