【天皇賞(秋)】国内ラストのエイシンヒカリ「世界レベルのこの馬と一緒に勝ちたい」

エイシンヒカリ

26日、天皇賞(秋)(G1)の追い切りが栗東トレセンで行われた。 前走、英・プリンスオブウェールズS6着のエイシンヒカリ(牡5、栗東・坂口則厩舎)は、CWコースで単走、終い重視の調整。直線で武豊騎手がゴーサインを出すと伸び伸びとしたフォームで一気にゴールへ。6F79.7-63.6-49.7-36.7-12.6秒をマークした。

「テンションが上がりすぎて、自分の競馬が出来なかった」という昨秋の反省から今年は前哨戦を使わず、直接秋の盾へ。いい意味で変わりないという状態で迎える国内ラストラン。自身の春秋連覇がかかる一戦でマジックを見せることが出来るか。この馬の出方が大きなカギを握るのは言うまでもないだろう。


追い切り後、騎乗する武豊騎手の一問一答は以下の通り。

●弾むようなフットワークで折り合いも申し分なし

-:まずは春から振り返っていただきたいのですが、海外のG1を連勝して3戦しましたが、どういうふうに振り返られますか?

武豊騎手:年末の香港から、年が明けてヨーロッパへ行って。本当にいい結果をフランスでは出してくれましたし、この馬の強さを世界の人に見てもらって嬉しかったですね。

-:10馬身差の圧勝。相手も非常に素晴らしいメンバーの中でしたね。

武:伝統のあるレースで嬉しかったです。

-:海外で連勝したり、一番の収穫というのはどんなところでしたか?

武:もともと能力の高い馬だなと思っていたのですが、この馬のパフォーマンスを出せたというのは大きかったですね。本来の姿を。

-:夏を越えて、秋初戦を迎えます。先週19日の調教は非常に速い時計が出ましたが、どういうふうに振り返られますか?

武:久しぶりに乗せてもらったのですが、少し前半予定していたよりも速くなってしまって、折り合いを欠いてしまって。その分ラストのタイムがかかってしまったのですが、ただ、強い調教をしたかったので、そういう意味ではしっかり出来たかなと思っています。

-:今週の調教の意図、指示はどんなものだったのですか?

武:折り合いを付けたいとは僕自身ありましたし、あまり軽くなりすぎないように、とは言われていましたので、その辺を気を付けて乗ったのですが、今日はいい調教が出来たと思います。

-:スタンド前から入っていって、非常に軽く、気持ち良さそうに走っている印象だったのですが。

武:今日は前半ゆっくり走ってくれたので、本当にラストの伸びも良かったですし、ちょっと難しい馬ですが、今日はうまくいきました。

-:その分、本番への手応えは増してきましたか?

武:状態はいいと思います。

-:去年は毎日王冠を勝って天皇賞9着という流れでしたが、今回の臨戦過程をどう見ていらっしゃいますか?

武:昨年、毎日王冠はいいレースが出来たのですが、天皇賞の時は当日凄くテンションが上がってしまって、イレ込みがキツかったですね。それもあってか、レースでもいいリズムで走れなかったので、まったくいいところが出せなかったのは正直ありますね。恐らくそれを踏まえてだと思うのですが、先生の方から「秋は天皇賞から」と早くから聞いていましたので、しっかり態勢は取れていると思います。

-:天皇賞からというのはマイナスではない感じですか?

武:むしろ、そういうこともあって前哨戦を使わなかったみたいですね。

-:そういった意味ではぶっつけ本番みたいな形になりますが、エイシンヒカリにとってはいい感じなのですね。

武:休み明けというか、レースが開いても走れる馬なのでね。結果も出ていますから、いいと思います。

-:もちろん去年も経験しているのですが、東京2000mというコースと距離についていかがですか?

武:距離は2000mで何度も結果を出している馬ですから、距離はまったく問題ないですが、東京2000mというか、天皇賞というレースがどうしても逃げ切るのが難しいレースなので、そういう意味では逃げる形を多くとってきているこの馬には決して楽なレースではないと思いますけど、この馬の力を出せればそれも克服出来ると思っています。

●世界レベルの走りを約束!

-:エイシンヒカリの理想的なレースというのはどんなものなのでしょう?

武:どうでしょう(笑)。本当に難しいですからね。決して絶対に逃げなければダメという馬ではないのですが、フランスで勝った時も2番手からでした。ただ、いかに道中馬が気分良く走るかという、ただそれだけなので、そのためには先手を取った方がそういう形に持ち込みやすいかな。というのはあります。他の馬の出方もありますからね。

-:天皇賞のコースも少し改善されました。

武:スタートしてすぐコーナーなので、各ジョッキーいいポジションを取りたい意識が強くなりますから、どうしてもペースが速くなりますね。

-:普段のレース以上に枠は気になりますか?

武:普通に考えると外はかなりロスがあると思います。

エイシンヒカリ

-:1年間、エイシンヒカリと競馬を行われてきたわけですが、どんなところが成長したり、変わってきたという部分はあるのでしょうか?

武:あまり変わっている感じはしないですけどね(笑)。先週、帰国後初めて乗って、どうかなと思って乗ったのですが、相変わらずだな、というのが正直な感想でしたね。難しいです、この馬は。

-:年内で引退も決まっているようなところもあるのですが、そういった意味では国内最後のレースとなります。そのあたりは?

武:今年はこの天皇賞と12月の香港カップとこの2戦で引退と聞いていますから、日本で走るのはこれがラストですし、海外ではG1を2つ勝っていますが、日本では勝っていないので。本当にラストチャンスでもちろん勝ちたいというのはありますけど、この馬の強さを日本のファンの前でも見てもらいたいという気持ちが強いです。

-:武豊騎手自身も春秋連覇がかかります。

武:これだけの馬に乗って出られるわけですから、当然狙っていますし、楽しみですね。

-:最後にファンの皆様にメッセージをお願いします。

武:世界レベルのこの馬と一緒に勝ちたいと思います。頑張ります。