ここでは役者が違った ペルシアンナイトがデビュー戦を楽勝!

ペルシアンナイト

16年8/21(日)2回小倉8日目5R 2歳新馬(芝1800m)

  • ペルシアンナイト
  • (牡2、栗東・池江厩舎)
  • 父:ハービンジャー
  • 母:オリエントチャーム
  • 母父:サンデーサイレンス

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単勝オッズ1.5倍の圧倒的人気に応えて、2着馬に3馬身。それも鞍上の川田Jが馬場内のオーロラビジョンを見て後続を確認するほどの手応え。ステッキも手綱も何も動かさずでのラスト1ハロン。池江厩舎は在庫も十分なのは知っているが、夏のこの時期にここまで差がある馬ばかりを出走させてきている。そんな上質な馬の予感をさせるペルシアンナイトのデビュー戦、楽勝劇であった…。

ペルシアンナイトの追い切りを見る機会があった。武豊Jの乗るユイフィーユ(小倉最終日にデビュー予定)との併せ馬で、後ろから行ったのがペルシアンナイトだった。前を行く2頭からだいぶ離れた後ろから追走。4コーナーは前を行く2頭が外ラチ沿いを通るのに、少し内目から並んであっと言う間に抜き去っていった。6Fのタイムもいいし、上がり1Fの切れもいい。後は実戦でその能力をちゃんと出しきれるか否かだけであった。TV画面で見るパドックでも落ちつきはらっていた。

何もしないで後続を離してしまう。そんな印象の直線であった。それも川田Jが直線半ばで、オーロラビジョンで後ろを確認するのが判るほど。4コーナーを廻る時でも、左手で手綱に添えたステッキで肩ムチという軽いもの。これはルメールJが良く見せてくれている所作だが、ふたつみっつくれてあげただけ。後は手綱がクビの位置から動くことはなかった。それでいて11.9である。正直、ここでは役者が違い過ぎた様子。道中でも、前を行く2着馬ハッシュタクが2コーナー過ぎあたりで頭を上げたりしているのに、まったく折り合っているペルシアンナイト。川田Jのコメントにあったとおり《賢い馬》なんであろう。

夏の小倉デビューで、ダービー馬になったメイショウサムソン(初勝利は3戦目であったが、夏の小倉だった・・)を思い出させる素材にならないか、なんて思えるほどの楽勝劇であったし、その受ける印象は、これは面白い馬になるのではなかろうかと思えるもの。いやはや池江厩舎、まだまだ序の口なんであろうが、これから秋に出てくる馬はどれほどのものなのだろうか。2歳戦が始まったのが6月6日からでまだ3月も経っていないのだが、だいぶ上質の馬をけっこう見てきた。これから関西では阪神、京都と例年ならその世代を代表する馬が出てくるシーズンである。走る2歳馬を見れるのは、一人の競馬ファンとして本当に嬉しいもの。2歳戦が楽しすぎます。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。