研究員ヤマノの重賞回顧

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4/28日(土)、東京競馬場で行われた青葉賞(3歳、G2・芝2400m)は、中団からレースを進めていた武幸四郎騎手騎乗の3番人気ヒラボクロイヤル(牡3、栗東・大久保龍志厩舎)が、最後の直線で外目に持ち出されると息の長い末脚を繰り出し、ゴール前での叩き合いを制して優勝した。

レースは前走逃げて圧勝したホクトスルタンがハナに立ち、ペースを握った。
淡々とした流れの中、2コーナー過ぎでアクシデントが発生した。
中団に付けていた2番人気ナタラージャがズルズルと後方まで下がってしまった。
しかし、そんなナタラージャを尻目にレースは続行した。
最後の直線に向いたところで各馬一斉に追い出しを始めると、一足先に抜け出したフィニステール、差してきたメイショウレガーロ、トーセンマーチ、ヒラボクロイヤルの4頭での激しい叩き合いとなった。
その中では、外目から追ってきた3番人気ヒラボクロイヤルの脚色が一番良く、15番人気トーセンマーチに1馬身差をつけて、見事、栄冠に輝いた。
3着には6番人気フィニステールが入線。
武豊騎手騎乗の1番人気オーシャンエイプスは7着に敗退した。
それにしても、何といっても悔やまれるのはナタラージャの故障だ。
レース後、残念ながら予後不良との診断が下った。
事故の原因は、コースの窪みに脚を取られたことによるという。
サイレンススズカ、テンポイント…過去にレース中の故障で急逝した名馬は数多いが、このナタラージャの急逝はいかにも早すぎたのではないか。
原因がコースによるアクシデントでは、到底やりきれるものではない。
事故を完璧に未然に防ぐことは不可能なのかもしれないが、不慮の原因によるアクシデントが無くなることを願って止まない。


4/29日(日)、京都競馬場で行われた天皇賞・春(4歳上牡牝、GI・芝3200m)は、中団からレースを進めていた石橋守騎手騎乗の2番人気メイショウサムソン(牡4、栗東・高橋成忠厩舎)が、2周目4角手前で先頭に立つと、外から猛追してきた11番人気エリモエクスパイアの追撃をハナ差凌いで、3つ目のG1タイトルを手中に収めた。
3着にはトウカイトリックが入線した。
安藤勝己騎手騎乗の1番人気アイポッパーは、後方から脚を伸ばすも届かず4着まで。

レースはユメノシルシが果敢にハナを奪い、単騎逃げの形に持ち込んだ。
その後、速いラップを刻みながらレースは進み、縦長の隊列が一気に詰まったのは2週目の3コーナー手前。
3コーナーからの下りでスピードに乗って上がっていく先行勢を、メイショウサムソンが捉えたのは最終コーナーだった。
直線中程で、堂々と先頭でゴールを目指すメイショウサムソンに11番人気の伏兵エリモエクスパイアが襲いかかってきたが、昨年のダービー馬は最後まで先頭を譲る事はなかった。
勝負は写真判定にもつれ込んだが、結局、勝ったのは昨年数々の激戦で揉まれて来たG1ウイナーだった。
メイショウサムソンとエリモエクスパイアは血気盛んな同じ4歳馬だが、伝統の大レースで最後に勝負を決めたのは、経験に裏打ちされた“雑草魂”と称されるメイショウサムソンと石橋騎手の真の底力だったかもしれない。