関東からの刺客を特別レポート
2011/10/9(日)
ピュアブリーゼ&スピードリッパー&レッドエレンシア&アカンサス
~オークス2着馬!ひと叩きで上昇を!~
-:秋華賞に出走を予定しているピュアブリーゼについて、古賀慎明調教師に伺います。よろしくお願いいたします。
古:よろしくお願いします。
-:まずはピュアブリーゼの春シーズンを簡単に振り返っていただけますか?
古:この馬はデビュー前から「良い雰囲気があるな」と感じていて、それを信じてやってきましたので、何とか大きなところに向かう権利を取りたいというローテーションで使ってきました。
-:2歳時に2000メートルの葉牡丹賞に出走されたり、中距離を中心に使って来られていますね。
古:馬は坂路調教で凄い時計を出すように、スピードがあるので、短い距離でも対応は出来ると思っていましたけど、父親がモンズーン(Monsun)というドイツの血統で、日本になかなかある血統ではありませんからね。その血統を大事にしたいな、という気持ちがずっとあったので、ちょっと長めの距離を使ってきました。
-:なるほど。3月には震災の影響もあって阪神競馬に出走して、長距離輸送も経験されました。
古:あのレースは勝てるつもりで強気に行きましたけど、オークス馬のエリンコートがいたんですよね(笑)。その後フローラステークスで3着になってオークスの出走権を得られましたけど、何とか間に合って良かったです。
-:そのオークスは僅差の2着でしたが、レースを振り返っていかがでしたか?
古:スタートをポンと出て、騎手も迷うことなく1コーナーに突っ込んでいって、先手を取りましたけど、あの1コーナーの入り方は完璧だったと思いますよ。あそこでレースの主導権を取って、良い形で運べたと思います。最後はちょっと決め脚の差が出ましたね。
-:オークス後はどのように過ごして来られたんでしょうか?
古:茨城のミッドウェイファームで疲れを取ってから、山元トレセンに移動しました。割りと早い段階から紫苑ステークスに向かうことが決まっていたので、その後北海道へは行かずに、そのまま山元トレセンで調整してもらってから美浦に戻って来ました。
-:秋緒戦に紫苑ステークスを選ばれた理由を教えていただけますか?
古:秋華賞に行く前に1回関東圏でレースを使いたいということと、この馬の気性、性格を考えると、美浦で調教して秋緒戦を迎えたいということがあったので、紫苑ステークスを使うことにしました。
-:その紫苑ステークスは6着という結果でしたが、レースはどのように振り返られますか?
古:休み明け緒戦ということで、馬が道中行きたがったというジョッキーのコメントがありましたけど、そういうところがあったので、あのような結果になってしまったのかな、と思います。レース後は、特に疲労の度合いが大きいということもありませんし、無事に走れたことは良かったと思います。
-:紫苑ステークス後、中間はどのように過ごして来られましたか?
古:一旦、山元トレセンに返してボディチェックをしてもらってから、9月23日にまた美浦に戻って来て、その翌週の28日、30日、2日と坂路で調整をして来ました。
-:昨日(10/5・木)の1週前追い切りでは、坂路で52.6-38.4-25.2-12.7というタイムでしたね。
古:そうですね。時計は、出そうと思えばいくらでも出せますから、あまり気にしていませんけれども、追い切りに乗った土谷助手が「前回とは息遣いの感じが違います」と言っていたので、それを聞いてホッとしました。トライアルを使って、ひと叩きの効果があったんだな、と思ってホッとしましたよ(笑)。
-:秋華賞の舞台、京都内回り2000メートルというコースに対する適性と長距離輸送についてはいかがでしょうか?
