2014年最多勝ルーキー!話題の若手・松若風馬が初登場!
2015/1/12(月)
ゲートの速さは練習の賜物
-:明けましておめでとうございます。昨年は関西記者クラブの新人賞と、JRAの最多勝利新人騎手の2つを受賞されました。おめでとうございます。
松若風馬騎手:ありがとうございます。
-:しかも、JRAの最多勝利新人騎手は高倉騎手以来、4年ぶりです。勝ち星も47勝で、文句なしですね。
松:人気馬にも乗せて頂いて、ここまで勝つことができました。周りの方々には、感謝の気持ちで一杯です。
-:それだけトレセンの人たちから愛されている実感はありますか?
松:所属厩舎の音無秀孝先生にも、本当に良くして頂いていますし、スタッフの方々にも応援してもらっています。去年は支えて頂いたおかげで、47勝できたと思っています。
-:どの先生も、所属のジョッキーをバックアップするのですが、47勝は色々なことが噛み合わないとできない数字だと思います。30勝という1つのラインが有りますが、それを大幅に超えて47勝できた理由はどのあたりにあると思いますか?
松:逃げ・先行で、減量を生かしたレースでけっこう勝っていました。これから減量がなくなってきたら、逃げ・先行のレースだけじゃダメだなと思っています。
-:音無先生にはデビュー当初から話を伺っていて、松若騎手の良さに天性のスタートセンスを挙げていました。本人としてはどうですか?
松:競馬学校生の時から、音無先生から「ゲートは上手くなるように」と言われていたので、絶対ゲートだけは上手くなろうと思って練習していました。2歳の時のゲート試験とかも、よく乗せて頂いていました。
-:それは練習して上手くなるものなのですか?
松:本当にたくさん乗せて頂いていたので、練習もできましたし、それが繋がってきたのかなと思います。
-:騎乗停止がなかったことも、評価できるところですよね。
松:危ない騎乗もありましたが、騎乗停止がなかったのは良かったと思っています。それでも制裁はけっこうありました。再教育も受けましたし、運もあるので、もっと攻めるところ攻めないといけませんが、上手く乗ることも大切だなと思います。
-:その上手さというのは、視野の広さなどですか?
松:まだしっかり周りも見えていないですし、もっと落ち着いて乗れるようにしないといけないなと思います。
パワーアップして差しの競馬でも
-:デビューの時に、目標のジョッキーとして内田博幸騎手の名前を挙げていました。内田さんはけっこうパワフルなイメージがあります。今後は筋力面でのパワーアップを目指す気持ちはありますか?
松:僕は体が小さくて軽いので、筋肉もたくさんつけられますし、もっと筋肉をつけて、しっかりと行かせるようにしたいです。
-:まだ当初の47.5キロから変わってないですか?
松:いえ、そんなにないです。44キロくらいです。
-:全然パワーアップできますね。日々のトレーニングはどうですか?
松:トレーニングはしているのですが、もっと強度を上げていかないといけないですね。
-:どんなトレーニングをしているか教えて頂けますか?
松:マシンを使ったトレーニングから、木馬にも乗りますし、実戦に繋がるようなものを普段からやっています。上半身、下半身問いませんが、下半身が大切なので、下半身メインでトレーニングをやっています。
-:もうちょっと身長がほしいという思いはありますか?
松:もう少し伸びたいですね。
-:理想の体重としては、47、8くらいですか?
松:そうしたいですね。
「本当にまだまだ未熟なので、馬群を上手く捌く技術も必要ですし、だからといって、前に行ってばかりでは上手くもなれないです」
-:そうなってきた時の松若風馬というのを、また楽しみとしています。デビューしてから10ヶ月乗られて、ここが良くなったというアピールポイントはありますか?
松:最初よりは、ずいぶん落ち着いて乗れるようになってきています。まだ前や横の馬しか見れていないので、もっと視野を広く、前の前の馬も見られるようにしたいです。
-:先ほど、逃げ・先行の馬で結果が出ていると仰っていましたが、これから年間トータルで活躍しようと思ったら、差し脚質でも絡んでほしい、という思いがあります。減量の恩恵はというのは、逃げ・先行だけじゃなくて、ダートでの最後の伸びなどにも使えそうな気がします。減量以外のポイントはありますか?
