元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
佐藤哲三騎手、お疲れ様でした
2014/9/18(木)
ただ、努力しても奇跡が起きないこともあるのが現実です。落馬負傷でリハビリを行っていた仕事人佐藤哲三騎手が引退を発表しました。応援してくれるファンのためにも復活を目指していましたが、体は元の騎乗ができるように治りませんでした。私も落馬負傷で、体が元に戻ることなく引退を決断するというのには非常に大きい壁がありました。少しでも馬の上で、ファンの皆様を喜ばしたい。でも、それができない自分を不甲斐なく思い、苛立ったこともありました。佐藤騎手も同じ様な思いをしたのかなと思うと自分と重なり、涙が出ました。佐藤騎手の残した功績はこれからも、受け継がれていくでしょうし、安心して、まずは体を休めて欲しいと思います。本当にお疲れ様でした。
さて、サスペンス予想結果が気になるセントウルSが行われました!残念ながら、予想した馬が名前の中に隠れる枠番に入らなかった(先週のコラム参照)中、レースはアンバルブライベンが先頭争いを制し、少し早いペースになり、1番人気に推奨されたハクサンムーンが2番手につけたのをじっくりと内で、リトルゲルダが見守る展開となり、迎えた直線ではハクサンムーンに競りかけたリトルゲルダが重賞連勝で、逆転サマースプリント王者に輝きました。豹柄の鞍でも有名な丸田騎手が、内でじっくりと豹の様に1番人気の獲物を狙い、見事に捉えたことは、大きな自信になったことだと思います。ハクサンムーンは開幕週で、不利な外枠かつ休み明けと考えると負けたとはいえ、本番に視界良好な結果だったと思います。
今週は3歳牡牝馬共に最後の一冠を目指してトライアルレース、セントライト記念とローズSが行われます。どちらも注目の一戦だけに、目が離せない戦いですが、特に気になるのは、やはり牝馬!中でもオークス馬ヌーヴォレコルトに注目したいです。
前走では激しい戦いの中、勝利した勝負根性と一瞬の脚は、他馬を寄せ付けない強さがあるのではないでしょうか。更にレッドリヴェールにも注目が集まるでしょうね。2頭とも休み明けということを考えると、どの様な戦い方をするのか非常に興味深い戦いになるでしょう。さらに、サングレアルがどれだけ成長しているかでは、順位の変更もあると思います。ハープスター不在の日本3歳牝馬戦線は、まだまだ混戦模様です!
夏競馬も終わったと言うことで、今年のこのコーナーも最後です。ゆきちゃんの気になる新馬!
まだまだ注目馬が続々と出てくる中、夏競馬で新馬を数々紹介してきましたが、この馬がこのコーナーでは最高の一頭になるかもしれません。安田厩舎のサトノフラムです。新馬戦では、抑えたままの完勝で2着のフィドゥーシア(ビリーヴの子)を打ち負かすのですから、他馬の才能とは違う走りだったと思います。またマイルの安田!と言われ、短距離戦線に強い安田隆行厩舎だけに、この馬の未来を皆で見届けましょう!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。