研究員ヤマノの重賞回顧

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9/1(土)、新潟競馬場で行われた新潟ジャンプS(3歳上、JG3・芝3250m)は、好位から競馬を進めた穂苅寿彦騎手騎乗の1番人気ミヤビペルセウス(牡7、美浦・戸田博文厩舎)が、2角から早めにハナに立つとそのままインをロスなく進みそのまま後続を寄せ付けず快勝した。

4馬身差の2着には7番人気ノボライトニングが、さらにアタマ差の3着には3番人気デンコウグリーンが入線。
勝ったミヤビペルセウスは、ここが3ヵ月半の休み明けの一戦だったが、最近の成績、特にコウエイトライをチギった前走が評価されたのか、断然の1番人気に支持されていた。
周知のとおり、結果的には人気に応えて快勝したわけだが、早めに強引に競りかけてモノにした勝ち方からは、着差ほどの余裕を感じられなかったのは私だけだろうか?
鞍上の穂苅騎手は昨年もこのレースを制していて、ここは連覇がかかる大事な一戦だった。
さらに、厩舎にとっても、バブルガムフェロー産駒のJRA重賞初勝利がかかっていた。
そんなレースで、手綱を取るジョッキーに重圧がかかるのは無理もないだろう。
ただ、問題はこれからだ。今後、さらなる強豪と雌雄を決する戦いで、もし今回のような強引な競馬をするのなら、それは果たして通用するのだろうか?
ステージが上がれれば当然相手も強くなり、また大舞台独特のプレッシャーにも襲われるだろう。 そのあたりを意識したレース運びをしなければ、今後の戦いは厳しいものになるに違いない。

翌2(日)、新潟競馬場で行われた新潟2歳S(2歳、G3・芝1600m)は、好位からレースを進めた蛯名正義騎手騎乗の4番人気エフティマイア(牝2、美浦・矢野進厩舎)が、最後の直線で馬場の中央からジリジリ末脚を伸ばし、2着の16番人気シャランジュの追撃を1.1/2馬身かわし優勝した。
さらにクビ差の3着に9番人気ゴールドストレインが入線。田中勝春騎手騎乗の1番人気タケミカヅチは6着に敗れた。
勝ったエフティマイアは、前走のOP戦、マリーゴールド賞では1番人気に支持され快勝したが、ここでの評価はあまり高くはなかった。
それは決して派手ではないこの馬のレースぶりから来ているのかもしれない。
実際、1番人気に支持されたのは前走で33.0の強烈な決め脚を見せたタケミカヅチだった。
ところが結果的に優勝したのは、全く違うタイプの、好位から抜け出す形のスタイルを持つエフティマイア。
多頭数の重賞で頼りになるのは、派手さはなくともこんなタイプなのかもしれない。
とはいうものの、2着に飛んできたのは、前走とは一変、超弩級の豪脚を披露した16番人気のシャランジュ。
これだから競馬はわからない。
しかし調べてみると、やはり攻略の糸口はあった。
安易かもしれないが、毎年のように好成績を残している牝馬から入れば…。
軸としてはシャランジュは買いづらいだろうが、そのあたりを考慮すれば押えにはすることができたかもしれない。
もっともそれに気付くのは、愚かにもいつもレース後なのであるが…。

同2(日)、小倉競馬場で行われた小倉2歳S(2歳、G3・芝1200m)は、好位からレースを進めた和田竜二騎手騎乗の5番人気マルブツイースター(牡2、栗東・中尾正厩舎)が、最後の直線で外にふくれ気味になりながらも、逃げ馬をかわすとそのまま脚を伸ばし、2着の6番人気ミリオンウェーブを2馬身退け、見事栄冠に輝いた。
さらにクビ差の3着には1番人気の牝馬マイネレーツェルが入線。
勝ったマルブツイースターは、追い切りでは3頭併せで未勝利馬にも遅れを取っていた。
そのあたりも人気にならなかった要因の一つなのだろう。
それでいて本番では快走するのだから、馬券を買う側にしてみれば少々厄介な存在だ。
競走馬には調教駆けするタイプとしないタイプがいる。
『マルブツイースター』この名前は、あまり調教駆けしないタイプの馬として覚えておいても、決して損はないだろう。

同2(日)、札幌競馬場で行われたサマー2000シリーズ最終戦・札幌記念(3歳上、G2・芝2000m)は、終始先頭でレースを引っぱった藤田伸二騎手騎乗の5番人気フサイチパンドラ(牝4、栗東・白井寿昭厩舎)が、最後の直線で強襲してきた12番人気アグネスアークの追撃をクビ差しのぎ切り、めでたく今年初勝利を挙げた。
さらに1馬身差の3着には3番人気サクラメガワンダーが入線。
安藤勝己騎手騎乗の1番人気マツリダゴッホは7着に敗れた。
勝ったフサイチパンドラは、今夏競馬界に衝撃を与えた馬インフルエンザで陽性となってしまった馬の1頭だった。
ところがこれが災い転じて福となった。
この札幌記念自体がレース順延となり日程変更となり、フサイチパンドラも出走できることとなったのだ。
それどころか、強敵と目されていた、同じく馬インフル陽性となったサンレイジャスパーはここを回避。
さらに枠順も願ってもない最内枠を引く強運ぶり。
今回のメンバーで唯一のG1馬だった事は周知の事実だが、それも優勝馬の降着による繰り上がりの優勝だった。
この馬は強運の星の元に生まれているのかもしれないという考えが、ふと脳裏をよぎった。