競馬専門紙にて記者として30年余り活躍。フリー転身後もその情報網を拡大。栗東の有力ジョッキーとの間には、 他と一線を画す強力なネットワークを築く平林氏が、現場ならではの視点でレースを分析します。
【菊花賞】牡馬クラシック最終戦。過去の勝ち馬を見れば名馬多きレース
2022/10/17(月)
ダービーでいい競馬をした3着アスクビクターモアはセントライト記念で秋緒戦を迎えたがクラシック経験のないガイアフォースに後塵を浴びてしまった。ダービー5着プラダリアは神戸新聞杯からスタートが8着敗退。両馬ともに馬体が春とそう変わらぬ数字での出走。夏にパワーアップとまではいかなかったか。父キタサンブラックのガイアフォースが1番人気となるのか。神戸新聞杯勝ちのジャスティンカフェも杉山晴紀。先週に続く同厩舎ワンツーフィニッシュならば歴史的快挙となるが。
【秋華賞の回顧】
22年10月16日(日)阪神11R 秋華賞(G1、芝2000m)
- スタニングローズ
- (牝3、栗東・高野厩舎)
- 父:キングカメハメハ
- 母:ローザブランカ
- 母父:クロフネ
- 通算成績:10戦5勝
- 重賞勝利:
- 22年秋華賞(G1)
- 22年紫苑ステークス(G3)
- 22年フラワーカップ(G3)
ちょっと眼を離している間にサウンドビバーチェがまた放馬した様だ。その経緯も観ていなく何も判らないまま。そのままゲート入りが可能だったのだろうからたいした事はなかったのだろう。
そして、ゲートオープン、だが、そこで思わず《エッ!》と声が出た。ナミュールとスターズオンアースの両方を観ていたのだが、その両馬が開いたすぐ後で変な恰好をした。スタニングローズが出た後で外へ流れナミュールがそれに反応して外へ。そこで狭くなったスターズオンアースが下がってしまった様に見えた。後で見るとそもそもスターズオンアースは最初から出が良くなかった様でなお位置が後ろになった模様だ。2000Mのまだ1、2Mが始まった段階で大きなアドバンテージを喰らった感が観ているこちらにはあった。
だがレースを終えて、ジョッキーコメントを読んでもそこはあまり触れていない。そんなものなのかな~とちと思ったものだが。何であれスタニングローズは絶好の位置でレースが出来て完璧なレースぶり。直線でも早めに仕掛けてのゴール。それでいてナミュールに半馬身差。あそこがなければ、いろいろとタラレバを考えていたが、それも競馬であるのだから受け止めよう。
凄かったのはスターズオンアースで4コーナーのあの位置からではとてもと思える処から狭い処を縫う様に伸びて一旦は2番手まであがったのではなかろうか。ゴール前でナミュールとの追い合いとなったのだが、外のナミュールの伸びにハナ差負けたが、スタート、直線入り口でのあの絶望的な位置を考えれば、この馬はやっぱり凄い馬だ。
スタニングローズが枠場で鞍を外している処へ矢作師も駆けつけ、もちろん高野師に声をかけてから弟子の坂井瑠星Jの初GⅠ勝利に言葉をかけているシーンが実に良かった。世界へとチャレンジ続けるホースマンだ。薔薇一族悲願のGⅠ勝利のスタニングローズであった。
プロフィール
平林雅芳 - Masayoshi Hirabayashi
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、その情報網を拡大し、栗東のジョッキーとの間には他と一線を画す強力なネットワークを構築。トレセンおよびサークル内ではその名を知らぬ者はいないほどの存在。