2連勝でいざ桜花賞!成長著しいライジングリーズン
2017/4/2(日)
関東馬では無敗の女王ソウルスターリング中心に報道されている桜花賞だが、例年であれば人気を集めての出走までありえたライジングリーズンの存在を忘れてはならない。初めての長距離輸送など課題は少なくないものの、右回りで坂がある中山マイルは3戦3勝と大得意。脚質から広くて捌きやすい阪神マイルはむしろ歓迎とも考えられる。開業4年目でクラシックに挑む奥村武師に西下への意気込みを聞かせてもらった。
-:桜花賞(G1)に出走を予定しているライジングリーズン(牝3、美浦・奥村武厩舎)について伺います。まずは先生が初めてこの馬を見たときの印象を聞かせていただけますか?
奥村武調教師:最初に見たときは、牝馬にしては骨格がしっかりしているなと思いました。調教でもダイナミックな良い動きを見せていました。
-:見事にデビュー勝ちをおさめますが、振り返っていただけますか?
奥:デビュー戦にたどり着くまでに夏負けを繰り返したりしていたので、慎重に仕上げていきました。そういった状況のなかでデビュー戦を良い状態で臨めましたし、なかなか強い勝ち方をしてくれました。
-:2戦目は重賞のアルテミスSに出走しました。
奥:デビュー戦を使うまでに夏負けを繰り返したようにまだ体質の弱さがあって、アルテミスまでの間隔ではそれほど攻め切れずソフトな仕上げで臨みましたが、重賞では厳しかったですね。デビュー戦のテンションも高かったですけど、2戦目は更に高くてパニックに近いくらいの状態でしたし、気性的にも体力的にも重賞に挑戦するにはまだ少し早かったかなという印象でした。
-:アルテミスS後の過ごし方を教えてください。
奥:アルテミスの結果とレースでの素振りを見て、レース後はひと息入れて、馬がしっかりするまで成長を待つことにしました。その後は馬の様子を見ながら復帰戦をフェアリーSに決めて、12月の頭に帰厩させました。
-:フェアリーSに向けての調整過程はいかがでしたか?
奥:帰厩後は慎重に調整を進めていきましたが、調教量を増やしていってもついてくることが出来ましたし、しっかり攻めることが出来たので馬に体力が付いてきたなと思いました。
-:レースを振り返ってください。
奥:追い切りの段階で良い手応えを掴んでいましたし、面白いのではないかと思っていました。中山マイルで外枠を引いたのでどうかと思っていましたが、関係ありませんでしたね。強い勝ち方をしてくれました。レース後にガクッと来ることもありませんでしたし、体力が付いてきたなと思いました。
-:フェアリーS後の過ごし方を教えてください。
奥:フェアリーSで賞金を加算することが出来ましたし、この先はトライアルを使って本番に向かおうとオーナーと相談しました。トライアルはチューリップ賞かアネモネSのどちらにするか考えて、ムダな輸送をする必要もありませんし中山の実績もあるのでアネモネSを使うことにしました。どこかが痛いということもありませんでしたし、夏場のような弱さもなく順調に調整を進められました。攻めの加減もしやすかったですし、本番に向けてお釣りを残した状態でトライアルに臨めました。
-:アネモネSは振り返っていかがでしょうか?
奥:フェアリーSに続いて今回も中山マイルの外枠でどうしたものかと思いましたが、関係ありませんでしたね。フェアリーSは、テンの流れが少し速くて縦長の展開になったことで恵まれた面もありましたが、それに比べてアネモネSはテンが少しゆっくりで馬群が密集していましたからね。それでもその外を回る形で勝ちましたし、改めて力を付けているなと思いました。
-:この中間はどのような調整を進めていらっしゃいますか?
奥:レース後の1週間くらいは軽めのメニューで調整して、疲れを取ってから乗り出しました。この中間は4本速いところをやって、本番に向かう予定です。
-:今週の1週前追い切りの狙いと動きの評価をお願いします。
奥:レース当該週の調整をしやすいように、今週の1週前追い切りはしっかりやりました。後ろから追いかける形である程度負荷をかけられましたし、今週の日曜も良い感じで調整できそうです。
-:桜花賞の舞台である阪神マイルの適性、また初めての関西圏への輸送競馬になりますが、その辺りの見通しを教えていただけますか?
奥:阪神コースも輸送も初めてですからね。やってみないと分からないので、何とも言えません。やってみないと分からないことをあれこれ考えても仕方ありませんし、自分たち厩舎スタッフは、ライジングリーズンを万全の態勢で送り出すことに集中して仕事をするだけです。
-:先生からご覧になって、現状でのライジングリーズンの良さはどういうところだとお考えですか?
奥:競馬では、長く良い脚を使えるところですね。普段の生活では、カイ食いが良いところです。牝馬とは思えないくらいよくカイバを食べますよ。
-:キャラクターとしてはどんな感じで。
奥:ブラックタイド産駒ですが、激しさがあってディープインパクト産駒みたいに尻ッパネをしたり首を振ったりします。そういう素振りを見せますが、イレ込んでいるというよりは、そうすることで自分のリズムを取っている感じです。元気の良い子ですよ。
-:では最後に桜花賞へ向けて意気込みをお願いします。
奥:勝負に挑む気でいきます。
-:ありがとうございました。
プロフィール
【奥村 武】Takeshi Okumura
1976年東京都出身。2002年に高橋義博厩舎の厩務員として働き始める。翌03年に調教助手となり、国枝栄厩舎に転属。アパパネやマツリダゴッホを担当した。14年に調教師免許を取得し、同年3月に開業。17年にはライジングリーズンでフェアリーSを制して重賞初勝利、既に11勝を挙げるなど、若手調教師のホープとして師にかかる期待は大きい。通算成績は51勝(2017年4月2日現在)。