競馬YouTuberとして一躍名を挙げ、各媒体に引っ張りだこの佐藤ワタルが、地方&海外レースを展望。若くして人並み外れた知識量、分析力を披露する。
【東京大賞典】今年はサバイバルレース濃厚!混戦で台頭する伏兵はこの馬!
2020/12/28(月)
出走馬&展望
◎ヒストリーメイカー
金沢競馬で勝ち上がり、中央に再転入して出世を重ねた苦労人。まだ重賞勝ちはないが、みやこSで2着の実績を残している。そのみやこSがかなり重たい馬場で、厳しい馬場を問題にせずクリンチャーの2着だったように、タフなダートのパワー勝負は大歓迎というタイプ。
前走の浦和記念は5着も、元々右回りのほうがいい馬。中央転入後、冬場のダートで右回りを走った時は崩れていない。今の大井の重たい馬場でこのメンバーならチャンスがありそうだ。
○オメガパフューム
大井2000mをめっぽう得意とするのがこの馬。長く脚を使えることから、ロングスパート勝負に強い。昨年秋はJBCクラシック2着、チャンピオンズC6着だったものの、得意とする右回りの東京大賞典では力強く差し切り連覇達成。
3走前の平安Sで59kgという重斤量を背負いながら楽に差し切るなど、実力はトップクラス。JBCこそクリソベリルに完敗したが、今回はクリソベリルだけでなく、JBC3着のチュウワウィザードもいない。東京大賞典3連覇の偉業へ視界良好。
▲ウェスタールンド
故障などを挟んでいるため、8歳ながら馬はまだ若い。今年も4戦して全て3着以内。左回り、右回り問わず、全て上がり3Fメンバー中最速の脚を使っている。2走前のエルムSはテンに行けず2着。前走はアクシデントで予定をスライドして臨んだ浦和記念で、小回りの影響もありあと一歩の3着。
左回りのほうが若干良さそうではあるものの、広い大井コースに変わるのはプラス。末脚が生きる今の馬場なら上位。
☆ミューチャリー
今年の川崎記念やJBCクラシックで4着まで来ているように、実力は南関所属馬ではトップクラス。以前は気難しい面を見せていたものの、歳を重ねて競馬の内容が良くなってきている。
左回りの川崎記念でも4着はあるが、より走るのは右回り。クリソベリル、チュウワウィザードがいない今回は十分チャンスがある。勝島王冠など主要ステップを回避したことで、テンションも上がらずレースに臨めるだろう。
△デルマルーヴル
当舞台では昨年夏のジャパンダートダービーでクリソベリルの2着。勝ち味に遅いが相手なりに走れる馬で、今年もマーキュリーC、日本テレビ盃で共に2着。コースを問わない器用さは魅力だ。前走浦和記念こそ反応が鈍く6着に敗れてしまったが、左回りより右回りのほうが更に走るだけに、ヒモとして押さえておきたい。
△ダノンファラオ
今年のジャパンダートダービーの勝ち馬。淀みない流れを2番手で追走すると、直線で前を行くダイメイコリーダを競り落として粘り込んだ。すでに大井実績を持っている点はプラスで、重たい砂も苦にしない。
3走前の日本テレビ盃は太かった分もあり粘りも甘かったものの、使いながら状態は上がってきているだけに、JBCクラシック以上の結果も期待できそうだ。
△モジアナフレイバー
大井生え抜きのエース。その力は中央勢と互角のレベルに達している。今年はドバイ中止の影響でドバイまでカラ輸送となってしまった不運があり、帝王賞は仕上がり途上で完敗。
この秋は良化途上だった復帰戦の千葉ダートマイルを馬なりのまま圧勝。続く南部杯は高速決着の中3着に踏ん張った。前走勝島王冠は引っかかって最後3着に下がってしまっただけに、更なる距離延長で折り合いが鍵になる。
△ノンコノユメ
中央所属時代はフェブラリーSを豪脚で差し切るなどマイルを中心に活躍。昨年の帝王賞でも3着に入り、力のあるところを見せ付けている。
近走は勝ち星まであと一歩のレースが続いているものの、2走前のJBCクラシックはアクシデント明け、前走の勝島王冠は道中包まれてしまって進路を探しながらの2着と敗因はしっかりしている。8歳でもノーマークは危険ではないか。
△カジノフォンテン
3歳春までは気性面の難しさを露呈していたものの、3歳秋に本格化。圧倒的な力を見せて条件戦を勝ち上がった。以前は揉まれ弱さもあって、今年も川崎マイラーズやマイルグランプリといった重賞で4着以下に沈んでいるものの、この秋は更にパワーアップ。以前より競馬のバリエーションが増えている。スローペースならチャンスがあっていい。
プロフィール
佐藤ワタル - Wataru Sato
1990年山形県生まれ。アグネスフライトの日本ダービーを偶然テレビで観戦して以降、中学生、高校生、大学生と勉学に勤しむ時期を全て競馬に費やした競馬ライター。『365日競馬する』を目標に中央、地方、海外競馬の研究を重ねている。ジャンルを問わない知識は、一部関係者に『コンビニ』とまで評されている。早稲田大学競馬サークル『お馬の会』会長時代に学生競馬団体『うまカレ』を立ち上げたり、北海道の牧場などに足繁く通うなど、若手らしい行動力を武器に、今日も競馬を様々な角度から楽しみ尽くしている。現在はサラブレ、一口クラブ会報などでも執筆中。血統派で大の阪神ファン。甘党でもある。