キッチリと差したドレッドノータス!勝負強さが身上だ

ドレッドノータス

15年11月28日(土)5回京都8日目11R 第2回京都2歳S(G3)(芝2000m)

ドレッドノータス
(牡2、栗東・矢作厩舎)
父:ハービンジャー
母:ディアデラノビア
母父:サンデーサイレンス

京都2歳Sの結果・払戻金はコチラ⇒

東から2頭の西下。ともに負け知らずの馬である。それを迎え撃つのが札幌2歳Sの勝者、アドマイヤエイカン。輸送を入れて10キロ増は成長だろうと見た。
蓋を開けると好枠のリスペクトアースが先手。2番手をドレッドノータス。2番人気のロライマがスタートで安めを売る。淡々と進むリスペクトアース。少し離れた2番手を進むドレッドノータス。結局は前々でレースを進めた2頭の決着となった。ゴール前で僅かに内のリスペクトアースを競り落としたドレッドノータスが、2戦目で重賞制覇。母よりも早い出世となった。


関西大手の競馬専門紙B紙を見ている。◎が東の1勝馬。リスペクトアースだ。そんなに強いのだろうかと思う。2戦2勝のケルフロイデよりもパドックでは良さげには見えた。そしてスタンドに陣取って返し馬を見る。2000芝だと必ず目の前を通って4コーナーへとキャンターが見れるのが嬉しい。そして驚いたのがリスペクトアースのフットワークである。手先のスナップが実に軽い。《なんと軽やかな走りをするのだろう》と、ひと眼見てこの馬にやられたと思った。アドマイヤエイカンがややコロンとした造りである。あれだけゴールドシップとの稽古で問題にしない動きだけに、スキッと仕上げっていると思っていた。北海道の時の体を知らない。だがそれにしてもの感じで、迫力までは感じない。ドレッドノータスはデビュー戦でもそう思ったが、まるで牝馬みたいな感じの馬である。それにややテンションも高い。全てにリスペクトアースに負けている気がしてならなかった。

そしてレース。スッと絶好枠を生かしてリスペクトアースが出ていく。ドレッドノータスも悪くないスタートで前に付ける。アドマイヤエイカンは悪くなかったはずだが、位置は真ん中ぐらい。ロライマがあまり出が良くなかった。1コーナー、2コーナーを過ぎて先頭のリスペクトアースは淡々と行く。ドレッドノータスが2番手だが、向こう正面では少し前と差が開く。脚を貯めているのか前が広げたのかは判らない。少しキャノンストームが順位を上げる動きを見せたが、大方は変わらない。
3角過ぎでアドマイヤエイカンが前へと進めて来た。4角では前を伺う位置まで来た。しかし前の2頭はゆるぎない勢いをキープ。
ラチ沿いをリスペクトアース、その外をドレッドノータスの2頭が前を行く。そのスピードが落ちない。むしろ後ろからは抜かれない勢いである。スタンドで大勢のファンが、各々の買った馬を応援している。そんな中で私も小さく《それ!、行け!交わせ!》とドレッドノータスと鞍上を見つめていた。

矢作師は府中遠征で留守であった。留守を預かる渋田助手とガッチリ握手をする。《ユタカ、凄いな。体の切れがいいもの!》と我々には判らない、運動する者の視点で言ってくれる。
そして、これで3週連続で2歳牡馬の重賞勝ちに気が付く。いい感じである。そして鞍上が鞍を持って検量室に入っていく時にひと言、『いいね~』と声をかけて行った。

後刻に小笠師に出会ったので、《凄い馬ですね、柔らかい馬ですね~》と思ったままを伝えさせて貰った。東にはまだまだいい馬がいると言う事を知ったし、西にも新馬を勝ったばかりだが強敵が粒揃いの今年の2歳牡馬路線である。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。