除外ラッシュの影響で、適性と違うレースに止む無く出走したり、除外を狙ったら5頭枠に入ってしまったりと不本意なデビューとなってしまった馬も多くなってきている。新馬戦の馬券を買うときには、調教内容やコメントから、そこが本当に予定していたレースなのか見極める必要がある。

それでは土曜日の新馬戦から見ていこう。京都ではダート1200m戦。マレインジェニイ(牡3、栗東・岡田厩舎)は、母が4勝したスマイリングムーン。坂路53秒8-13秒3(一杯)と終いがもう一つだが、除外も頭に入れてのものなので、調教量が足りていないこともあるのだろう。まだまだ時計は詰められる状況だ。

東京ではダート1600m戦。プリンセスノンコ(牝3、美浦・加藤征厩舎)は、母が北米のGⅡ勝ち馬。「古馬と併せてヒケを取らない動き。父の血統からダートは適性が高そうだし、初戦から楽しみ」と加藤征師。鞍上はルメール騎手。1週前調教(以降も、調教は主に1週前のもの)は、ウッド5F69秒台で、終いは1F12秒台。美浦ウッドで12秒台で上がれれば合格点だ。

ジュールドミュゲ(牝3、美浦・尾関厩舎)は、母がミュゲドボヌール(4勝)。1週前の中京マイルを除外されたが、これは予定通り。出走権利を得て、目標のここに照準を合わせてきた。ウッド5Fは69秒後半だが、上がりは12秒半ばの時計を余裕で出しており、動きは上々だ。ヴェスティード(牡3、美浦・高柳瑞厩舎)は、半兄が準オープンまで行ったアドマイヤイナズマ。ウッド4Fから52秒台、上がりも13秒を切っており、水準の時計は出ている。

中京ではダート1400m戦。アルマーズ(牝3、栗東・藤岡健厩舎)は、半姉が桜花賞馬ジュエラー。この馬も先週除外だが、目標は元々こちら。CWで5F68秒、上がりは12秒を切る時計をマークし、初戦から好勝負を期待できる。

日曜日は、東西で貴重な芝のレースが一つずつ。京都では芝1600m戦。オルトシア(牝3、栗東・笹田厩舎)アは、母がJBCレディスクラシックなど交流重賞を6勝した、メーデイア。「母はダートで活躍したが、ディープインパクト産駒らしく走りには素軽さもある。まずは芝を試してどんな走りをしてくれるか」と笹田師。2週前には坂路で54秒4-12秒4、1週前には坂路53秒3-13秒0を楽にマーク。先週除外になっており、そのぶん仕上がりは進んでいる。芝でどんな競馬を見せてくれるか。

アレグレメンテ(牝3、栗東・松永幹厩舎)は、半兄がフラガラッハ(中京記念)、フェルメッツァ(七夕賞3着)、半姉がイリュミナンス(クイーンS3着)。除外を見込んでいるようだが、坂路53秒ー12秒7とソコソコ時計は出ており、もし5頭枠に入っても勝負にはなりそうだ。ディエルベ(牝3、栗東・高橋亮厩舎)は、全姉がペルドメルヴェイユ(現4勝)。母の兄にアサクサデンエン(安田記念)、スウィフトカレント(天皇賞・秋2着)、母の弟にヴィクトワールピサ(G1・3勝)と、G1クラスの馬が並ぶ。3週前にCW5F66秒台、1週前にCW4Fから51秒と、早くから仕上がりは進んでいる。権利は持っていたが、先週は騎手が用意できず回避しこちらへ。ただ来週の翌週の京都2000mに回る可能性もあるようだ。

アンシェンヌヴィル(牝3、栗東・須貝尚厩舎)は、ディープインパクト×ストームキャットのニックス。近親にトレイルブレイザー(重賞2勝)がいる。CW6F82秒台、5F66秒、上がり12秒前半と好時計をマークし、初戦勝ちへ向けて順調に進んでいる。クルークヴァール(牡3、栗東・浅見厩舎)は、クィーンズバーン(阪神牝馬S)の初仔。浅見厩舎のパターンで、1月14日の日曜日に坂路52秒2の速い時計を楽々マーク。母譲りのスピードに期待したい。

東京では芝1800m戦。評判となっているのはグロンディオーズ(牡3、美浦・田村厩舎)。半兄にムスカテール(目黒記念)がいる。「力強い動きで、稽古も先着しているように能力の高さを感じる。血統的に距離もあって良さそう」と田村師。鞍上はルメール騎手。美浦ウッドで5F66秒台は、デビュー前の馬ではかなり速く、動きは絶好。遅れてきたダービー候補となるか。

イルーシヴゴールド(牝3、美浦・大竹厩舎)は2週連続除外で、今回は出走できるだろう。「距離が延びいたほうがいい」と言っていたことから、先週のマイル戦除外はむしろ良かったようだ。ウッド4F52秒台、上がりも12秒台締めており、この馬も好勝負を望める。ディープインラヴ(牡3、栗東・矢作厩舎)は、全兄にダービー馬ディープブリランテがいる。坂路53秒5-13秒4(強め)と調教は目立っていないが、これは除外込みのためで、仕上げを少し遅らせているのだろう。

レジェンドソウル(牡3、美浦・矢野英厩舎)は、母がベストクルーズ(阪神JF3着)。古い競馬ファンにはお馴染み千代田牧場所縁のチヨダマサコの一族で、その中にはニッポーテイオー(G1を3勝)、ビクトリアクラウン(エリザベス女王杯)、タレンティドガール(エリザベス女王杯)がいる。ウッド4F55秒と軽めだが、上がりは13秒だが、まだまだ余力があり変わり身は見込める。

セルゲイ(牡3、美浦・戸田厩舎)は、母がディープ産駒で、母は北米のG2勝ち馬。セレクトセールでは、1億800万円(税込)の値がついた。2週前にはウッドで68秒台を楽にマークし、1週前は芝で65秒台を馬なりと、順調に進められている。除外ラッシュでどこに出走となるか難しいが、今週と来週の東京・芝中距離の新馬戦は楽しみな顔ぶれとなりそうだ。

●1月28日(日)東京2日目 芝1800m
・フィエールマン
・セルゲイ
・レジェンドソウル

●1月28日(日)京都2日目 芝1600m
・アンシェンヌヴィル
・クルークヴァール