西で菊花賞トライアルの神戸新聞杯が中京競馬場である。のだが、どう見てもこちらのオールカマーの方が断然に面白そうだ。

3冠牝馬のデアリングタクトが長期休養から復活した春後半、ヴィクトリアマイル6着から宝塚記念ではタイトルホルダーから4馬身離されたがコンマ6秒差の3着、ディープボンドには先着した。そして秋はここから動き出す。

そして私のイチ押し馬、テーオーロイヤルも出ている。この馬をジックリと観たのが昨秋10月の中京1勝クラス。着差以上の強さにマイメモに《強し!》と書き込んだ。それからが楽しくなる連勝でついに春の天皇賞へ出て3着。それも4コーナー手前から勝ちに行ってのもの。残念ながら1馬身、ディープボンドに差されたが納得の戦いだった。他にも長期休養明けを鳴尾記念勝利したヴェルトライゼンデ。実力馬の復活でもある。また川田Jはソーヴァリアントとのコンビで注目。脇役も多く楽しめそうだ。

【ローズSの回顧】

22年9月18日(日)中京11R ローズS(G2、芝2000m)
  • アートハウス
  • (牝3、栗東・中内田厩舎)
  • 父:スクリーンヒーロー
  • 母:パールコード
  • 母父:ヴィクトワールピサ
  • 通算成績:5戦3勝
  • 重賞勝利:
  • 22年関西TVローズS(G2)


2歳戦ながらレコードが出た馬場コンディション。台風14号での雨の影響はそうもなかった中京競馬。秋華賞の前哨戦のローズSだが、重賞勝ち馬が1頭も居ない小粒なレースだと随分と低い評価をしていたレース前。終わった後には何か躍動する若い力を観た想いだった。

川田Jに導かれ着差以上に楽な勝ちを収めた秋のアートハウスは強かった。だが2着のサリエラの末脚が実に気持ちのいい程の伸び具合。体半分まで詰め寄った最後の詰めはなかなかのもの。レースの上り3Fが34・5。サリエラは33・7と切れた。

勝ったアートハウスは絶好の5番手でレースを進め、直線でもあと400から前へ出て、あと300でほぼ先頭。そこから3度のステッキだったが、促す叱咤激励のハードなものでなくソフトに柔らかく、最後の詰めを彼女に教えていた様に感じられるもの。最後は流し気味でゴールに入った様に感じられた。

ルメールに導かれてエンジンがかかったサリエルが猛追したが道中の位置を考えればかなりの決め脚だ。パドックでサリエラを観た時にはマイナス2キロで体つきもお腹から後ろが細く切れ上がるスタイル。420キロとあまり見栄えもしない体に思えた。ところがである、馬場へ入場し返し馬に入った時の雰囲気だ。それまでと違い流線形を造り走って行く、何とも言えないシルエットだ。TV画面でこれである、現地で観ていたら惚れ込んで絶対に1着固定で馬券を買ってしまうだろうの興奮を覚えた。血統の凄さはこんな処に出ると感じた。3着のエグランタンがクビ差まで詰め寄っていたが、あまり視界に入ってなかった。問題は関東馬で美浦に帰った後に中3週でまた阪神へ輸送。そこだけが問題のサリエラ。アートハウスは母パールコードの秋華賞2着のリベンジに燃える。胸を張って本番に迎えるのが大きい。中内田厩舎と川田Jの黄金コンビで勢いが増してきている秋である。