ルーラーシップがエイシンプレストン以来のQEIIC快勝

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28日、南豪州アデレードのモーフェットヴィル競馬場で、ブラックキャヴィアが近代競馬に於ける20連勝の新記録を打ち立てた。ブラックキャヴィアが新記録達成に選んだレースは、牝馬限定の馬齢重量戦G1スポーティングベットクラシック(芝1200m)、10頭立て。3万人の観客が詰めかける中、ブラックキャヴィアは3番手でポジションを取り、4コーナーを前に先頭に並びかけて早々と勝負を決める。これでデザートキング、グロウミング、米国では未だ記憶に新しいゼニヤタの記録を破る20連勝達成。

ベルエスプリットの5歳牝馬は、これが10個目のG1制覇。2週間後に再びアデレードに戻ってG1グッドウッドSを使い、6月23日ロイヤルアスコット開催のG1ダイアモンドジュビリーSで初の海外遠征を行うことになっている。ワールド・ターフ・チャンピオン・スプリンター、ブラックキャヴィアの動向に目が離せない。

同日、南アフリカのターフフォンテン競馬場ではG1コンピュータフォームスプリント(芝1200m)が行なわれ、ジェイジェイザジェットプレーンが昨年のアルクォーツスプリント以来1年1ヶ月振りにレースに復帰しましたが、最後方から1頭交わしただけの8着と期待を裏切った。対照的に翌29日シンガポールのG1ライオンシティカップ(芝1200m)にフェリックス・コーツィー騎手で出走したロケットマンは、1番枠から先行して全く危なげなく通算の20勝目を勝利で飾っている。

29日、香港シャティン競馬場で行われた国際競走G1クイーンエリザベスⅡ世カップ(芝2000m)は、昨年より5000人多い3万4000人の観客が集まる中、日本産キングカメハメハ産駒の5歳牡馬ルーラーシップが久しぶりに日本国旗を高々と掲げた。

レースは、ダービー馬フェイフェイの先行で始まり、2番手にバリードイルのトレジャービーチ、ルーラーシップはウンベルト・リスポリ騎手とのコンビでトレジャービーチの半馬身差で内3番手の位置取り、朝方に120ミリの降雨があり、馬場は稍重まで回復したもののペースが4ハロン50秒91とスロー、これがルーラーシップに追い風。4コーナーで内ラチ沿いから一気に先頭に立ったルーラーシップは、ラスト400mをメンバー中最速の21秒81で駆け抜け完勝した。QEⅡで日本馬の優勝となると、02年と03年を連覇したエイシンプレストン以来の勝利で、香港での日本馬の優勝となると05年の香港マイルを勝ったハットトリック以来となる。

その香港シャティン競馬場、今週6日はG1チャンピオンズマイル(芝1600m)が行なわれ、安田記念に選出されているUAEのアフリカンストーリー、香港のラッキーナイン、グロリアスデイズ、フェアトレードのレース振りが注目される。


海外競馬評論家 和田栄司
ラジオ日本のチーフディレクターとして競馬番組の制作に携わり、多岐にわたる人脈を形成。かつ音楽ライターとしても数々の名盤のライナーを手掛け、海外競馬の密な情報を把握している日本における第一人者、言わば生き字引である。外国馬の動向・海外競馬レポートはかねてからマスメディアで好評を博しており、それらをよりアップグレードして競馬ラボで独占公開中。