ベテラン馬券師・研究員Mの重賞回顧

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3/17日(土)、中山競馬場で行われたフラワーC(3歳牝、G3・芝1800m)は、終始先頭でレースを進めた柴田善臣騎手騎乗の1番人気ショウナンタレント(牝3、美浦・二ノ宮敬宇厩舎)が、軽快に逃げ脚を伸ばし、最後まで先頭を譲ることなく6番人気ホクレレに1.1/2馬身差をつけ逃げ切り快勝した。
レースはゲートが開いてもしばらくはどの馬がハナに立つか分からない混沌とした状態で始まった。
その中から1角でコーナーワークを使って先頭に踊り出たのがショウナンタレント。
尾を振って軽快に逃げていくショウナンタレントの逃げ脚は、最終コーナーを迎えても全く衰える気配を見せず、最後まで鞍上が手綱を持ったままの余裕の競馬で快勝し、桜花賞へと駒を進めることとなった。
本番では、ウォッカ、ダイワスカーレット、アストンマーチャン等の強豪と激突することとなる。
そこでは決して楽なレースにはならないだろうが、もし今回のようにマイペースの競馬が叶うのなら、昨年アサヒライジングが逃げてあわやのシーンがあったように、このショウナンタレントが一泡吹かせるシーンがあってもおかしくはない。
長距離輸送も無事こなして、万全の状態で本番に臨んでもらいたいものだ。
この馬の頑張り次第で、桜花賞がまた一つ面白くなるはずなのだから。

3/18日(日)、中山競馬場で行われたスプリングS(3歳、G2・芝1800m)は、最後方からレースを進めた、横山典弘騎手騎乗の1番人気フライングアップル(牡3、美浦・藤沢和雄厩舎)が、最後の直線で豪快に末脚を伸ばして、最後は 2着に入線した3番人気マイネルシーガルに3/4馬身差をつけ優勝した。
レースは大方の予想通りショウワモダンが果敢にハナを奪うも、マイネルシーガルが積極的に2番手につけて絡んでゆき、楽な逃げを許さなかった。
やはり先団に取り付けると目されていたフライングアップルは、出遅れで最後方からの競馬を余儀なくされた。しかしこれがこの後、好結果を生む事となる。
いつもとは違う最後方からの競馬となったフライングアップルだったが、鞍上の横山騎手は決して慌てず、虎視眈々と先団を睨み、折り合いに専念して脚を溜めた。
インからロスなく競馬を進めると、最後の直線で前が開くや否や、抜群のタイミングで追い出しにかかり、それまで溜めていた脚を一気に解放した。
他馬との脚色の差は一目瞭然で、先に抜け出していたマイネルシーガルをゴール前で図ったように捉えると並ぶ間もなくそのまま差し切り、外国産馬で初めてこのレースを制すという快挙を成し遂げた。
優勝したフライングアップルは、重賞未勝利ではあったが何度も重賞で接戦を演じてきた能力の持ち主だが、それが今までのように前々の競馬から押し切るという形ではなく、後方から差すスタイルで結果を出せたことは大きな収穫だ。
本番の皐月賞では、かつて破れたライバルたちと再び合間見えることとなるが 今回身につけた新たな競馬スタイルは、本番で戦うための心強い武器となることだろう。

同3/18日(日)、阪神競馬場で行われた阪神大賞典(4歳上、G2・芝3000m)は、好位からレースを進めた、武豊騎手騎乗の2番人気アイポッパー(牡7、栗東・清水出美厩舎)が、ゴール前での大激戦を制し見事栄冠に輝いた。
ゲートが開くとまず先頭に踊り出たのはマイソールサウンド。
その後レースは淡々と流れて行ったが、1コーナー付近でその展開はガラっと変わった。
マイソールサウンドに変わってハナに立ったのはコスモプロデュース。そしてつれて2番手まで上がっていったのが1番人気ドリームパスポート。
最終コーナーを回るとドリームパスポートが先頭に踊り出たが、徐々に差を詰めていたアイポッパーがいい手応えで並びかけて来ると、直線では激しい叩き合いとなった。
そしてこの2頭の叩き合いに、トウカイトリックとG1馬デルタブルースも脚を伸ばして激しく迫ってきたが、ゴール前での実力馬4頭の激しい叩き合いを制したのは、前走で初重賞勝ちに輝いた7歳馬アイポッパーだった。
同馬は1昨年このレースで2着に入着したものの勝ち星には恵まれず、前走でようやく初重賞制覇したばかりだったが、過去に同レース7勝の武豊騎手を鞍上に迎えた今回は絶好のチャンスだった。
今回の勝利は鞍上の手腕によるところも大きかった事は否めないが、チャンスをしっかりものにできたところに、この馬の確かな地力強化がうかがえる。
武豊騎手がいない本番の天皇賞(春)こそ真価が問われる一戦となるが、目下の勢いなら春の大一番でもチャンスは十分にある。
怯むことなく、ぜひ好勝負を期待したいところだ。