ケイアイレオーネ、3歳での初勝利が重賞制覇だ!…平林雅芳の目

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13年9月28日(土)4回阪神8日目11R 第17回 シリウスS(G3)(ダ2000m)

ケイアイレオーネ
(牡3、栗東・西浦厩舎)
父:Henny Hughes
母:モストリマーカブル
母父:Marquetry


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3歳馬が2頭の参戦。1番人気の支持サトノプリンシパルとケイアイレオーネ。共に53キロの斤量は、軽いと言えば軽い。サトノプリンシパルがマイペースで逃げて行くが、2番手のハートビートソングが3角過ぎから早めに馬体を並べてくる。それに耐えきれなかったサトノプリンシパルは、4角手前で脱落気味。今度は4角先頭となったハートビートソング、2馬身ぐらいのリードで逃げ込まんとしたが、残り1ハロンでナイスミーチューに捕まる。そのナイスミーチューのリードも、ゴール前で3歳馬ケイアイレオーネの伸びに屈した。3着にトップハンデのグランドシチー。4着ハートビートソングまで差のない競馬だったが、3歳馬ケイアイレオーネの伸びが目立ったゴール前であった…。


道中は後方の2番手、前に馬を置いて内目を追走させていたケイアイレオーネが、4角で外へ出してから一気に前へと進出。先に抜け出した昨年の覇者ナイスミーチューを捕えての重賞制覇となった。
鞍上の幸Jは、先週の阪神競馬で右足小指骨折で3R以降を乗り替わっていたもの。しかし今週の稽古を元気にこなすタフネスぶり。今日の騎乗ぶりも、過去のレースからやっとケイアイレオーネの力を引き出せた乗り方と思えるもの。2歳で兵庫ジュニアを勝って以来だが、やっと成熟したケイアイレオーネを観た思いであった。

スタートしてすぐにフサイチセブンが外へ逃避、戦列離脱した。あまり出が早くなかったサトノプリンシパルだったが、芝からダートへと替わる地点ではもう楽に先頭に立っていた。外からハートビートソングが2番手に上がる。最初のカーブまで34.8は少し速い入りだが、その後からかなりペースダウンをして行くサトノプリンシパル。グラッツィアがちょうど真ん中、その後ろにナイスミーチュー。最後方は今日が初ダートのスマートギアで、その1頭前にケイアイレオーネが位置していた。
向こう正面に入っても12秒台の後半で楽に行けているサトノプリンシパル。しかし2番手のハートビートソングの行きっぷりがやけにいい。3コーナーは入って行く時には、ナイスミーチューがグラッツィアを抜いて上がる。ここらあたりで前から6馬身ぐらいで、かなり隊列が短くなる。ハートビートソングが徐々に前に進出して半馬身、そしてクビ差まで迫って残り600のハロン棒を過ぎる。

サトノプリンシパルのリードはなくなり追っつけだした。後続も一気に差を詰めて最後のカーブに入る。
ハートビートソングの外へナイスミーチューが上がってきた。グラッツイア、マルカプレジオも続いている。カーブを廻りきって直線に入って、ハートビートソングが抜け出して2馬身ぐらい差を開く。グランドシチー、ナイスミーチュー、そして狭い内をクリールパッションが伸びてくる。
残り1ハロンでけっこうあったリードが、残り100のハロン棒で一気に縮まったハートビートソング。交すナイスミーチューと思った処を外から白い帽子、ピンクと白の勝負服、ケイアイレオーネが一気に来た。ステッキで追ってきていた幸Jだったが、最後は手綱を押してのゴールでクビ先んじていた。

日曜、中山の検量室で、スプリンターズSのサドンストームの仕事が終えて出てきた西浦助手に質問する。《昨日の幸Jの乗り方は指示だったのか?》と。すると《エエ、先生が今まで、マクリのレースをして早めに出て最後が伸びていないから、今回は直線へ向くまで辛抱してくれとの指示を出しました…と。それがズバリ決まりましたね~》であった。やはりあの後ろから行く乗り方は、今までのケイアイレオーネの戦い方と違っていた。道中動かずに辛抱して終いに賭けたものだが、見事な末脚の発揮であった。武豊Jにも聞いたが《決して流れは速くなかったが早めに来られたからね…》であった。

レースの上がりが36.8。ハートビートソングが起点になりナイスミーチューが出て、最後にはケイアイレオーネが終点を迎えた3ハロンのが数字ではあるが、ケイアイレオーネは最後の3ハロンもブービーで通過。35.7の上がり脚を駆使している訳である。これは脅威の数字だ。

やっとこの馬の良さを出し切った陣営。ホッコータルマエとの2枚看板で、これからのダート路線でどれだけの活躍をみせていくのだろうか。そんな勢いをも感じるシリウスSであった…。

平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。