重厚な勝利、ラブリーデイの貫禄が違う!!

ラブリーデイ

15年10月12日(祝・月)4回京都3日目11R 第50回京都大賞典(G2)(芝外2400m)

ラブリーデイ
(牡5、栗東・池江厩舎)
父:キングカメハメハ
母:ポップコーンジャズ
母父:ダンスインザダーク

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午前はそうでもなかったのだが、昼過ぎからけっこう人が多くなってきた京都競馬場。競馬日和なのであろう。メインのパドックも、けっこうな人だかりが見つめる。ラキシスの-16キロの数字に先に眼がいってしまう。大丈夫なんだろうかと。
位置が思っていたよりも後ろ目になっていたラキシス。ラブリーデイとサウンズオブアースは、そのひとつ前の位置でレースを進める。向こう正面からメイショウカンパクが動いていくが、大方の流れで進む。
上がり勝負だ。内から真っ直ぐよどみなく伸びてくるラブリーデイ。並んでいたサウンズオブアースは前をさばくのに4角で外へ出なければいけない。その分だけの差が出たゴール前だった。2番手を進んだカレンミロティックが3着、ラキシスは狭い内目から脚を伸ばしたが4着。ワンアンドオンリーは6着と、まだ鋭さが戻っていない。


朝のパドックで、金子真人オーナーの姿を見かける。勝つ時にちゃんと来ている様に感じるのは気のせいか。馬体重が発表になって、ラキシスの16キロ減をiPadで調べる。勝った大阪杯が10キロ増だったし、その後もさらに増えているのだから、そう額面どおりに減り過ぎたとは思わなくてもいいのだろうと結論づける。実際に馬を見て腹目がやけに細いとかは感じなかった。だが、心のどこかに《イヤだな~》なんて思う気持ちはあった。
府中の10Rでゴールドアクターが楽勝して《菊花3着馬が条件とは言え、競馬にならないぐらい。じゃあトーホウジャッカルといい競馬、いやむしろこちらの方が強い競馬をしたサウンズオブアースはどうなんだ?》と、ビクビクするばかり。ラブリーデイが1番人気は当然としても、2番人気がラキシスになったりサウンズオブアースに替わったりの支持ぶりが、やっと判ってきた。オーロラビジョンに映る調教ビデオのド迫力の動きも凄く気になるサウンズオブアースであった。


スタンドのベンチに座って、大勢のファンの中で観戦する。静かな拍手がファンファーレの後でアチコチで湧く。静かで誠実な応援ぶりであり、嬉しくなってくる。
4コーナーの奥からのスタート。レコンダイトがあまり早くなかった。他はまずまず一斉か。ニューダイナスティが出て行く。フーラブライド、カレンミロティックと前に出ていく。その後ろにラブリーデイとサウンズオブアースがもう並びかげんだ。そしてラキシスと続いて眼の前を通っていく。
1コーナーを廻って2コーナーを過ぎて行く。ニューダイナスティ、カレンミロティック、フーラブライドと、前の3頭から少し離れてサウンズオブアース、ラブリーデイはその後ろのラチ沿い。そしてワンアンドオンリー、ラキシスと続く。場内アナウンスが《最初の1000mは60秒5と表示されました》と告げる。最後方のフォントルロイまで縦長である。

ラスト1000mを切るあたりの坂を昇りはじめる付近で、メイショウカンパクが動きだす。ラキシスを交して行く。そのラキシスは、やや掛かり気味なのか武豊Jがガッチリと抑えているのが見えた。
坂を下ってラスト800mで、メイショウカンパクはカレンミロティックのすぐ後ろまで接近する。しかしまだ後ろは動かない。ラブリーデイの川田Jの手綱は、ピクリともしない。サウンズオブアースもしかりである。
ラスト600mを通過。いよいよ流れが速くなった。各馬の間が狭まっていく。サウンズオブアースの浜中Jは追ってメイショウカンパクの後ろをついて行く。ラブリーデイはその右後ろ。まだそう仕掛けてはいない。ラキシスは内を狙っているのが判る。ラブリーデイの左に映っている。
生垣を廻って全馬が見えた。カレンミロティックがニューダイナスティに並んで先頭だ。そこから1馬身後ろが二列目。まだあと400近くある。内廻りの4コーナーへ入ってくる。

カレンミロティック先頭。しかしすぐ後ろに白い帽子、ラブリーデイが迫って来ている。サウンズオブアースは、メイショウカンパクを抜いて前を追う。ラキシスは、ラブリーデイの勢いに並べていない。サウンンズオブアースが急に勢いが増した様子だ。フーラブライドを挟んでラブリーデイと3頭が横並びになる。
ラスト200mの処ではカレンミロティック、ラブリーデイ、サウンズオブアースの3頭がほぼ並ぶ。しかし外2頭の勢いがいい。それもラブリーデイの勢いには重厚さが加わっている。右ステッキで追っていた川田Jも、左に持ち替えて軽く1発入れて、後は手綱を少しだけしごいて先着して行った。最後の2ハロンが10.9~11.0と、究極の決め脚である。ラキシスも伸びては来ていたが、カレンミロティックを交すまでには至らず。

1馬身と少しだが、この差はかなりあると思えるものであった。
これで、宝塚記念を含めて今年は7戦5勝のラブリーデイ。敗戦となったのが、阪神大賞典天皇賞(春)の長い距離だけ。2000~2400では負けなしの今年なのである。当然に天皇賞(秋)へ向けての前哨戦である今回の仕上げであろう。昨日の毎日王冠の勝利で喜んでいる場合ではないと感じる、ライバル達の凄さであった。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。