香港国際競走で海外G1初騎乗!

-:初の海外遠征となった香港ですが、まずは日曜日の方から振り返っていただきたいです。香港カップ(G1)ではステファノス(牡4、栗東・藤原英厩舎)に騎乗されました。

圭太:追い切りも乗せていただいて、順調に来ていると感じていましたね。しかし、レース当日は随分テンションも高いし、汗もかいているなと。僕が乗せていただいてからは、そういうことがなかったので、ちょっと気にはなったのは事実です。

-:そうだったのですね。確かにこの馬はそういうテンションの高いイメージはないですものね。やっぱりそこは、レースに影響をした可能性が大きい訳ですね。

圭太:いや、何とも言えないですが、今までの感じとは違いましたね。

-:スタートをして、割と出して行く素振りが見られました。ある程度、位置を取りたい意識はあったのですか?

圭太:そうですね。先生とも話をして「良いポジションは取って」と。まあ内目を穫れるか否かは外枠だったので、流れや運もあるかなと。しかし、スタートは普通に出てくれているのに、行き脚が全然つかなかったですね。今までとは違うレース振りというか、もっとスムーズにスピードに乗っていけると思ったのですが、むしろ置かれる感じだったのでね。あんなに促さなくても良いタイプのはずなのですが……。

戸崎圭太

-:先生のコメントを見ても「敗因を分析したい」みたいなコメントでした。その裏にはそういうこともあったということですかね。

圭太:それは分からないですが、僕はそう感じています。

-:ストレイトガール(牝6、栗東・藤原英厩舎)はいかがでしたか?

圭太:モタモタしながら位置を取りにいったので、外を回されるし、何か自分の競馬が出来なかったかなと。

-:香港は、結構外枠が厳しいとより感じました。

圭太:厳しい競馬場ですね。

-:直線のカメラを見ていても、内しか撮らないというか、外は関係ないのだなと。

圭太:それは、やってみて本当に感じましたね。外枠でも良いんですよね。良いのですが、やっぱりテンのスピードが速いか、力がズバ抜けているか、そういう要素があれば外枠でもやれるのかなと。

-:エイシンヒカリも外から先行しましたからね。馬場状態はいかがでしたか?

圭太:馬場はもともと力がいる馬場でしょうね。僕は水曜日に行っていたのでより分かるのですが、水曜日が土砂降りで、それが残ったみたいで。雨自体は攻め馬が終わった頃から降りだしたのですが、ずいぶん降っていました。日曜の朝もシャティン競馬場に着いてから朝、歩いたのですが、けっこう緩いというか、重いといいますか……それは感じましたね。

戸崎圭太

▲木曜の調教でストレイトガールに騎乗 場所はシャティン競馬場


-:芝の質自体はいかがですか?

圭太:(丈は)やっぱり長めで、地盤も少しボコボコしている感じはありますね。

-:やはり日本って馬場がすごく手入れされていて綺麗で、ヨーロッパはもっとボコボコしているみたいな話も聞きますものね。他に日本との違いを感じる部分はありましたか?

圭太:そうでもなかったのですが、返し馬が早かったり、検量のやり方が違ったり。パドックも跨ってからの発走時間も早いですしね。あとはゲートボーイが付いているとか。

-:そして、海外の一流ジョッキーが集まっているレースならではといいますか、馬群の密集度はいかがですか?

圭太:いや、大して変わらないです。それにシャティンの方では、馬群に入っていないですからね。だから、どうなのかな……。でも、競馬自体が東京みたいにドスローとか、そういう感じではないので。やっぱり先に行って残っているみたいなのもありますから。

-:レースの雰囲気はいかがでしたか?

圭太:海外ということもあって、パドックからお客さんが近かったり、そこは良かったですよ。スタンド自体は東京競馬場よりは小さいでしょうが、それでも大きかったですし、高さがありましたね。

戸崎圭太騎手マネージャー:ハッピーバレーは相当入っていましたよ。

圭太:そうですね。ハッピーバレーの方が小さいのですが、沢山入っていましたね。

-:そのファンからもけっこう声は掛けられましたか?

圭太:掛けられましたね。日本の方もいましたし、海外の人からも。

-:お~海外の圭太ファンもいたとは。

圭太:名前で呼ばれましたが、俺のファンなのか、馬を応援しているのか分からないですよ(笑)。特にハッピーバレーは日本の方よりも海外の人の方が声を掛けてくれていたので。

-:国際騎手競走なので、ジョッキーをちゃんと観に来た人も多いのかもしれませんね。

マネ:そうじゃないですかね。

戸崎圭太

▲ハッピーバレー競馬場では大雨の中での騎乗となった


見事に海外初勝利!シリーズ3位に輝く

-:しかし、ハッピーバレー競馬場は話題にも出たように、雨がすごく降っていましたね。

圭太:いや~降っていましたよ。

マネ:レースになると降り出すんだよね。それで、終わって合間になったら小降りになって、パドックあたりからまたブワッと降り出して。

-:あれだけの一流どころが集まったジョッキールームの雰囲気はいかがでしたか?

圭太:でも、日本に乗りに来ている騎手も多かったので。

-:たしかにシリーズ出場騎手は、半分くらいが日本で名前を見た人でしたね。

圭太:そうですね。僕も片言ですが話掛けたり楽しかったですよ。トミー・ベリーもいたし、ライアン(ムーア)もそうですし、何か面白かったな。シャティンはウイリアムズもいたね。

-:どんな話をされましたか?

