関係者の素顔に迫るインタビューを競馬ラボがオリジナルで独占掲載中!

橋口弘次郎調教師

日本ダービーの勝利を夢見て、挑戦すること20回。ついにワンアンドオンリーの勝利で悲願が成就した橋口弘次郎調教師だが、その喜びは一言では表現できないものであろう。改めてその道程は語っていただく予定だが、意外だったのは、涙ではなく傍目には冷静に立ち振る舞っていたこと。勝利した瞬間の感激と余韻を、多忙な取材攻勢の合間を縫って笑顔で答えていただけた。

悲願の瞬間を冷静に振り返って

-:とうとう20頭目の挑戦で、ダービートレーナーになった訳なんですけれど、いつ先生の目から涙がこぼれるのかと思っていたのですが、結局耐えきれたのでしょうか?

橋口弘次郎調教師:耐えましたね。感極まって、少し出ているところだったんですけど、あの大勢の中で、この70近いオッサンが涙を流す訳にはイカン、と思ってね。

-:意外に冷静な自分がいた訳ですね。

橋:そうですね。それと放心状態になっていたところも、後で考えたらありますからね。

-:先生を傍目で見たら、あんまり音が聞こえていないような感じがありましたもんね。

橋:そうでしょ。ちょっと舞い上がっているというかね。

-:肝心のレースですけれども、懸念していた「自在とは言えなくなってきた」という話をレース前にしていたと思うんですけど、ここで自在性を出してくれてましたね。

橋:あの日のジョッキーが押した時の反応は良かったですね、スタート直後のね。皐月賞の時は反応がなかったから、あの位置になってしまったけど、今回は本当に反応が良く、私が思ったよりは前の位置に付けていましたしね。



-:あとは「480キロ台の馬体重だったら、ニンマリとして良い」というのは、そこはピッタリでしたね。

橋:ピッタリでしたね。理想的な体重でしたね。

-:最後の直線で、皐月賞馬のイスラボニータと叩きあった訳なんですけど、あれはどう見ていましたか?

橋:このデキで叩き合いになったら、追い合いになったら絶対に負けないという気持ちで見ていましたから、いつの間にか立ち上がっていて……。まあ、そういう気持ちを持って応援していましたよ。

-:その瞬間に、待ちに待っていたダービーのゴールが来た訳なんですけど、心境というのは、真っ白になりましたか?

橋:真っ白になったというか、本当についにやったという感じやね。それとやっぱり、親の顔が目に浮かんだね。



-:それこそ本当に感極まるレースでしたね。

橋:そうやね。

-:これからも強い馬を、まだまだ造っていかれますか?

橋:夢の続きが、また新たにできましたからね。

-:2歳馬が元気に坂路を掛け上がっていますから。

橋:2歳馬もですけど、ワンアンドオンリー自身がこれからもね。みなさんもご存じだと思うんですけど、それを求めてこれから努力をするのみですよ。

-:今は敢えて、先のローテーションに関しては聞きませんけども、また秋になって復帰する頃には取材をさせて下さい。

橋:はい、そうありたいですね。

-:念願の日本ダービーの勝利、本当におめでとうございました。

橋:はい、ありがとうございました。

ワンアンドオンリー陣営インタビュー
担当する甲斐純也調教助手の喜びの声はコチラ⇒

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【橋口 弘次郎】 Kojiro Hashiguchi

1945年宮崎県出身。
1980年に調教師免許を取得。
1982年に厩舎開業。
初出走で初勝利
1982年3月13日 1回阪神5日目2R ハクサンレンポー


■最近の主な重賞勝利
・13年 ラジオNIKKEI杯2歳S(ワンアンドオンリー号)
・13年 北九州記念(ツルマルレオン号)
・13年 エプソムC/13年 東京新聞杯(共にクラレント号)


レッツゴーターキン・ダンスインザダーク・ザッツザプレンティ・ツルマルボーイ・ハーツクライ・スリープレスナイトら、幾多の名馬を輩出。これまでに'90年のJRA賞(最多勝利調教師・優秀技術調教師)をはじめ、他にも11度の優秀調教師賞を獲得している。
今年、悲願だったダービー・トレーナーの称号をついに獲得。2016年に定年を迎える名伯楽が、新たな夢に向けて邁進する。


【高橋 章夫】 Akio Takahashi

1968年、兵庫県西宮市生まれ。独学でモノクロ写真を撮りはじめ、写真事務所勤務を経て、97年にフリーカメラマンに。
栗東トレセンに通い始めて17年。『競馬ラボ』『競馬最強の法則』ほか、競馬以外にも雑誌、単行本で人物や料理撮影などを行なう。これまでに取材した騎手・調教師などのトレセン関係者は数百人に及び、栗東トレセンではその名を知らぬ者がいないほどの存在。取材者としては、異色の競馬観と知識を持ち、懇意にしている秋山真一郎騎手、川島信二騎手らとは、毎週のように競馬談義に花を咲かせている。
毎週、ファインダー越しに競走馬と騎手の機微を鋭く観察。馬の感情や個性を大事に競馬に向き合うことがポリシー。競走馬の顔を撮るのも趣味の一つ。

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