-プロキオンS-平林雅芳の目

トピックス

日曜中京11R
プロキオンS(GⅢ)
ダ1400m
勝ちタイム 1.22.6(レコード)

トシキャンディ (牝6、バブルガムフェロー・美浦、天間厩舎)

※※まさかと、驚きのトシキャンディの逃げ切り・・・・!!

速いのはテイクアベット。この馬が逃げて・・・なんて勝手に頭の中でイメージしてレースを組み立てていた。自宅に帰ってからトシキャンディの成績を調べる。けっこう強いやんか・・・と今頃知る。陣営はほくそえんでいたに違いない。レース前の談話を読んでも《最初の芝でスピードに乗せたい》とある。思い通りの競馬が出来て結果を出せただけの事なのである。それを読めるか読めないかで、競馬ファンの懐具合も違ってくる。ハナから間違った方向へ行ってしまってた多くの方の想いと別に気持ち良く逃げて、最後はアドマイヤロイヤルだけが猛追したが、それでもセーフティリードだった直線半ば。まったく思いもしないレースだと、こうも競馬ってつまらないものだな~と思ってしまった・・。

予報よりも暑くなった中京競馬場。パドックの廻りはそれでもけっこうな人が見つめる。スタジアム形式のパドックで、一番底に馬が周回している。ファリダットが堂々と周回している。その前のデュアルスウォードも負けじ劣らずの好馬体だ。外ではインオラリオが二人引きで廻っている。
オッズ板を見上げる。そのインオラリオよりもアドマイヤロイヤルの方が俄然人気になっている。ファリダット、シルクフォーチュンと1,2番人気は差がない。何ともパドックでは判らないな~と思いながら馬場入場まで見届ける。ダートも芝もけっこう差しが決まっている中京コースだからな~と思う。逃げるのはテイクアベットが速いから・・と、この眼で見たあの阪神での逃げ切りのレースがまだ残っている。それが見事に1ハロンも行かないうちに、エッ、この馬が行けないの・・と自分の読みと違う展開に戸惑う。乗っている人達はどう思っていたのだろうか。

ゲートはどの馬もそんなに悪くなかった様に見えた。そんな中から押して押してトシキャンディが先手を取って行く。外からインオラリオが内からのテイクアベットを見る形で番手でダートに入った。内のテイクアベットが押して2番手に上がったのは、1ハロンはとっくに過ぎて2ハロン近くまで行ったところ。後ろの方はと見ると、シルクフォーチュンが1頭だけ4馬身ぐらい離れて最後方。ファリダットがその1頭前の位置だった。少し縦に長い隊列となっていた。アドマイヤロイヤルは真ん中よりチョイ後ろ。セレスハントが外目にいた。
先頭グループが3コーナーに入って行く時は多少縮まったかの様に見えたが、カーヴを廻ってはまた同じように縦に長い隊列だ。前のグループにはタンジブルアセットが加わって4頭。それを追う好位グループだが、少し離され気味だ。

そして先頭馬群は4コーナーへと入って行く。逃げるトシキャンディに並びかけるテイクアベット。この2頭が内を小さく廻り、インオラリオがカーヴで少しだけ置かれる感じとなる。
直線に入って来た。並ばれたトシキャンディだが、また少しテイクアベットとの差を広げて残り400のハロン棒を迎えた。後続組もかなり追い上げて来ていた。残り200のハロン棒を過ぎる時には、逆にトシキャンディのリードが大きくなる。2番手テイクアベットとの差を3馬身、4馬身と開いて行く。これはセーフテイリードだと思えた瞬間にアドマイヤロイヤルが追い上げて来ているのが目に入る。その外をファリダットと、半馬身遅れてシルクフォーチュンが来ているのも見える。しかしもうゴールはそこまで来ていた。1馬身あるかないかの余裕を残して、トシキャンディが勝利。ファリダットも猛追したが、アドマイヤロイヤルには半馬身届かず。むしろ真ん中に白い馬体、ワールドワイドが喰らいついていた。シルクフォーチュン5着。テイクアベットが6着。

ペースはかなり速いものをマークしていた。1000メートル通過が57.1と芝に匹敵する速さ。1200が1.09.0だ。最後の1ハロンが13.6もかかっていながら残した様に、この粘りは強靭である。最後は接戦になったが、残り50メートルでは誰も届きそうもない安全圏と思えたものだったから。
ちなみにとPVで酒井Jのステッキが何発かと数えてみた。3回ぐらい繰り返し数えてみた。16発かと思える。いや~、連打、連打でありましたが利いた様です。

かくして中京で行われたプロキオンSは、トシキャンディの紅一点、(いや~もう1頭いました)牝馬が果敢なる逃げでもぎ獲った勝利で終わった。
なかなか中京コースはダートも芝も逃げ切るのが難しい様な流れが続いていた。このレースも決して前残りの流れではないのに押し切った様に、お見事な勝利でありました・・。名牝の子供、ファリダットの初重賞もまだ次回へとなった模様でありました・・。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。