古:長距離輸送に関しては、華奢な牝馬なので輸送を心配する声もあるかもしれませんけど、春に阪神遠征を1回経験していて、そのときに特に問題がなかったので心配はしていません。コース適性については、初めての競馬場なので何とも言えませんけれども、トライアルを1回使ったことで仕上がり具合も違うと思うので、今回はそこに期待しています。
-:レースを楽しみにしています。お忙しい中、ありがとうございました。
~敗戦の中にも手応え!厩舎、昨年の雪辱を~
-:秋華賞に出走を予定しているアカンサスについて、畠山吉宏調教師に伺います。よろしくお願いいたします。
畠:よろしくお願いします。
-:まずはアカンサスの春シーズンを簡単に振り返っていただけますか?
畠:そうですね、脚元の問題などはありませんでしたけど、とにかくカイ食いが細い馬で「これ以上細くならないように」ということを気にしながらの調整になったので、春シーズンは馬体維持が大変でしたね。
-:そうだったんですか。
畠:レースを続けて使いたかったんですけど、レース後はまるっきりカイバを食べなくなってしまうので、一旦放牧に出して体を膨らませて、という形になってしまいますからね。カイバ食いがもっと良ければ、追い切り本数を2本、3本と増やして出走させたかったんですけど、どのレースに向かうにしても追い切りが1.5本になってしまうという状況でした。
-:そのような状況の中でもオークストライアルのスイートピーステークスを勝ち、オークスでは7着でした。
畠:向正面で1番人気のマルセリーナが近くにいたので「良い位置なのかな?」という思いと「ずいぶん後ろを走っているな」という思いで見ていましたけど、結果的にあそこは届かない位置でしたね。直線に向いてからもスムーズに進路を取れず、外から内に進路を変えて狭いところを伸びてきたので、それがなければ外を伸びたマルセリーナと同じように、掲示板はあったかなと思います。ただ、もったいないレースではありましたけど、逆を言うと、上位組とはそれほど差がないのかな、とも思いました。
-:なるほど。オークス後はどのように過ごされましたか?
畠:予定通りに山元トレセンに行って、その後は北海道の社台ファームで夏休みを過ごしました。それから美浦に戻って来たんですけど、春先と比べると見違えるようにカイバを食べられるようになったんですよ。
-:それは良かったですね。
畠:そうですね。だから、前走の紫苑ステークスは6着という結果になってしまいましたけど、調整過程としては、春先は体調維持にあれだけ苦労した馬が、意外と普通に調整を進めることが出来たので、その点は良かったなと思います。
-:紫苑ステークスのレース内容は、振り返っていかがですか?
畠:今までは出遅れ気味で、他の馬と一緒に出たことが無かった馬だったので「ゲートはあまり速いタイプではないですよ」ということと、有力どころが前に行くタイプの馬だったので、本番を見据えて「少し前の位置取りを意識してもらいたい」ということをジョッキーに言っていたんですけど、大外枠だったこともあってか、初めてゲートをポンと出てしまったんですよね。
-:あら。
畠:それに加えて「少し前の位置取りを…」と話していたので、ジョッキーも馬を促したんですよね。そうしたらハミがガッツリかかってしまって3コーナーの手前くらいのところまでハミが抜けなかったんです。それを考えると、よく頑張ってくれたなと思います。
-:よく踏ん張った、と。
畠:そうですね。ジョッキーも、レース後に「あれだけかかってしまえば、もっと下の着順でもしょうがない。これで6着だから大したものですよ」と言ってくれましたし、レースが終わった時点で「今回で分かったし、次もお願いします」と言ってくれたので、きっと何か感じる部分は持ってくれていると思います。本番ではそれほど人気にもならないでしょうし、思い切った乗り方をしてくれると期待していますよ。結果的に、トライアルであのような競馬を出来たのは良かったんじゃないかと思っています。
-:紫苑ステークス後の状態はいかがですか?