圭太:「返し馬はどっち行くの?」とか。返し馬って言葉がわからないから、ウォーミングアップって言いましたけど、通じたから(笑)。


「香港は調教師さんがシッカリと指示を出しますね。それで「その通りに乗ってこないとすごく怒られる」と聞いていたので、ここは忠実に行こうかと思っていました(笑)。スタートから、位置取り、直線はどこ通るという細かい指示でしたよ」


-:しかし、英会話をやっていなかったら、そういう言葉も出ないかもしれませんからね。コミュニケーションをとろうと思わないかもしれませんし。

圭太:ええ、面白かったですよ。片言ながらむしろ楽しめました。

-:そして、シリーズ2戦目では海外初勝利。おめでとうございます!シリーズ全体でも(総合)3位でしたが、初勝利のレースは負けたとしか思えなかったように映りましたね。

圭太:僕も負けたと思っていましたよ。

-:レース後のコメントを見ていると、ああいう招待レースでも、調教師さんから結構、細かな指示があるのですね。

圭太:そうですね。香港はだいぶ多いといいますか、調教師さんがシッカリと指示を出しますね。それで「その通りに乗ってこないとすごく怒られる」と聞いていたので、ここは忠実に行こうかと思っていました(笑)。スタートから、位置取り、直線はどこ通るという細かい指示でしたよ。

-:4レース乗られて、もちろん4レースとも違う厩舎な訳ですよね。それで、全部そんな感じでしたか?

圭太:そんな感じでしたね。それが香港では当たり前なのでしょうね。でも、僕は、逆に出していただいた方がやりやすい部分はありますよ。どのレースでも。それで、最後レースの先生は中でも怖い方だったようなのですが(笑)、「直線は真ん中を通って来い」と言うのに、一番内に行っちゃったのです。レースから上がっていく時に「これはマズイな~」と思って。しかし、すごく喜んでくれていたので、「あっ、大丈夫だった!」と思って。

戸崎圭太

▲ライアン・ムーア騎手と同着で海外初勝利の戸崎騎手(内)


-:その馬のそれまでの戦績が悪かったからじゃないですか?

圭太:そうです。最低人気くらいで5着に来たから、喜んでいたのかもしれないです。

-:昔は勝っていたのに、最近は勝っていない馬でしたね。じゃあ、その馬にとっては一定のメドは立つ競馬だった訳ですね。

圭太:そうですね。でも、やっぱり外枠だと、先生に「下げて行け」と言われますね。本当に外はダメなのでしょうね。

-:とにかく内を回らないといけない。

圭太:そうですね。

-:「コースのアップダウンが激しい」という話だったと思いますが、そこはいかがでしたか?

圭太:1レース目はやっぱり感じましたね。向こう正面の高低差はけっこうありますよ。(日本の競馬場には)あれほどないんじゃないですか。コーナーも途中で直線になるところがあって、戸惑いましたが、2戦目からは慣れて大丈夫でしたよ。

-:レースを観ていても、乗っている人の視点は分からないですからね。やはり独特でしたか?

圭太:いや、乗るとまた違いますよね。全然別モノだと思いますよ。ただ、地方競馬の経験が活きたかなとは感じましたね。小回りですし、コーナーもキツかったりというのは、すぐに対応出来たんでね。

-:確かに小回りでしたね。一周でマイルもないほどでしたよね。

圭太:だから、必ず直線では内が空きます。4コーナーでみな外に振られて行くので。勝った時も内をすくったのでね。

-:じゃあ、あそこの競馬場は攻略しましたね。

圭太:いやいや、面白いなという感じです。また行きたいなと。ライアンとルメールに聞いたら「あまり好きじゃない」と言っていましたが、むしろ僕は強みに感じられるかもしれません。

-:それは、やっぱり小回りのキャリアの差が出ましたね。

圭太:まあ、出ているのなら優勝しろという感じですけどね。まあまあ、それでも楽しめましたよ。

戸崎圭太

▲ロンジン・インターナショナル・ジョッキーズ・チャンピオンシップで見事3位に


-:来年以降、チャンスがあれば、今年の経験がもっと活きそうですね。

マネ:何年かは続けて行きたいですよね。

-:久々の海外でも、あまり感動はなかったですか?

圭太:う~ん、こういったら失礼かもしれませんが、そういうのはないです。でも、競馬に関してはすごく楽しかったです。香港国際競走で結果が出なかったのは申し訳ないのですが、競馬そのものは充実しました。

-:プライベートな部分はいかがでしたか?

圭太:中華料理が美味しかったですね。「美味しい」とは聞くものの、ホントにどうなの?と思いましたが、本物は繊細といいますか。イメージつかないでしょ?僕もビックリしましたよ。

-:東京の中華屋とは違いますか?(笑)

圭太:何か中華料理って、王道の味じゃないですか。そんなにどこに行っても変わらないみたいな。そういうイメージで行ったのですが、違いましたね。

-:有馬の話題から香港に至るまで、タップリと聞かせていただきありがとうございます。年内ラストスパートも期待しています!

圭太:ありがとうございます。頑張ります!

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※次回は新年1月4日(月)に更新予定です。