シユーマがマイルチャンピオンシップに参戦の意向[和田栄司コラム]

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サンチャリオットSとイーピーテイラーS、G1連勝中のシユーマがマイルチャンピオンシップに参戦の意向を固めている。メディシアン産駒の4歳牝馬シユーマは、10戦して4勝、3着3回の成績を持つ。

シユーマは、9月29日ニューマーケット競馬場に遠征した。春のファルマスS、秋のサンチャリオットSとして知られる3歳以上牝馬による直線のマイル戦で、2番手から先行するラフアウトラウドを残りハーフハロンで捕え、残り30ヤードで2番手に上がって来た吉田照哉氏のイルーシヴケイトの追撃を4分の3馬身凌いで、タイム1分34秒66の好タイムでG1初優勝した。

初のステークス優勝をG1の舞台で飾ったシユーマは、10月14日カナダ、トロントに運ばれ、ウッドバイン競馬場の国際競走、G1イーピーテイラーSに出走する。前走に続いてジェラール・モッセとパートナーシップを組んで、2馬身半差の5番手からレースを運び、直線残り1ハロンで先頭に立ち、後続に1馬身4分の3差を付け、雨の降るグッド表示の馬場、タイム2分03秒04でG1連勝を果たした。

フランソワーズ・ドゥーメン調教師は「彼女は軽い3歳のキャンペーンしか持たなかった。今彼女は追いあげているところだ。私は彼女を京都に連れて行きたいと思っている。サンチャリオットを勝ったことで魅力的なボーナスも捨てがたい。彼女はブリーダーズカップに行くことはない。とても大きな体の彼女は米国のタイトなトラックに向いていない」と話し始めた。

「我々は彼女に合った馬場を求めて、過去に極東でラッキーだったことを思い出した。トロントからの帰りの機中、オーナーとチャットで彼女のプレパレーションを続けて行くことを確認した。我々はジムアンドトニックで勝ったレースを見ている。彼女が香港カップやQEⅡカップを走ることは素晴らしい」と続ける。

「現時点ではとても魅力的なレースに見えるが、それらの全てを勝つことは出来ないだろう。日曜日、彼女は楽に勝てたが、ニューマーケット辺りから著しい成長を見せて来た。彼女が10ハロンのレースばかり使っていると、スローペースになった場合には心配な点もある。彼女はきっとそれを証明してくれると思っている」と話した。

シユーマは3歳時2戦1勝でシーズンを終え、今年は8戦した。3月コンピエーニュ競馬場の一般戦を勝った後、4月トゥールーズで準重賞4着、5月サンクルーのG2コリーダ賞では凱旋門賞を勝つソレミアの1馬身4分の1差3着、7月ニューマーケットに遠征したG1ファルマスS3着の後、8月ドーヴィルのG1ジャンロマネ賞がスノーフェアリーの1馬身4分の3差5着だった。

ジムアンドトニックは香港カップの前身だったG2香港インターナショナルボウルを1998年に勝ち、翌年の4月G1QEⅡカップ、その年の12月G1に昇格した第1回香港カップを勝っている。既にマイルチャンピオンシップ(11月18日京都競馬場)の選出馬になっているシユーマの参戦で、サプレザ以来の活躍が期待される。


海外競馬評論家 和田栄司
ラジオ日本のチーフディレクターとして競馬番組の制作に携わり、多岐にわたる人脈を形成。かつ音楽ライターとしても数々の名盤のライナーを手掛け、海外競馬の密な情報を把握している日本における第一人者、言わば生き字引である。外国馬の動向・海外競馬レポートはかねてからマスメディアで好評を博しており、それらをよりアップグレードして競馬ラボで独占公開中。