無敗馬にスポットライトを当てました(下)…和田栄司コラム

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今月末のアデレードか来月のブリスベーンで20連勝の記録に挑む豪州のブラックキャヴィアですが、管理するピーター・ムーディー調教師は「今年の夏、グッドウッド競馬場のG1サセックスSで、フランケルとこの輝かしい牝馬を一緒に走らせたいと強く思っている」とスカイ・スポーツ・ニューズに語りました。
サセックスSは、昨年カタールの王族アル・サーニ家が所有する投資会社キプコがスポンサーになっていますが、シェイク・ファハド氏は彼の会社キプコを通じ、昨年より70万ポンド上乗せして賞金総額100万ポンドのスポンサーになると約束しました。確かにスポンサーとグッドウッド競馬場がイニシアティヴを取って、フランケルのジャドモント・ファームズ側は全くコメントも寄せていませんが、ピーター・ムーディー調教師だけはかなり乗り気の様子です。
「我々は100万ポンドに動揺はしません。彼女が良いフォームを維持して、そこに行く用意が整えば、我々は真剣に考えるでしょう。それはフランケルにしても同じ筈です。2頭の対決は、近年のフラット・レースでは最大の対決になるでしょう。どちらかが正しいフォームになっていない時は成立しません。仮にそれが実現しないとしても、世界の終わりではありませんが」と話しました。
ピーター・ムーディー調教師は、ブラックキャヴィアがサセックスSで初めて(これまでは1400mまでしか経験がありません)1マイルを試みようとしていることに楽観的です。それは彼女のトレーニングから来る自信のようで、ブラックキャヴィアは例え2000mの距離でも、1600mの距離でもそれなりに強く操縦出来ると考えています。
いずれにしても、ブラックキャヴィアは豪州で20連勝の大記録に挑んだ後、6月のロイヤルアスコットの為に渡英、ゴールデンジュビリーSで初めて世界に飛び立つことが決まっています。

これに対して何のコメントも発していないフランケルは、予定通りシーズンデビューを来月19日、ニューベリで行われるG1ロッキンジSで行うことになっています。
無傷の10連勝に向かうガリレオ産駒の4歳牡馬は、ロッキンジSの後、ロイヤルアスコットに向かい、マイルのクイーンアンSか距離を伸ばしてマイル&クォーターのプリンスオブウェールズS、どちらかに出走することが決まっています。


海外競馬評論家 和田栄司
ラジオ日本のチーフディレクターとして競馬番組の制作に携わり、多岐にわたる人脈を形成。かつ音楽ライターとしても数々の名盤のライナーを手掛け、海外競馬の密な情報を把握している日本における第一人者、言わば生き字引である。外国馬の動向・海外競馬レポートはかねてからマスメディアで好評を博しており、それらをよりアップグレードして競馬ラボで独占公開中。