松:まずは減量を生かすには、逃げ・先行が一番ですね。
-:差しとなると、乗り手のテクニックも必要になってきますか?
松:本当にまだまだ未熟なので、馬群を上手く捌く技術も必要ですし、だからといって、前に行ってばかりでは上手くもなれないです。しっかり馬の脚をタメて、差してこられる競馬をしないといけませんね。
-:そのためには、前半の折り合いも重要ですか?
松:そのために力をつけて、しっかり御せるようにならないとダメですし、課題はたくさんあります。
-:小さい体からすると合う馬、合わない馬というのはあるのですか?500キロクラスの大きい馬だったら、体を持て余すことはありますか?
松:大きい馬に力負けしてしまう時があるので、もっとパワーアップして、その馬に合った乗り方をしっかりできるようにしたいです。
松若風馬、2015年の抱負
-:装蹄師さんなので、職種が違うとは思いますが、お父さんから何かアドバイスはありましたか?
松:父親から技術や乗る面でのアドバイスは貰ったことがないです。乗ったことがないと思うので、あんまり言わないんだと思います。
-:装蹄師の息子としては、乗る前の蹄を見て、これはどうだなとか思いますか(笑)?
松:それは思わないですね(笑)。
-:それでは、期待が集まる2年目を迎えます。2015年の抱負をお願いします。
松:今年の目標は、通算100勝して、自力で減量を取ることです。
-:凄く高い目標ですね。53勝以上ですね。プラス重賞とかもですか?
松:特別でも、もっと勝っていきたいです。
-:昨年の特別はホープタウン(牡4、栗東・西浦厩舎)で初勝利でした。
松:特別は1勝ですね。1000万下でも1勝しかしてないです。残りは全て未勝利・500万下なので、もっと上のクラスでも勝ちたいです。
-:我々、馬券ファンにアピールするところといったら、今年はこういうところを見てくれというのはありますか?“差す”松若風馬でしょうか?
松:デビュー年は、前に行くという印象がつけられていると思うので、どこからでも競馬ができると思われるような騎手になりたいです。
-:中舘英二騎手みたいなパターンでもいい気もします。
松:自在性が欲しいですね。
-:今年はパワーアップを期待していますので、より一層の活躍をよろしくお願いします。いつまでもニコニコしていて欲しいです。愛されキャラで2015年も突っ走って下さい。ありがとうございました。
松:ありがとうございました。
(取材・写真=高橋章夫、写真=競馬ラボ特派員)
1/12(祝・月)、所属厩舎のプレシャスルージュでV!
新年から目標の一つである特別戦での勝ち星をマークした
プロフィール
【松若 風馬】Fuma Matsuwaka
父の勝さんは装蹄師で、アンライバルドやサクセスブロッケンといったG1馬も担当。身近に馬がいる環境で育った影響で小学生時代にジョッキーを志し、6年生時から乗馬苑に通い始める。競馬学校30期として昨年3月にデビューを果たすと、着実に勝ち星を伸ばし最終的に47勝をマーク。JRA賞最多勝利新人騎手を獲得した。目標の騎手には内田博幸騎手の名前を挙げている。
1995年 滋賀県出身。
2014年に音無秀孝厩舎所属からデビュー。
JRA初騎乗:
2014年3月1日 1回阪神1日目8R サンライズマーチ
JRA初勝利:
2014年3月2日 1回小倉8日目2R トレノカチドキ
【高橋 章夫】 Akio Takahashi
1968年、兵庫県西宮市生まれ。独学でモノクロ写真を撮りはじめ、写真事務所勤務を経て、97年にフリーカメラマンに。
栗東トレセンに通い始めて18年。『競馬ラボ』『競馬最強の法則』ほか、競馬以外にも雑誌、単行本で人物や料理撮影などを行なう。これまでに取材した騎手・調教師などのトレセン関係者は数百人に及び、栗東トレセンではその名を知らぬ者がいないほどの存在。取材者としては、異色の競馬観と知識を持ち、懇意にしている秋山真一郎騎手、川島信二騎手らとは、毎週のように競馬談義に花を咲かせている。
毎週、ファインダー越しに競走馬と騎手の機微を鋭く観察。馬の感情や個性を大事に競馬に向き合うことがポリシー。競走馬の顔を撮るのも趣味の一つ。
■公式Twitter
@aklab0328さんをフォロー