ダートもこなせるF1カーのエンジン

－：蹄鉄に関しては、日本とどういう風に替わるのですか？

鈴：まだ何も決定していないです。最終決定は直前というか、替える時になると思うのですが、馬場も考慮してどうするかは……。まあ、何通りかは準備をしていますので。

－：意気込みの方をお願いします。

鈴：なかなかこういう舞台に立てることもないと思いますし、彼にとっても、この先の競走馬として走っていく上で、すごく大事なキャリアになるレースの一つになると思います。まずは無事にという気持ちが僕としてはあるのですが、こういう機会ですし、世界に向けて、できれば良い意味で注目を集められるような、世界のホースマンたちに喜んでもらえるようなパフォーマンスをしてもらえればなと思います。

－：思い起こせば、去年の香港が終わった時ぐらいには、どうしちゃったんだろう、と心配した人も多かったはずですね。

鈴：いや、あれはあれで良いんですよ。こちらとしては別に、狙い通りの調整で行った訳ですから。ただ、結果論として“違ったな”ということであって、それをチャレンジしないことには幅は広がらないです。逆に言えば、ああいう調整方法ができたということは、それこそ厩舎にとってもプラスですしね。彼の競走馬としてのキャリアの一つとしては、結果だけを見れば、一概に手放しに褒められたものではないのかもしれないですが、やっぱり先々を見て、色々なことを試す方が良いと思います。


「それも通過点というか、沢山の選択肢がある中の一つで、それがジャパンCで、もちろんスミヨンというジョッキーも含めて合致したというだけのことだと思います」

－：ジャパンCの感動というのは、これまで積み上げてきた色々なことを精査しつつ、あそこに辿り着いたという。

鈴：でも、それも通過点というか、沢山の選択肢がある中の一つで、それがジャパンCで、もちろんスミヨンというジョッキーも含めて合致したというだけのことだと思います。

－：改めて、馬の持っている“可能性”という言葉、これはエピファネイアにすごく当てはまると思っています。デビュー時から見ていて、すごく可能性があるというのは素人眼にも分かっていたつもりだったのですが、現実にジャパンCを見た時に、確かにスミヨン騎手がすごいのかもしれませんが、馬自身の驚異的なパフォーマンスの出し方に、こんな可能性があったんだという。可能性があると思っていた僕ですら、あの直線での伸びを見た時に、そこまで残っているのという驚きというのが、鳥肌が立つ思いでしたからね。

鈴：一息も入れずに2400を走りきれてしまうだけのエンジンを積んでいる子なので、それこそF1カーですよ。本当にF1カーらしい競馬をすれば、パワーの要りそうな今のドバイのダートでも十分にこなしてくれるかなと思いますしね。

－：スタミナ、パワー面というのは、見掛け以上に持っている馬ですからね。

鈴：彼の売りはエンジンですよ。それは、本当に間違いなく、ズバ抜けていると思います。

エピファネイア

▲現地時間25日(水)、ダートコースで軽快な動きをみせたエピファネイア


－：そのエンジンを、どこでどう回せるか、回し切れるかというのが？

鈴：それに付け加えて、ギアチェンジであったり、その辺りをもう少しクオリティを高めていくためには、やっぱり有馬記念のような競馬も必要だったと思います。今まで過去を振り返ってみても、そういう細かいところも必要だったんじゃないかなと思いますね。

－：個人的には、荒々しさや、馬の持っている、人が見て恐怖を覚えるムード、その辺のものを、エピファネイアのドバイでも見てみたいなと思います。

鈴：本当に個人的な意見としては、僕もあの子らしさというのはそこにあると思いますし、圧倒的に人を寄せ付けない、ああいう雰囲気が魅力だと思っているので、そういう面を競馬の中のどこかで見せてくれれば良いなと思います。

－：ドバイでも、世界のスーパーホースの中に入って、エピファネイアが平常心でいられるようにサポートしてあげて下さい。

鈴：少ない期間ですが、精一杯普段と変わらずやろうかなと思います。

－：エピファネイアは「やっと、お前はドバイに来たか」と思うかもしれませんね。

鈴：「お前、誰やねん」と言われるかもしれないですけどね、フフフ(笑)。

－：楽しみにしています。出国直前にありがとうございました。頑張って下さい。

鈴：ありがとうございます。

(取材・写真＝高橋章夫　写真＝競馬ラボ特派員)

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