【スプリンターズS】ビッグアーサー「王者の貫禄勝ちを見せられるようにしたい」

28日、スプリンターズS(G1)の追い切りが栗東トレセンで行われた。
前走、セントウルSを逃げ切ったビッグアーサー(牡5、栗東・藤岡健厩舎)は、助手が跨がって坂路での単走追い。先週同様、終いはビッシリと一杯に追われて4F52.5-37.9-24.6-12.8秒を計時。馬場が悪い時間帯で時計は目立たないが、動き自体は力強く、好調をキープしている。

デビューから無傷の5連勝を記録するなど、早くから逸材といわれてきたが、5歳となった春の高松宮記念で重賞初勝利がG1という偉業を達成。秋初戦のセントウルSでは自らペースを作ってそのまま押し切る横綱相撲を見せた。短距離路線の『絶対王者』として、ここも通過点とする構えだ。

ビッグアーサー



10月2日(日)に行われるスプリンターズS(G1)の共同記者会見が、栗東トレセンにて行われた。 ビッグアーサー(牡5、栗東・藤岡健一厩舎)を管理する藤岡健一調教師の一問一答は以下の通り。

●秋初戦は58キロで最高のパフォーマンス

-:前走のセントウルSからですが、初めて終始逃げるという競馬をしました。まずはこのレースを振り返っていかがでしょうか?

藤岡健一調教師:枠順が1番ということで、あまり行く馬がいないようならという話ではありました。僕自身はあまり逃げるという作戦を考えていなかったのですが、ジョッキーが上手く乗ってくれたかなと思います。

-:福永ジョッキーのファインプレイともいえるレースだったのでしょうか?

藤:そうですね。内容的には強かったので、それで結果良かったのかなと思います。

-:斤量58キロであのパフォーマンスですよね?

藤:休み明けということもあったので。結果には拘っていたのですが、内容さえ良くて次に繋がってくれればとも思っていました。

-:これまでにない逃げという競馬を観たファンはちょっとビックリしたのかなとも思いますが、ああいったレースをしたことで馬には変化などあったりはするものでしょうか?

藤:どうでしょうね。スピードがあるのは分かっているので、それを見せたことで終いは一杯一杯になっていましたけど、勝ち切ったことが次に繋がると思います。

-:そのセントウルSで収穫があったとすれば、どういった部分になるでしょうか?

藤:レースに幅が出たというか色々な競馬ができると思いましたし、本来は好位から差すような競馬が一番向いていると思いますけど、勝てて良かったです。

-:新しい面が出せた前走かと思いますけど、中2週ということで、この中間はどのように過ごしていたのでしょうか。

藤:いつもは2週前、1週前に速い時計を出して当週上がり重点というパターンなのですが、輸送もありますし中2週ということで、馬の様子を見ながらやっていました。先週上がり重点で調教できましたので、今日(9/28)も馬場状態が重かったのですけど、先週と同じように行こうという指示をしました。

●中間もビッシリと一杯の攻めを消化

-:最終追い切りは上がり重点という指示だったということですが、実際の時計は52秒5-12秒8となりました。まず、動きのジャッジはいかがでしたでしょうか?

藤:本来はもっと速い時計が出る馬ですが、一番最後の時間という馬場状態もあって少し時計がかかるだろうと、前半少し我慢するようにという指示ではありました。上がりも一杯一杯で追い切りできましたし、思っていた以上に負荷もかけられたかと。

ビッグアーサー

-:モニター越しに見ている範囲では前半2ハロンは特にうるさい素振りを見せたかのように思いますけど、そのあたりはどうですか。

藤:競馬の間隔が詰まっているので、角馬場の調整の時にも若干テンションが高い部分を見せており、できるだけ我慢させるように言いました。若干、スイッチが入っているかなという感じですね。

-:想定の範囲内、範囲外でどうでしょう?

藤:もちろん想定の範囲内です。前半もそんなに速くありませんでしたし、あれで終いがもう少し速ければとは思いましたが。馬場状態もあるのでこれで十分かと思います。

-:引き上げてきた時に助手さんとやり取りはありましたか?

藤:少しスイッチが入っているということで、前半少し掛かり気味に行った分だけ終いは一杯一杯になりましたけど、動き自体は非常に良かったということです。

-:改めてビッグアーサーのセールスポイントはどのような部分とお感じですか?

藤:絶対的なスピードがあるなというのはずっと思っていて、もちろん1200m走るのに必要な筋肉であるとか体型であるとか、全てを兼ね揃えた馬だと思っています。

-:まさに短距離の申し子と言えそうな。

藤:そうですね。血統的にもそうですし。

●勝てば史上5頭目となる春秋スプリントG1制覇!

-:セントウルSから中2週で、今度は未勝利以来の関東圏への輸送ということになりますが、そのあたりはいかがでしょうか?

藤:最初の頃は輸送に問題があった馬ですが、小倉とかにも行っていますので。今はスタップも把握できていますし、輸送に関しては全然心配していません。

-:週中は秋の長雨が続いていまして、当日も雨の予報が出たり出なかったりとしていますけれど、仮に渋った馬場への適性というのはどうでしょうか。

藤:昨年、高松宮記念の当日に勝ってるんですけど、非常に馬場が悪くても凄いパフォーマンスを見せてくれたので、馬場が渋るのも晴れるのも全く問題ないと思っています。

ビッグアーサー

自信溢れる表情でインタビューに答える藤岡健一調教師

-:今回はどういったレース、展開、位置取りを想像されていますか?

藤:セントウルSと違って行く馬がいるので時計も速くなるでしょうし、前半行く馬の後ろで好位につけられれば外回っても大丈夫でしょうし、終いもキレる脚があるのでどういう競馬になっても特に心配していません。

-:最後になりますが、ビッグアーサーには同一年の春秋スプリントG1制覇が懸かります。達成されると史上5頭目ということになりますけど、スプリンターズSに向けての意気込みとファンへのメッセージをお願いします。

藤:春の王者として前走もキッチリ勝ってくれましたし、春秋スプリント王としてこの馬の価値を高められるよう一生懸命頑張ってきましたので、あとは皆さんに応援していただいて、スプリント王者の貫禄勝ちを見せられるようにしたいです。