昨年のあの歓喜からもう1年とは早すぎる。

ダービーの勝利の瞬間は何度も経験してはいるが、馬場内からスタンドを観る景色はなかなか体験できるものでない。わが競馬人生でも最高のハイライトだった。先週に本城雅人氏の《あかり野牧場》を読み終えた。ダービーへの道、思わずむさぼり読んだ。

さて今年のダービーはどうなのだろう。キタサンブラックの子供がいい。ソールオリエンスの皐月賞でのあの脚は度肝を抜かれた。それまでのイメージとは違うものだった。キタサンブラックも極悪馬場の天皇賞で見せた凄い底力、それを彷彿させるものだった。今度はどんな競馬になるのだろう。

そしてスキルヴィングだ。青葉賞の勝ち方も半端ないもの。過去、青葉賞からダービー勝ち馬は出てないが、そろそろ扉をこじ開ける時か。最後の切符を確保したサトノグランツ。テン乗りのタスティエーラ、ファントムシーフと力は拮抗している今年のダービーだ。

【オークスの回顧】

23年5月21日(日)東京11R オークス(G1)(芝2400m)
  • リバティアイランド
  • (牝3、栗東・中内田厩舎)
  • 父:ドゥラメンテ
  • 母:ヤンキーローズ
  • 母父:All American


今年のオークスは3冠牝馬になるだろうリバティアイランドのただの通過点だった。そんなあまりの強さに痺れていたレース後の数分であった。1頭だけ別次元の能力の馬が居る、そんな感じのレースであった。

終いがいちばん速い、切れる馬が絶好のポジションに居る道中。直線も何の邪魔もなくスムーズな進路。ステッキは2発入れたけれども単なるゴーサイン。そして差が開いているにも関わらず、馬なりではなく強め程度に追いながらのゴール。全てがこのレースだけでなくこの後のための躾と言うか馬とのコンダクト。そんな風に感じるものだった。

今年の秋の偉業、そして古馬との戦い、そんな長いスパーンで考えているスタンスだろうか。あの桜花賞でただ者ではないと判ったがあのアーモンドアイ級の馬なのだとハッキリと判ったオークスであった。

水曜の最終追い切りが終わるまでは、リバティアイランドの中間の稽古過程で1週前が軽いのではないか、もしかして体が減っていて最後までこの程度での調整なのかと疑っていた。ところが3頭併せでの追い切り、颯爽たる動きを観れば、そんな自分が恥ずかしくなった。強い馬は強い、その域の馬に失礼だった。

そして相手はハーツクライ2頭と最終結論に達した。実際、直線半ばで《豊だ、ソーダズリングだ!》と口に出た程。だがあとが続かなかった。最後にハーパーが伸びて少しはホッとしたが、ドゥーラの一瞬の伸びには驚いた。

ラヴェルにシンリョクカにヒップホップソウルと続くゴールにほぼお手上げであった。あとでスタート直後にイロイロとあった様だが、それも競馬であろう。

桜花賞の回顧で《この世代でNO1の馬と確信する》と書いたがまさしくその通りにシナリオは進んでいる。JRAの川田将雅のジョッキーカメラもなかなかに良かった。いい映像となっている。これもレース後の楽しみのひとつ。いい競馬を観させていただきました。