リスグラシュー

19年6/23(日)3回阪神8日目11R 第60回 宝塚記念(G1)(芝2200m)

  • リスグラシュー
  • (牝5、栗東・矢作厩舎)
  • 父:ハーツクライ
  • 母:リリサイド
  • 母父:American Post

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やっと先手を取ったキセキ。それを交わしかねないリスグラシューの勢い。場内の驚きが画面を通して聞こえて来るかの様な1コーナーへの入りだった。リスグラシューの、いやD・レーンの騎乗だけが目立った宝塚記念であった。
上位に来た馬は終始、前で競馬をした馬だけ。その流れは当然に判っていても動けないもの。それを見事にスタート直後から決断する若く老練な騎乗者。上半期の競馬を一言で片づけるなら、「D・レーンの競馬は凄い!」だけだった・・。

レイデオロが、例によって馬場へ先出し。関西TVで見ていたが、いつもと違って外へ出て来た放送席。その真後ろをレイデオロがキャンターで4角へと進んで行った。落ち着きぶりは今回はましに思えたものだった。TVでも馬体は判るが、全体のシルエットとか雰囲気が良く判らない。だからこそ現場なのであるが・・。そこにいないのが残念だが、逆に冷静に見れるのもまたしかりである。
スタートの瞬間に、キセキが一瞬遅れを取っている。隣のレイデオロが格別速かった訳でもなかろう。出て行ったのはスティフェリオ。だが先手を主張する気はない。内からゴリゴリとキセキが前に出て来た。

だがすでに、画面ではD・レーンが素早いスタートから内の方を見ているのが映る。明らかにキセキを見ていたのだろう。そして一瞬に先行策をめぐらしたのだろう。すっと迷うことなく内へと馬体を寄せていってのカーブとなる。後は前を行くキセキを眺めながらの追走。終始、楽な手応えで競馬をしたのはリスグラシューだけ。
3角過ぎにエタリオウが動きだしたが、カーブで外へ凭れ気味。膨らむ格好で追い上げてはシンドイ。その他の馬の動きはなかったのも当然であろう。
ラップを見て驚く。12.4が4F目にあるだけ。後は押しなべての11秒台に近いもの。スローとは言いきれない淀みのない流れで、後ろの馬が動けないラップの使い方。

4コーナーへ入る時も、3番手のスワーヴリチャードのM.デムーロがステッキを入れているのに、すぐ前のリスグラシューだけが手綱をガッチリと持ったまま。後の馬は押して押していた。
直線に入って来てキセキの川田騎手が先にステッキを入れているのに、D・レーンはまだ何もせず。ラスト1Fを過ぎてから右ステッキを入れて、100mあたりではマックスの追い方。ステッキは10発ぐらい入っただろうか。後ろの馬で一番脚を使ったのが6着のノーブルマーズ。道中で付いた番手のままゴールした馬が多かった。

勝利インタビューが始まった。まずは日本語で『ありがとうございます』とやる。そして通訳を通して馬の仕上げ、大勢のファンの前での騎乗の感謝を語る。最後に『マタキマス』で締めて行った。インタビューとか普段のふるまいは実に大人しい若者だが、あのゴール過ぎてのガッツポーズ。中に秘めている闘志はなかなか。これが世界レベルの技術なのであろう。
爽やかな後味を残していった鞍上だが、競馬自体はノーザンファームのひとり勝ち。キセキ以外の馬で、ノーザンファームの馬が6頭も。この上半期でG1.9勝と聞く。この図に乗らないと勝者にはなれないのが実際だろう・・・。

火曜朝、まずは友道厩舎から。大江助手に話を聞く。『岩田さんが返し馬でノメっていたと言ってました。馬場のいい処へ出すと行きっぷりも良くなるんですが、外々を廻るわけにも行かずで』とマカヒキを。エタリオウも、やはり3角のあの動きなどから馬場も影響もしていた様だったと。坂路のスタンドで池江師にも。『あと200が長いのと、馬場の緩いのも影響しましたね』とアルアインを述懐しくれた。

友道師が言っていたが、土曜の夕方に大坂ではかなりの雨が降ったそうだ。そう言えばどこかの駅で雨漏りのニュースも。発表以上の馬場で、あの流れはスローではなく追走に精いっぱいの流れだったと、異口同音の調教師達。何せ、リスグラシューだけが目立ってしまったが、他の馬が動けない馬場だったのも記憶にとどめたい。