以前はジャパンカップダートでジャパンカップの前の日に施行されていた。中京へと場所も施行時期も変わってはや10年である。そして以前の中京コースのイメージの逃げ切りが一度もないレースでもある。コパノリッキーでもインティでも逃げ切れなかった難コースとなっている。

去年はダートへ転向して4戦目のジュンライトボルトが勝利。今年で言えばアイコンテーラーがその存在か。武豊Jが間に合わずで鞍上はモレイラ。

しかし何よりも注目はレモンポップだろう。デビューからずっとダート路線を歩む馬。ドバイの敗戦は1200ダートにあったとしか思えない。フェブラリーSに南部杯の勝ちを見るかぎり中京1800が長いとは思えない。

セラフィックコールもダート路線まっしぐらで5戦無敗。3歳馬で57キロが重いのか。一昨年の王者、テーオーケインズの巻き返しは。昨年惜敗のクラウンプライドや他にも面白い馬が多く混戦模様である。

【ジャパンカップの回顧】

23年11月26日(日)東京11R ジャパンカップ(G1)芝2400m)
  • イクイノックス
  • (牡4、美浦・木村厩舎)
  • 父:キタサンブラック
  • 母:シャトーブランシュ
  • 母父:キングヘイロー
  • 通算成績:10戦8勝


スタンドを埋めつくす黒い色。人、人で8万5000人の入場だそうだが、TVに映るその黒い連なりは凄かった。驚いたのは最強ホースとこの時代の牝馬の頂点の馬の対決で馬券的には売れまいと思っていたら、何と前年比、122%だと。当たり前かも知れないが、ファンは強い馬が大好きな様だ。

まさしくショーかの様に独壇場で圧勝してみせるイクイノックス。これが世界の走りだ!と堂々たる抜けだしで、まざまざとその強さを見せつけてくれた。リバティアイランドだから4馬身差だったのか、スターズオンアースだから、そこから1馬身のゴールですんだのか。

残念ながらドウデュースはそこにも及ばずの4着だったが、イクイノックスに続いての上り3Fの脚だったそうだ。思わず《ノーステッキ!》と赤いペンで書きなぐったが、後で映像を観ると後300で左ステッキを一閃していた。驚くのは一旦はリバティアイランドに3馬身近くまで迫られていた感じだったが後100でもうひと伸びして、さらに差を広げているイクイノックスであった。

よくよく見るとルメール、最後まで手綱は押していた。後200に入る前にパンサラッサを捕まえた。そして、まずは左に視線を、オーロラビジョンで後続を確認。少し行った先ではチラっと右後ろを観ている。ダービーでドウデュースにクビ差先着された時が2・21・9。今回は2・21・8でやや強め程度の手応えでゴールインした。

画面はゴールを過ぎてもイクイノックスを追う。祝福の言葉を次々にかけられていたが極めつけは2コーナーあたり。川田Jが差し出した手にルメールが応えていたシーンだ。勝者を称える、これがスポーツの極みである。いい競馬を観させて貰った。名馬と名馬の戦いはなかなか観られるものではない。みんなフェアな競馬で最高のドラマを造ってくれた。このレースを観られた事が嬉しい。記憶に残るいいレースであった。