【ヴィクトリアM】パンドラ不良馬場も動き良し「勝つためにレースでひと工夫したい」

11日、ヴィクトリアM(G1)の追い切りが栗東トレセンで行われた。前走、大阪杯3着のショウナンパンドラ(牝5、栗東・高野厩舎)は、坂路で54.8-39.3-25.5-12.5秒をマーク。単走ながらもしっかりとした脚で登坂。不良発表でコンディションの良くない中、終いは良い反応を見せ、一叩きされて良化していることをアピールした。

追い切り後、ショウナンパンドラを管理する高野友和調教師の一問一答は以下の通り。

●前哨戦としては納得の内容だった大阪杯

-:まず前走の大阪杯、3着という結果でした。この結果をご覧になってどう感じましたか?

高野友和調教師:仕上りはここを叩いて次はもっと良くなるだろう、というのは事実でした。当然勝ちにも行ったのですが、レース展開的に比較的あのメンバーの中ではスローに流れて、前の2頭のレースとなりましたからね。3コーナーで勝つには厳しいかなって観ていたのですが、そこから上がっていく脚とか、直線、ゴール前はさすがに脚色が同じになりましたが、追い上げていく様子は前哨戦としては十二分な走りだったかな、と捉えました。

-:馬体重も14キロ増えた形でしたね。

高:そうですね。去年の秋にあの体重で結果が出ていたのですが、当然休み明けですし、良く食べて調教して、の体重でしたから、この体重でも走るだろうなという感じはしていましたね。

-:斤量も56キロであそこまで追い込んだというのは評価できるのではないでしょうか?

高:(前走が)やっぱりジャパンCという古馬混合のG1(勝利)なので、2キロ重く背負わされるのはわかっていましたし、要はハンデ背負ってのレースでしたから、その中であそこまでやれた、というのは今後に向けて良かったですね。

高野友和

-:昨年と同じローテーションで臨まれますが、今年は違うぞ!という部分はあるのでしょうか?

高:去年はヴィクトリアマイルを春の最大目標に置いたのですが、今年は宝塚記念を春の最大目標に置きました。去年の経験を踏まえて、中5週~中5週のこのローテーションが調整しやすかったので。この馬の成績や馬の様子を見ていると、秋華賞であったり、去年の宝塚記念だったり、ジャパンCがいずれも使って3戦目ですから、そこにピークを持って行きたいと。それで前に2戦挟むとなると、感覚的にも「同斤量で出られるここだな」と。

-:そういった面では状態面でもプラス、というのは去年から比べてありますか?

高:(ローテは)去年と同じですが、大阪杯に関しては去年もデキは良かったというのが僕の認識です。レースの馬場も違ったし、まだ本当に力が付ききる前の段階と、力をつけた今回では、レース後のダメージが全然違いましたから。まして去年の大阪杯はかなり悪い不良馬場だったし、実際そこで結果が出なかった、というレースだったので、けっこう疲労が残りました。
ですから、去年は中5週でヴィクトリアマイルに臨むにあたっても、疲労を取ってからの上昇に時間がかかりました。調教もコンマ何秒かのさじ加減までウチでやりたいなと思ったので、本番で乗る浜中君を乗せずに細かいところまでやらざるを得ない状況が去年でした。今年は文字通り一叩きというか、叩いた後の上昇しかなかったので、本当に乗り出しも早くできましたし、きっちりジョッキーにも2週前、1週前乗せられましたしね。思った通りの調整ができている感じですね。


-:2週前、1週前、池添騎手を乗せてということですが、1週前までの状態を教えてもらえますか?

高:体も十分ボリュームありましたし、きっちり負荷かけられる状況でしたので、2週前と1週前、特に2週前は(併せ馬に)動く馬を用意して負荷をかけて。1週前は少し抜けだしてもいいよ、っていう感じで肢巻とかもきっちりやってくださいってお願いして、しっかりやれていますので。1週前の追い切りの経過も良かったですからね。本当に順調に来れています。

-:そして、少し雨の残る中での坂路での最終追い切り。どんな感じですか?

高:今日はもう体も良かったので、やり過ぎなければいいな、と僕の方では思っていました。乗り手にはおおまかなラップは指示しましたが、感触で無理しないように、リズムよく、最後の1ハロンは少し出して、という風に伝えたのですが、本当にその通り上手く乗り手も乗ってきました。馬も時計というよりフットワークの動きを見ていたのですが、この 馬の本来の動きになっている感触なので、仕上がったなという実感ですね。

-:本来の動きというのはどんなものですか?

高:全身を良く使う、といったところでしょうかね、キレのある、トモの踏み込みを全身で、といったところでしょうか。

-:仕上りに関して、かなり満足された様子のですけども。

高:そうですね。ここを使って更に良くなるな、という感触は持っているのは確かなのですが、現時点での良い状態にはなったと思っています。

ショウナンパンドラ

●課題はマイルという距離

-:池添騎手に聞きますと「ポイントはマイル」と2度3度おっしゃっていましたが、高野調教師はこの辺りどういった考えでいらっしゃいますか?

高:スタート出てからそんなにダッシュを付けられる馬じゃないし、最後にエンジンがかかってくるのもちょっと遅めの馬なので、ふかしてジワジワ末脚がかかって来るタイプの馬だと思います。そういった意味ではマイルっていうのは正直、この馬の適性ではないなというのは理解しています。力があるのは皆さんも僕もわかっていますが、このレースを勝つ、っていう目的で捉えると、ちょっとひと工夫必要かなっていう感じはありますよね。適性じゃない舞台を馬の能力と、ジョッキーの技量にかけなくては行けないという、そういうレースだと思います。

-:ひと工夫というのは、レースの中でのものでしょうか?

高:まだ枠も出ていないし、具体的には……というところですが、例えば、後ろで悠長に構えていても、マイルが得意なスピード馬がいるはずだし、そういった面も含めてジョッキーと作戦を練りたいと思います。さっき追い切りが終わってジョッキーとも会って話したのですが、僕とか厩舎としては宝塚をベストにするためにここを使うけど、ジョッキーには「そんなこと考えなくていいから、ここを勝ちに行く競馬をして欲しい」とリクエストしました。

-:先ほど枠の話が出ましたが、今の東京コースの馬場の状態も加味しまして、どの枠でショウナンパンドラの力が発揮できると、高野調教師はお考えですか?

高:他の馬との兼ね合いもあるので、まだどこの枠が良いかっていうのはわからないです。基本的に常識的にいうならば内目の枠で、という意識もありますが、内目の枠だと囲まれて出てこられないこともありますからね。外目の方が邪魔されずノビノビ走ってこられる状況もありますが、やっぱり他の馬との兼ね合いもあるので、ちょっと今はわからないですね。

-:そして、去年の秋ではジャパンCで牡馬を下していますが、今回は牝馬です。牝馬同士の戦いというところではどうですか?

高:ジャパンC勝たせてもらった馬としては、気持ち的にはどうしても負けられないな、という感じはあります。ただ、さっきも言ったように、東京のマイルという舞台はこの馬の本当の舞台じゃないと思うので、ドンと構えて何をしても負けないという風には当然考えてないですし、他の馬たちG1ホースも含めて、すごい能力の持ち主ですからね。当然強敵揃いなので、こっちもきっちりやっていかなくてはいかないなという気持ちでいます。

-:最後に高野調教師のショウナンパンドラへの期待をお願いします。

高:去年と違って今年は立ち位置が違うと思うので、この馬の評価も落としたくないですし、どうしても馬券も買っていただける馬だと思うので、厩舎一同、ジョッキーも含めて、勝ちたいと思います。よろしくお願いします。