一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
皐月賞はトラストに騎乗
2017/4/13(木)
先週は最後の最後にマイネルビクトリー(4人気)で勝つことができました。馬場に苦労した2日間だったので気になっていましたが、その心配が吹き飛ぶくらい走りが良かった。展開次第で途中から動くことを視野に入れつつも、向正面から流れてくれたので脚がタマって終いに爆発という会心のレースになりました。そして、本当にもう少しだった②着が3回。マイネルネッツ(2人気)は使われて状態が凄く良かった。力を出し切っていますが、馬場の分だけ勝ち馬に残られてしまいました。タックボーイ(5人気)こそ完全に勝ちパターンでしたが……。あの運びで差されるのはなかなか考えられず、勝ち馬の陣営に逆取材してしまったほど。かなり調教も動くということで、よほど能力が高い馬なのでしょうね。アイリーグレイ(3人気)は大跳びでも馬場を克服して頑張ってくれました。勝ち切れなかったのは残念ですが、芝のこの距離では安定しています。
この土曜は中山で10鞍に騎乗します。2Rのコスモクウェンチは前走もしっかりと内容がある競馬でした。馬場が乾いて時計がかかるのは歓迎なので、今週はいい条件になってくれそう。4Rのマイネルヴンシュの前走は、相手が悪かったとしか思えないレース。一戦毎に状態が上がり、競馬に集中して走れているので今度こそ勝たせてあげたい。5Rのブランシュは芝での昇級緒戦。時計がかかる馬場は合いそうで、走りも軽いのでこなしてくれそう。それよりもテンションが上がりやすいので、落ち着かせて臨めるかが課題です。
9Rのマイネルラプティスの前走は、昇級というよりも使い詰めで疲れていたのか外へのモタれがひどかった。休み明けでフレッシュなほうが走れそうですし、右回りに戻るのもいいと思います。10Rのエネスクは調教に乗せていただいて、状態の良さを確認しています。相手なりに走れそうなので、昇級でも頑張ってくれませんか。12Rのメイショウユメゴゼは久々の騎乗ですが、乗りやすくてしっかり走ってくれるイメージ。休み明け2戦目でスムーズに立ち回れればそれほど差はないはず。
日曜も中山で9鞍に騎乗します。皐月賞のトラストは毎日杯後もしっかり調教をやれていて、かなりいい状態であると聞いています。初めての2000mになりますが、経験をさせつつ折り合いも良くなっており、このレースを見据えて厩舎が仕上げてくれているので心配していません。大外枠を引いてしまいましたが、皐月賞に関しては外枠のほうが勝っているようなのでいいほうに捉えます。行きたそうな馬も何頭かいますし、枠も枠なので無理にとは言いませんが、イメージ的には前々で運びたい。クラシックで相手はもちろん強いのですが、この馬も重賞を勝っているので、改めて力を見せられたらと思っています。
4Rのエスティームは、デビュー前の調教で凄くいい走りをしていたことを記憶しています。競馬に行って気持ちが途切れているようなので、持続させてあげられるかがポイントです。6Rのサマニーは未勝利を勝ち上がってからの成績が案外。力はあるので、キッカケになるようなレースを目指します。7Rのコスモバーダンは2度使って着実に状態が上がっています。大型馬で詰めて使えるのは何よりですね。8Rのウインテンダネスは以前に中山、東京と続けて乗せていただいたことがあり、とても器用な印象。1000万なら十分にやれていい馬だと思っています。
9Rのダイチトゥルースは、初めて乗せていただいた前走でイメージどおりの競馬ができました。展開が向いてさえくれればもうひと押しあるかもしれません。10Rのコスモドームは、ハンデ戦のオープン特別で上手く流れに乗れるかどうかが鍵。前走は重賞でも頑張っており、ベスト条件であることは間違いありません。12Rのマイネルメリエンダの前走は、順調さを欠いた後の休み明けが敗因でしょう。中間に跨ってはいませんが、使ってかなり上向いてきたとお聞きしています。トップハンデは力の証明でもあるので頑張りたいですね。
あっという間に2開催続いた中山も最終週。今年は9勝に対して②着が24回もあって、なかなかもどかしい成績が続いています。自分的には中身がある、悪くない②着も少なくないのですが、勝利に繋げないことにはそうも言っていられません。強がりではなく調子もイメージも悪くないので、何とかここらで勝ち星を量産したい。鬼門ではあるものの、次週からの東京開催替わりもいい気分転換になりそうな気がしています。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。