'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
勝利数
1月14日時点1573勝
ジェンティルドンナで劇的V!有終の美を飾った有馬記念を語る!
2015/1/8(木)
持っている馬、持っているジョッキー
-:勝利はどの辺で確信出来ましたか?
圭太:ゴールするまで分からなかったですね。ゴールした瞬間に確信しました。
-:ガッツポーズをするのも珍しいジョッキーです。左手が上がりました。
圭太:そうですね。嬉しかったですね。まあ、色々な思いもありましたから、ガッツポーズでぶちまけてやりましたね、フフフ(笑)。発散しました。
戸崎圭太騎手マネージャー:「ぶちまける」って使い方違うよ。
一同:ハハハ(笑)。
レース直後には左手を掲げガッツポーズ そして、レース後も昂ぶる気持ちを隠さなかった
-:これだけリーディングを独走しながらも「G1を勝っていない」という言われる声も少なからずあったと思います。
圭太:少なくないですよね?多いですよね。
-:じゃあ、沢山あったと思いますし、僕もG1を勝てないジョッキーだと思いもしていないので、悔しい思いはしていましたが、こんなレースで決めたというのは、馬にとってももちろん素晴らしいことだと思いますが、ご本人にとっても凄く意義があるというか、節目になる1勝だったのかなという感じがします。
圭太:そうですね。結果はやってみないとわからなかったですが、あれだけの馬ですし、僕自身本当に不安も何一つなかったので、思いっきり乗ることが出来たというのも凄く良かったと思います。ジェンティルも「持っている馬」だとも感じましたし、沢山の要素や思いが本当に噛み合って勝てた有馬記念だったと思いますね。
「こんな経験は願っても出来ない経験ですし、財産だと思います。あのジェンティルドンナの背中に跨れたというのも、僕にとっては財産になりますしね。何にせよ、ジェンティルには感謝したいですね」
-:ジョッキーも実は「持っている男」だったと。
圭太:う~ん、その辺は感じていないですけど、フフフ。まあ、ジェンティルドンナに助けられましたよ。自分が。何よりもジェンティルが素晴らしかったですね。僕にもG1をプレゼントしてくれましたし、そういう思いです。
-:比較するのは失礼にもあたりますが、2歳のG1を勝つのと、ダービーや有馬記念を勝つのとではやっぱりスケールというか、違いますからね。
圭太:そうですね。違いますね。勝ってより感じました。
-:今回もかなり注目度が高いレースだったと思うので、それを制したというのは、やっぱり大きな経験になるんじゃないかなと思います。
圭太:ええ。それは、したくても、願っても出来ない経験ですし、財産だと思います。あのジェンティルドンナの背中に跨れたというのも、僕にとっては財産になりますしね。これから活かせるモノだと思うんで。何にせよ、ジェンティルドンナには感謝したいですね。
箔のつく大きな大きな一勝
-:レースの話題に戻ると「右回り、右回り」と散々言われていたと察します。改めてそこの走りというのはいかがでしたか?
圭太:右回りが懸念されていた部分ではあるのですが、右回りでもあれだけのパフォーマンスを見せましたし、それは全く問題なくクリアしましたよね。右回りがダメだった時というのは、3歳以降はけっこう馬場が渋った時が多かったので、結果的には馬場が渋ると少し気にするのかな、というのは終わってみて感じましたね。
-:JCの舞台もあれだけ得意でありながら、らしさが見られなかったというところを考えると、当時、騎乗したムーア騎手の談話どおり、馬場が敗因の一つだったということですね。レース後、先生とは何か話をされましたか?
圭太:「この馬はやっぱり凄いな」とは言っていましたね。あとは「勝つべき条件が全部揃って勝てた」ということも言っていましたし、僕のことも褒めてくれましたし、凄く嬉しかったですね。
-:レース後に僕が話を伺っている感触だと、後続はどの馬が来たかというのも、全然把握していない状態だったのですか?
圭太:ハイ。把握していないです。周りを見て追っている訳じゃないですからね。先頭に立っていたのでね。
マネ:基本、騎手は前を見ていますから。ただでさえ夢中になっているから、視界が狭まるし。馬の影とかは分かりますよ。息遣いも聞こえてくるし。道中だって分かんないですよ。
圭太:足音が聞こえていたので、来てるな、というのは感じましたけど、どの馬かは分からなかったですね。
今年は石坂正調教師(右)の管理馬でG1を2勝した戸崎騎手
-:レース後のインタビューもファンの目の前という特別な舞台が用意されていましたね。
圭太:僕も冷静さを失っていましたから、質問と答えが食い違っていたのは分かりましたので、やってしまってるな、という感じのインタビューでした(笑)。
-:“やってしまってるな感”を自分で感じながら受け答えを?
圭太:しゃべっていましたね。それでも冷静になれなかったので、そのまま押し通して。アナウンサーの方も大変だったと思いますが、上手く導いてくれました。
-:引退式も行われて、勝利ジョッキーとしては贅沢な一日でしたね。
圭太:そうですね。良いものですね。引退式はやるということで決まっていて、僕も参加する騎手のうちの1人だったのですが、引退式といえば、大概勝っている騎手が参加するものなので、僕はどういう立ち位置で、どういう気持ちで行けるのかな、というのはありましたけどね。でも、有終の美を飾れて、堂々と胸を張っていけましたよ。
「リーディングだけじゃないと。G1も勝てる騎手だということを分かってもらえたかなと思います」
-:勝った直後ということは要因でしょうが、引退式で「戸崎圭太」という名前が呼びあげられた時は、歓声も今まで以上にひと際あったというか、ファンの見方もこれで一つ変わってきたのかな、という感じは受けましたが?
圭太:そうですね。リーディングだけじゃないと。G1も勝てる騎手だということを分かってもらえたかなと思います。
-:2015年は、今まで以上に期待・注目が高まるはずです。
圭太:そうですね。勝負事なので全て上手くいくわけではありませんし、馬に助けられてのことだと思いますが、この勢いで乗って行きたいですよね。
-:もちろんあの馬に力があることは誰もが思っているでしょうが、勝つ時はこんなにも全てが上手く向くものなんですね。
圭太:そうですね。G1はなかなか勝てるものではないのでね。
-:昨日の結果に付きましては、安藤(勝己)さんがコメントを寄せられていまして「やっぱり普通にリーディングを獲るのと、ああいう大きいところを獲って、勝って締めるのではエラく違うだろうし、これから箔が付くのは間違いない。今後の騎手人生においても相当な影響があるんじゃないか」と話をされていました。
圭太:ありがとうございます!そうだと思いますし、そうありたいですね。
-:なおかつ「自分のレースの予想と結果は大きく違ったけれども、圭太ならエエわ。素直に嬉しい。おめでとう」とのことでした。
圭太:有馬を勝たれた大先輩で、尊敬をされている方ですし、ありがたいですね。
※次回は1月12日(月)に公開!恩師・川島正行師に誓ったリーディング獲得について語ってもらいました!
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有馬記念プレゼンターの石橋貴明さんとポーズ
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。