競馬専門紙にて記者として30年余り活躍。フリー転身後もその情報網を拡大。栗東の有力ジョッキーとの間には、 他と一線を画す強力なネットワークを築く平林氏が、現場ならではの視点でレースを分析します。
【ローズS】ここを勝って最強のライバルが待つ京都へ
2023/9/11(月)
このローズSも難関のレースだろう。オークスから直行が3頭。その成長がどれ程なのかは馬体増に現れる筈。そして前走勝ちが10頭も居る。春後半に勝ったのがカーネーションC勝ちのアンリーロードに平場勝ちが2頭。
関東馬のブレイディヴェーグ、栗東に入って調整している。もう1頭がマスクトディーヴァ。3頭ともに馬体増が理想だろう。後の7頭は夏に勝利した馬で好調持続は間違いない筈。
オークスから直行組でレミージュ。春とは稽古の中身がえらく変わってきた。ソーダズリングにラヴェル。ソーダズリングは先週のピクシーナイトとの坂路併せ馬で馬なりといい動き。今週の動きに注目。
王道を歩んできたラヴェル。最強のライバルとの戦いの前のここは負けられぬ一戦か。切り口が多いレースだ。
【セントウルSの回顧】
23年9月10日(日)阪神11R セントウルS(G2)芝1200m)
- テイエムスパーダ
- (牝4、栗東・木原厩舎)
- 父:レッドスパーダ
- 母:トシザコジーン
- 母父:アドマイヤコジーン
2場開催の競馬はゆったり観戦ができる。午前中の阪神新馬戦でインゼルの馬が武豊Jが乗って快勝した。喜ばしいことである。今年も勝ち上がり率は良さそうだ。
中山も阪神も逃げ馬が際どい競馬をしている。セントウルSではどうなるのかとファンファーレを聞く。昼の調教映像を観ていて、ピクシーナイトの動きが時計程でないのに今頃に気づく。まだ本格的に戻ってきてはいなさそうだ。
そのピクシーナイトのスタートが芳しくなかった。躓いた様だ。ヴァトレニにレジェーロが前へ出る。この2頭が先手?と思っていたら、押して押してテイエムスパーダが前へと出て来た。1ハロンにかかる前に先頭に踊りでて内ラチに到達。カーブを利して楽に先手をとる。
ビッグシーザーは3列めの外。ジャングロはそのすぐ後ろの内め。アグリはいつの間にか内に居る。ただ後ろには数頭しかいない。エイシンスポッターがほぼ最後方。前半3Fが33秒台半ばとアナウンサーが言う。極端に早くはない。
大外から前へと出して来ていたモリノドリームが押して押してカーブを迎えるが、その前のテイエムスパーダはまだ楽。直線の後300の赤い棒を過ぎて富田Jはステッキを入れる。ビッグシーザーは一旦2番手に上りかけたが後は伸びず、馬群に沈む。
ピクシーナイトがいちばん外を上がってくるのかと思いきや、内から外へ出して来たアグリがその横へ並び、前に居たスマートクラージュの外を一気に前へ。しかしテイエムスパーダが1馬身前にゴールしていた。33・5で行って33・7で押し切った。
3歳時の小倉のCBC賞で31・8で行き、34・0で上がった事を想えば簡単な事なのか。鞍上の富田Jは特別3鞍を完全制覇。ルメールがやる仕事みたいな大活躍。自身の重賞初勝利を師匠の木原師に5年ぶりのプレゼント。若さ溢れるジョッキーとベテランの渋い騎乗の結末。まるでいい小説を読んだ気がした。
プロフィール
平林雅芳 - Masayoshi Hirabayashi
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、その情報網を拡大し、栗東のジョッキーとの間には他と一線を画す強力なネットワークを構築。トレセンおよびサークル内ではその名を知らぬ者はいないほどの存在。