競馬専門紙にて記者として30年余り活躍。フリー転身後もその情報網を拡大。栗東の有力ジョッキーとの間には、 他と一線を画す強力なネットワークを築く平林氏が、現場ならではの視点でレースを分析します。
【秋華賞】史上7頭目三冠牝馬誕生となるか
2022/10/10(月)
桜花賞、オークスの2冠馬、スターズオンアースが居る。3冠そのものが凄いことではあるし、このレースの勝ち馬を振り返ると凄い馬が勝っているのが良く判る。夏を超えて充実の秋だけに素質が開く頃合いなのだろう。戦列復帰をしている馬は成長を数字からも判断できる。春以来の馬はパドックで観てからとしたい。スターズオンアースは骨折明け、それも両前脚の剥離骨折だそうだ。実戦としては約5ケ月ぶり。稽古も入念にやっているし今はあまり気にしなくていい時代なのだろう。が、昔のTM気質から嫌ってしまいそうだ。
春にいい馬体だと思っていたのがプレサージュリフト。後肢から来るものかスタートが良くないが、そこも解消されていたら面白い馬だろうと。もちろんアートハウス、スタニングローズの秋緒戦で好発の馬にはチャンスは大きい筈だ。
【毎日王冠の回顧】
22年10月9日(日)東京11R 毎日王冠(G2、芝1800m)
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サリオス
- (牡5、美浦・堀厩舎)
- 父:ハーツクライ
- 母:サロミナ
- 母父:Lomitas
- 通算成績:14戦5勝
- 重賞勝利:
- 22年毎日王冠(G2)
- 20年毎日王冠(G2)
- 19年朝日フューチュリティ(G1)
- 19年サウジアラビアRC(G3)
《サリオス、完全復活!》そんなタイトルがすぐに浮かんだゴール過ぎだった。それほどサリオスの最後の伸びは鋭く際立っていた。
乾いた芝で1000M通過が57・9は速すぎない。ノースブリッジの出遅れで結果的に単騎逃げとなったレッドベルオーブ。最初だけキングオブコージが来ていたがすぐに一人旅となる。キングオブコージに替わって二番手にあがったのはレイパパレ。そのうしろを外枠発走となったダノンザキッドが続く。ポタジェがその内にキングストンボーイが後ろから加わり、サリオスはその馬群の後ろの内めので2馬身ぐらいで4コーナーへ向かう。逃げたレッドベルオーブの脚色は衰えだしたがまだ横並び。
後400を過ぎてレイパパレが前へ出て、ダノンザキッドが追う。後ろからでは外をジャスティンカフェの伸びがいい。サリオスは内から真ん中へ出したが前はまだ二列ぐらいある。外へ出すことは一度も考えていなかった様子でそのまま真っすぐ前が開く瞬間を待つ松山。ポタジェの内に隙間が空いた瞬間に入る。前はダノンザキッドがレイパパレを抜いた瞬間に外のジャスティンカフェが前へ出た。その2頭のそれこそ1頭がやっと入れる隙間にサリオスが入る。松山の右ステッキが2発、また1発。さらに2発、最後は見せムチでゴールへ入った瞬間に右こぶしを下へとガッツポーズの鞍上だった。
おそらく最後の1Fは11・1ぐらいの伸びをしていたのではなかろうか。後ろから長い脚を使ったジャスティンカフェも見事だが、それをも上廻る脚色で二年越しの勝利を重ねたサリオス。昨暮の香港Cの3着、春に安田記念3着はあったがやはり真っ先にゴールこそが完全復活だろう。堀厩舎はサリオスで700勝とし月曜盛岡で南部杯を勝利。松山も月曜の京都大賞典勝利と勢いに乗る。強い馬が勝つ、騎手も強い馬に乗る事が肝心。競馬には流れがある。流れに乗る事が大事である。
プロフィール
平林雅芳 - Masayoshi Hirabayashi
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、その情報網を拡大し、栗東のジョッキーとの間には他と一線を画す強力なネットワークを構築。トレセンおよびサークル内ではその名を知らぬ者はいないほどの存在。