コースのポイント!


特徴あるレイアウトの多いヨーロッパの競馬場。サンダウン競馬場もその1つだ。イギリス・ロンドン近郊にあるこの右回りの競馬場は、直線が800mと長く、それ以上に向正面が長い。

スタートしてから1000m近い向正面を通過し、とにかく急な3、4コーナーを通過すると、その後長い直線が待っている。800mほどの距離があるこの直線は上り坂になっており、各馬を苦しめる。各馬が直線の上り坂を意識すること、向正面で早く隊列が固まってしまうことから基本的にスローペースになりやすいコースで、直線が長いからとはいえ、簡単に追い込みが届かないコースでもある。

例年エクリプスSは3歳馬と古馬がぶつかる夏のチャンピオン決定戦なのだが、今年はコロナウイルスの影響もあって3歳馬の出走が不可となり、古馬のみのレースとなる。経験豊富な古馬が揃うだけにペースが変則的なものになる可能性は低くなりそうだ。それでも女王エネイブルの2020年初戦ということもあって注目度は高い。

ダンシングブレーヴ、オペラハウス、ピルサドスキー、ファルブラヴ、デビッドジュニアなど、日本にゆかりのある馬たちが勝ってきたレースでもあり、ディアドラの好走も期待される。

出走馬&展望

ディアドラ
長期海外遠征2年目のシーズンを過ごしており、ここが約4ヶ月ぶりの実戦。海外転戦9戦目となる。昨年のナッソーSで海外G1初制覇を遂げると、愛チャンピオンS4着、英チャンピオンS3着、香港ヴァーズ4着と、異国の地で牡馬相手に大崩れのないレースを続けている。

前走の今年緒戦、サウジアラビアで行われたモハメドユスフナギモーターズカップは中団からレースを進めて直線伸びたものの、外から追い込んできたバーレーンのポートライオンズに交わされ2着に敗れてしまった。明らかに相手は格下だっただけにまさかの敗戦とも言え、4ヶ月の休養でどこまで状態が良化しているかが鍵となるだろう。なるべく乾いた芝で末脚を生かしたい。

エネイブル
G1を10勝、稀代の名牝の6歳緒戦となる。3歳時に凱旋門賞を勝った馬が6歳まで現役を続けるのは異例。凱旋門賞3連覇を狙った前走は重たい馬場の一戦となり、早めに先頭に立って押し切りを狙ったものの最後はヴァルトガイストに差され2着。歴史的偉業にあと一歩届かなかった。

エクリプスSで復帰するローテは昨年と一緒。9ヶ月ぶりの実戦ながら強豪マジカルを下したように休み明けに関しては特に不安のない馬だけに、凱旋門賞同様、ガイヤースの作るペースに対応できるかどうかだろう。

ガイヤース
昨年のドイツG1・バーデン大賞ではマイペースな逃げを打ち、2着に14馬身差をつけて圧勝した強豪。凱旋門賞こそ重馬場の影響もあって10着に敗れたものの、ヨーロッパの馬にしては珍しく淀みないペースを作る馬で、ハナを切ればとにかくしぶとい。

今年は2月のドバイミレニアムSで復帰すると2着に8馬身半差をつけ圧勝。前走のコロネーションCも大逃げを見せ、コースレコードで逃げ切り勝ち。本格化の気配が漂う。バーデン大賞もコロネーションCも2400m。2000mでエネイブルを封じられるかどうか。

ジャパン
日本でも馬主免許を持つ、キーファーズの松島オーナーの所有馬としてこのレースを走るこの馬は、昨年はイギリスダービーで3着の後、1戦挟んだ後に挑んだ7月のフランスG1・パリ大賞でG1初制覇。続くイギリスG1・インターナショナルSで古馬を撃破し、欧州一線級の力を持つことを証明している。

秋の凱旋門賞では伸びきれず4着、今年緒戦のイギリスG1・プリンスオブウェールズSでは出遅れた影響もあったか伸びきれず4着と惜敗続きだが、直線の長いヨークのインターナショナルSを制している馬。同じく直線の長いシンプルな形状のサンダウン競馬場は合っているのではないか。