現役関係者コラム

松田幸春の競馬なんでも相談室

今週はイチローの電撃移籍にビックリさせられた週となりました。11年過ごしたシアトルからニューヨークへと舞台を変え、また新たな伝説を見せてくれるのかと楽しみにしつつ、この決断が彼にとって英断だったと結果で示してもらいたいと期待もしています。イチローと言えば、一時期、振り子打法からケン・グリフィーJr.に似せたバッティングフォームに変更した際、テレビで、このような事を言っていました。『フォームを意図的に変えるのは、調子が悪いからであって自然体ではない。自然体で打てることが一番の理想なんだ』と。この言葉にどれだけの努力があり、理想のフォームを自然体でできるようになったのかと考えた際には鳥肌が立ちました。

勿論、彼の天性の選球眼の良さやバッティングセンスもありますが、彼の本当の才能は努力なのだと感じさせられた事を覚えています。さて、そのイチローも活躍したワールドベースボールクラシックは、日本が残念ながら不参加となりましたね。3連続の金メダルにも期待したのですが、それは叶わないことになりました。その変わりと言っては何ですが、とうとう26日から始まるオリンピックで日本のメダルラッシュを期待して過ごしたいと思います。そして、近い内に競馬も各国の代表を出馬させ、国対抗のオリンピックを行なってもらいたいです。その様な夢の話は置いておいて、現実の競馬の話をしましょう(笑)。

先週は中京記念が行われました。レースは私の期待していたレッツゴーキリシマが予想どおりハナを奪う形で早いペースとなりました。さらに、その展開を読んでいたように高倉稜騎手フラガラッハが最後方から馬の力を信じて直線一気を図り、見事に15頭をぶった斬り勝利しました。父デュランダルから受け継がれた爆発的な切れる脚を信じ、見事な勝利は秋のマイルCSへと良い弾みになったと思います。また、減量を卒業した高倉騎手の今後も期待していきたいと思います。


そして遠く競馬の聖地イギリスではキングジョージ6世&クイーンエリザベスSが行われました。日本のダービー馬ディープブリランテが、今までで最高の状態で挑むことができました。レースは人気馬であり、昨年の凱旋門賞馬デインドリームに合わせる形となりました。そして1番人気ナサニエルの後につけ、やや外目にも関わらず馬も良く我慢し、いいペースで周り『さぁここからだ!』と最終コーナーを周った際には他馬に付いていく事ができず、8着へと沈んでしまいました。

勝ったのは社台ファームが半分の権利を持つデインドリームでしたね。しかし強かった。私自身もかなり期待していただけにショックを受けましたが、やはり海外の長い芝や、力のいる馬場などもありますが、一番は世界の力との違いを感じさせられてしまいました。今後のプランも一度、白紙へと戻すようなので、凱旋門賞では日本の怪物オルフェーヴルとスミヨンのコンビに頑張ってもらいたいです。

さて今週は、横山典弘騎手も大好きなスープカレーの街、札幌でクイーンSが行われますね。注目は出走が予定されているミッドサマーフェアです。斤量の軽さも魅力的ですし、何よりあの馬の潜在能力は、中距離でこそ活きるのではないかと思っています。そして、2番手には迷わずアイムユアーズを挙げたいですね。そして、若い娘を蹴散らすかオールザットジャズの3頭に期待したいと思います。

今回の競馬知識は引っかかる癖のある馬に使用するノートン馬銜(Norton Perfection Bit)についてお話します。

鼻革との相乗効果を期待した馬銜で、通常の馬銜の上に鼻革と連結した小さな馬銜がもうひとつ付いていて、通常の馬銜の上を滑るようになっています。騎乗者が手綱を引くと2つの馬銜が開いて馬の口角と上方向に力が加わって馬も口を少しゆずり、スピードを落とさざるを得なくなることから、レース中に引っかかる馬に使用することが多いです。しかし、とてもキツイ馬銜ですので、騎乗者はコントロールすることが難しく、熟練を要する馬銜となっています。