畠:競馬を使ってカイバ食いがどうなるかと思いましたけど、しっかり食べていて、競馬で減った分は戻って来ているので、今回はレース後、放牧に出しませんでした。それで先々週の週末に坂路15-15をやって、次の週には坂路1本をやって53秒台でしたね。
-:今週の1週前追い切りは、横山典弘騎手が騎乗して、坂路49.7という好タイムでした。
畠:この馬としては体もキッチリと維持出来ていますし、カイバも食べれていますので、今週は厳しい調教をやろうということで、柴山騎手を乗せたポルカマズルカと併せました。
アカンサスが外からポルカを少し追いかけるような形でしたけど、最後1ハロンのところで、アカンサスがほとんど馬なりでスーッと出る感じでした。ポルカが仕掛けて追った分、終いの時計はアカンサスの方がかかっていますけど、アカンサスの方が全然手応えは楽でした。あれで追っていれば、もっと時計も詰まったはずですけど、ジョッキーはレースでポルカに乗っていて力を分かっていますから、ポルカ相手にこれだけやれればいいな、という感触だったと思います。
-:順調ですね。
畠:そうですね。これまで坂路で50秒を切ったことはありませんでしたし、これだけ強く追ったことって今までにありませんでしたからね。追い切り後のカイ食いもまずまず良い感じで来ていますし、来週も、週末から週明けの状態を見てからになりますけど、あと1本は出来ますからね。レースに向けて3.5本の追い切りをやれるなんてことがなかったので、これは大きいと思いますよ。
-:非常に良い感じで調整が進んでいるんですね。その楽しみな本番、秋華賞ですが、京都2000というコース適性と長距離輸送に関してはいかがでしょうか?
畠:初めてのコースなので何とも言えませんけど、アカンサスは大外を一直線に伸びないとダメ、という訳ではなく、どんなところでもヒルまずに突いて来られますし、これまでもそういう競馬の方が多かったですからね。レースはもう横山ジョッキーにお任せします。それよりも、輸送競馬がどう出るか、ですよね。これまでは東京と中山しか走っていないので、長距離輸送の経験がありませんからね。
-:初めての長距離輸送ということで。
畠:そうなんですよ。そのために、事前に栗東入厩をするかどうかという点も迷いました。
-:そうだったんですか。
畠:でも、今はカイバを順調に食べているのに、栗東に行って食べなくなってしまったら、攻め馬を強化していくことが出来なくなってしまいますからね。それもリスクがあるな、ということで、こちらで食べられるだけ食べさせながら、その分攻め馬を強化して、輸送の減り分を計算しながら調整をすることにしました。結果的にこれまでにないくらいに攻め馬も積めていますし、今は美浦での調整を選んで良かったな、と思います。あとは来週の追い切りと輸送競馬を上手くこなして、良い状態でレースに送り出したいですね。
-:では最後にレースに向けて、意気込みをお願いします。
畠:去年のアパパネのような抜けた存在はいないと思っていますし、オークスの内容からも上位陣との力差はそれほどないと思っているので、昨年のディアアレトゥーサで臨んだときよりも、十分にやれるんじゃないかという気持ちです。G1ですから簡単にはいかないでしょうけど、この馬に向く展開になってくれれば、見せ場は十分に作れるでしょうし、それ以上もあると期待しています。
-:応援しています。ありがとうございました。
鹿戸雄一調教師インタビュー後半
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■最近の主な重賞勝利 |
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名門・藤沢和雄厩舎で調教助手として活躍し、ゼンノロブロイをはじめとした多くの名馬を送り出した。 厩舎開業後も順調に成績を伸ばし、10年にはゼンノロブロイ産駒・サンテミリオンでオークスを制覇。厩舎初のG1タイトルを手にした。 11年秋華賞にオークス2着馬ピュアブリーゼを送り込み、厩舎2つめのG1タイトルを狙う。 |
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■主な重賞勝利 |
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祖父がカネケヤキ、カネヒムロ、カネミノブ、カネミカサなどの名馬を輩出した青森牧場のオーナーという環境で、幼い頃から馬と親しむ。 助手時代にヨーロッパ研修を経験。ヨーロッパの良さを参考にしながらトレセンの環境に適応する調教方法を模索、実践する。 11年秋華賞にアカンサスを送り込み、厩舎初となるJRAのG1タイトルを狙う。 |