ミルコ・デムーロの弟が地方競馬で騎乗中!
2011/3/2(水)
クリスチャン・デムーロ騎手
ヴィクトワールピサとのコンビで勝利した先日の中山記念をはじめ、昨年も有馬記念を制するなど、目覚ましい活躍をみせたミルコ・デムーロ騎手。日本の競馬ファンの間でも、指折りのトップジョッキーとして知られる彼の13歳下の弟であるクリスチャン・デムーロ騎手が、現在、地方競馬の名伯楽・川島正行厩舎に所属し、南関東で騎乗を続けている。現在、若干18歳という若さながら、昨年もイタリアリーディングで2位にマークするなど、兄に負けず劣らずの才能を秘めるクリスチャン騎手の素顔に迫った。
-:早速ですが、宜しくお願い致します。お兄さんも過去には、競馬ラボで取材をさせて頂いた事がありますが、まずはジョッキーになられた経緯を教えて下さい。
クリスチャン・デムーロ(以下、C):お父さんも、ミルコもジョッキーでしたし(姉のパメラも現在は調教師)、自然な流れでした。12歳の時には乗馬を始めました。
-:お兄さんがダイワメジャーで皐月賞を勝った際、表彰式に幼い頃のクリスチャンさんが映り込んでいる写真をみかけましたが、これまでどれくらい、日本に来られた事がありましたか。
C:その皐月賞と、08年の有馬記念にミルコがスクリーンヒーローに乗った時や、計3回くらいですね。それほど沢山来ていたわけではありませんよ。
-:今回、短期免許を取得するにあたって、まだ18歳ながら、単身で日本に来るには、なかなか決心は必要だったのではないでしょうか。
C:ノー。できるだけ早く日本に来たかったんです。なぜならば、日本の競馬ファンは熱狂的であることも知っていましたし、競馬のシステムにも大変興味がありました。日本の競馬業界は「スペクタクル!」ですし、もう、ずっと日本に居たい、毎年来たいと思っているくらいです!
-:現在、祖国では、勝ち鞍こそ十分なものの、見習い騎手だけにJRAの免許は取得出来なかったようですが、もう少しキャリアを積んでから日本にこようとは思いませんでしたか。
C:将来的にはJRAでも乗りたいとは思いますが、先日もJRAのレース(クイーンCでスクランブルエッグなどに騎乗)に乗せてもらいましたし、このあと経験を積んでからでも出来る事です。最初からそうは思いませんでしたよ。
-:競馬以外の時間は、言葉もわからない中で生活も大変かと思います。普段はどう過ごされていますか。
C:ショウタロウ(川島正太郎騎手)、マサシゲ(本田正重騎手)、コウタ(本橋孝太騎手)に連絡しています。困ったら彼らに助けてもらっています。
-:日本での食生活も大変かと思いますが、減量で苦労したりはしませんでしたか。
C:全く必要ないですね。カツドンやラーメンもよく食べますし、シャブシャブやヤキニクも好きですし、(船橋競馬場の隣の)ららぽーとのラーメン屋によく行きますよ(笑)。
-:日本に来て、好きな音楽などは発見されましたか。
C:日本ではカラ(KARA)...(笑)。あとはイタリアではよくヒップホップを聴いていました。
-:お兄さんは日本の競馬ファンにもトップジョッキーとして名高いですが、ご自身にとってはどんな存在でしょう。
C:競馬のマエストロ(マスター・先生の意)ですね。今でも騎乗に対する重要なアドバイスを沢山貰っていますし、神様みたいな存在です。
-:競馬を離れたとことでは、どんな方でしょう。
C:とても愉快な人で、全てにおいて同じ感覚で、一緒にいて楽しい人です!
-:日本とイタリアで芝・ダートコースの環境面の違いは感じられましたか。
C:芝は日本の方が整っていますね。ダートはイタリアでは2か所しかなくて、ローマではオールウェザーコースもありますよ。ただ、こちらのダートは本当に砂が深いなとは感じました。でも、芝もダートも問わず、全てに順応出来るジョッキーになりたいと思っています。
-:日本の競馬、特に地方競馬は少し流れが速いと思いますが、海外との違いにどう感じられましたか。
C:やはり、ペースは日本の方が速いですね。もともと日本の競馬全体に興味が好感がありますし、乗り易いですよ。あと、ゆくゆくはイギリスでも騎乗してみたいとは思っています。
-:所属先となった船橋競馬場の印象を教えて下さい。
C:まず、競馬の組織自体がいいですし、沢山勝たせてもらっていて(笑)、大好きな場所ですよ。でも、イタリアでは6時くらいに起床していたのに、たまに朝3時に起きなくちゃならない時は大変です(笑)。
-:所属厩舎の川島先生についてはどう思われましたか。
C:細かくレースやコースについても指示を出してくれますし、とても素晴らしい、本当にトップの調教師だと思います。
日本での騎乗2戦目で早速初勝利を挙げたC.デムーロ騎手
-:クリスチャン騎手は昨年、イタリアリーディングでは2位で、リーディングは、JRAの短期免許を取得して来日中のリスポリ騎手でしたが、彼についてどう思われますか。
C:彼は大厩舎と契約されていましたので、いい馬がよく集まっていましたね。その点、僕の厩舎はあまり有力馬がいないんですよね。ちなみに、年間の獲得賞金では、ミルコが一番でした。
-:賞金の話では、いまイタリアの競馬も不況と聞きました。ただし、南関東もJRAよりは賞金的には恵まれていません。母国にいる時と同じように稼げるのでしょうか。
C:稼げますよ。それにイタリアではビッグレースがなくて、日本にいれば、週に一度はそうゆうレースがある事も大きいですね。
-:南関東競馬で騎乗されて、目についたジョッキーはいらっしゃりましたか。
C:ミカモト(御神本騎手)、トサキ(戸崎圭太騎手)、モリ(森泰斗騎手)、ヨシハラ(金沢競馬から短期免許で騎乗中の吉原寛人騎手)ですね。
-:ジョッキーとして腕を上げるために、毎日されていることがありますか。
C:毎日、朝に調教で沢山騎乗できているし、一週間に一度、サッカーもやって体を鍛えていますよ。
-:サッカーですか。イタリアの方らしいですね。ちなみに、イタリアではどのサッカーチームがごひいきでしょうか。
C:(即答で)ACミラン!好きな選手はズラタン・イブラヒモヴィッチ、アレシャンドレ・パトですね。
-:ちょっと話は逸れてしまいましたが…、ご自身のジョッキーとしてのセールスポイントと、これから勝ちたいレースがあれば教えて下さい。
C:いい馬をみつけることですね(笑)。あとはコースによって、乗り方を工夫することです。将来的にはダービーを一番勝ちたいですね!
-:では、最後に日本のファンへ向けて一言お願いします。
C:いつも応援してくれてありがとうございます。期待に応えられよう頑張りますので応援してください。
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兄は日本の競馬ファンにもお馴染みのミルコ・デムーロ騎手。09年に祖国・イタリアでデビューすると、デビューイヤーは年間45勝。2年目はウンベルト・リスポリ騎手に次ぐ、年間153勝をマーク。 今年はNAR短期免許を取得して、年始から来日。日本での初騎乗となった1月17日に1日2勝をマークする目覚ましいデビューをみせた。船橋の川島正行厩舎に所属しながら日本で腕を磨く。身長は163cm、体重48kg。 |