去年が42年ぶりの阪神競馬場での菊花賞だった。凱旋門賞挑戦となった勝ち馬タイトルホルダーの勝利は当たり前と今なら思えるもの。最近はこの長丁場を避け秋の天皇賞へと向かう傾向が多い。ダービー2着のイクイノックスが向かう様だ。しかし、ここの勝ち馬をみれば後に年度代表馬に輝いた馬も居ればターフを賑わした馬ばかり。やはり大事なレースである。

ダービーでいい競馬をした3着アスクビクターモアはセントライト記念で秋緒戦を迎えたがクラシック経験のないガイアフォースに後塵を浴びてしまった。ダービー5着プラダリアは神戸新聞杯からスタートが8着敗退。両馬ともに馬体が春とそう変わらぬ数字での出走。夏にパワーアップとまではいかなかったか。父キタサンブラックのガイアフォースが1番人気となるのか。神戸新聞杯勝ちのジャスティンカフェも杉山晴紀。先週に続く同厩舎ワンツーフィニッシュならば歴史的快挙となるが。

【秋華賞の回顧】

22年10月16日(日)阪神11R 秋華賞(G1、芝2000m)
  • スタニングローズ
  • (牝3、栗東・高野厩舎)
  • 父:キングカメハメハ
  • 母:ローザブランカ
  • 母父:クロフネ
  • 通算成績:10戦5勝
  • 重賞勝利:
  • 22年秋華賞(G1)
  • 22年紫苑ステークス(G3)
  • 22年フラワーカップ(G3)


ちょっと眼を離している間にサウンドビバーチェがまた放馬した様だ。その経緯も観ていなく何も判らないまま。そのままゲート入りが可能だったのだろうからたいした事はなかったのだろう。

そして、ゲートオープン、だが、そこで思わず《エッ!》と声が出た。ナミュールとスターズオンアースの両方を観ていたのだが、その両馬が開いたすぐ後で変な恰好をした。スタニングローズが出た後で外へ流れナミュールがそれに反応して外へ。そこで狭くなったスターズオンアースが下がってしまった様に見えた。後で見るとそもそもスターズオンアースは最初から出が良くなかった様でなお位置が後ろになった模様だ。2000Mのまだ1、2Mが始まった段階で大きなアドバンテージを喰らった感が観ているこちらにはあった。

だがレースを終えて、ジョッキーコメントを読んでもそこはあまり触れていない。そんなものなのかな~とちと思ったものだが。何であれスタニングローズは絶好の位置でレースが出来て完璧なレースぶり。直線でも早めに仕掛けてのゴール。それでいてナミュールに半馬身差。あそこがなければ、いろいろとタラレバを考えていたが、それも競馬であるのだから受け止めよう。

凄かったのはスターズオンアースで4コーナーのあの位置からではとてもと思える処から狭い処を縫う様に伸びて一旦は2番手まであがったのではなかろうか。ゴール前でナミュールとの追い合いとなったのだが、外のナミュールの伸びにハナ差負けたが、スタート、直線入り口でのあの絶望的な位置を考えれば、この馬はやっぱり凄い馬だ。

スタニングローズが枠場で鞍を外している処へ矢作師も駆けつけ、もちろん高野師に声をかけてから弟子の坂井瑠星Jの初GⅠ勝利に言葉をかけているシーンが実に良かった。世界へとチャレンジ続けるホースマンだ。薔薇一族悲願のGⅠ勝利のスタニングローズであった。