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スピルバーグ、今日は主演男優賞!天皇賞を制覇!!
2014/11/4(火)

14年11月2日(日)4回東京9日目11R 第57回天皇賞(秋)(G1)(芝2000m)
スピルバーグ
(牡5、美浦・藤沢和厩舎)
父:ディープインパクト
母:プリンセスオリビア
母父:Lycius
天皇賞(秋)の結果・払戻金はコチラ⇒
土曜の雨もほとんど影響のない程に乾いた府中の芝。ビッシリと埋まった10万のファンが見つめた。直線で満を持して追われた1番人気のイスラボニータ。しかしラスト100mぐらいで、一旦交したはずのジェンティルドンナに、内から差し返されていく。
先頭となったジェンティルドンナだが、そう勢いがない。大外を、スピルバーグが完全に勢いが違う脚で上がってきていた。ゴールでは1馬身近い差をつけていた。フェノーメノは直線でまったく伸びずで14着。
毎日王冠組から覇者。それも過去、重賞未勝利だったスピルバーグが、大一番で主役に踊りでたのであった…。
東京競馬場のパドック廻りには、これ以上は無理だろうというくらいの大勢のファン。そして我々でも人と人の間からやっと馬が見れるぐらいで、周回する馬の全体とかなどとてもの込み合い。
早めに切り上げて馬場入りを待つ。フェノーメノの前脚だけで走っていくキャンターの具合に何か《変だな~》とつぶやく。ヒットザターゲットがゴール板前をジャンプする様に飛んでいったのに、思わず声が出る。前で観ていた鈴木淑子さんが後ろを振り返って謝る。《イエ、イエ違うんです》と声をかけても、場内の応援の言葉で届かない。いつも細いぐらいのエピファネイアが太く映る。イスラボニータは逆に細身に映る。所詮、素人の見立てである。
そして大きなターフビジョンに、2000のスタートからのコース等が映し出される。案外に真っ直ぐなんだな~と思う。外枠がそう不利には見えないシュチエーションであったが、実際は違うのだろう…と。
スタートした。カレンブラックヒルが行った。《これでいい。この馬は行く方がいい》と内心思う。すぐにマイネルラクリマが大外から上がって行く。すぐに後続と差が出来る。イスラボニータが外目の好位にいる。《この位置なら外枠の不利なんてなかった様だ》と思うが、すぐ内にジェンティルドンナがいるのに驚く。さすがいいポジションニングだ~…と。わがジョッキーのヒットザターゲットも、五分のスタートを切って内ラチにへばりついている。これは終い弾けてくるぞ…と。
淡々としたペースが続く。エピファネイアがあまりいいスタートでなかった様に見えたが、いつの間にか中団の真中にいて、少し掛かり気味な行きっぷりだ。1000mを通過していく。場内のアナウンスが《60秒7で通過です》と告げる。やはり遅い。
4角で、外からフェノーメノが好位に上がってきて馬群は凝縮されてくる。先頭はカレンブラックヒルでラスト400のハロン棒を通過だが、すぐ後ろのイスラボニータが持ったまま。《いつ追うのかルメールJ!》とタイミングを待っているのが判る。カレンブラックヒルと内ラチ沿いの狭いところを、ジェンティルドンナが入ってくる。
ラスト200mが近づく。イスラボニータが追い出す。瞬時に1馬身は前に出たと思える。内からジェンティルドンナがグングンと迫ってきている。一旦はセーフティリードかと思えたイスラボニータの勢いが落ちだしている。その時に横並びの後続馬群の大外を、あの少し青い勝負服、スピルバーグが1頭だけ違う脚色で馬群から離れだしている。
勢いが前の2頭をも上廻る。隣りで観ていた東京レーシングホースの坂本君が立ち上がる。山本英俊オーナーの馬係りでもあるのだ。思わずこちらも《勝つぞ!、サカモト》と言ってやる。しかし私の眼はその後を見据えている。ヒットザターゲットも伸びてきているのだ。前を交す程の脚色ではないが、悪くない勢いだ。とこまで突っ込んでくるのか!とこちらも腰をあげる。ラブイズブーシェを交したかどうかの4、5着の処だった…。
検量室へと下りる。藤沢和師が、喜びの顔で先頭で馬を待っている。やっぱりヒットザターゲットは5着だった。でも大健闘。《来るな~》と武豊Jの声も弾む。《JC行こう!…》と続く。
喧騒も終えて静かになった検量室。傍にこのレースを観戦していた横山典Jが来た。PVを観ながら話をする。《ルメールはもう少し待っても良かったかな…》と言う。でも絶妙のタイミングで追った様に思えたが…。
スピルバーグは、そう内ラチにへばりつけていない。後ろで内目にはいた。そして4角手前から動いて横一列になった時に、いち早く外へと出して一気に差を詰めてきていた。その瞬間の脚が素早い。
毎日王冠でエアソミュールが勝った時のPVを観ていても、《早めにあそこを抜けられていたら危なかったな~》と思った馬である。それがここで見事に前の馬の流れの中で、一気に差し切ってしまうのであるから…。
やはり関東だった。イスラボニータかと思っていたが、こちらだったとは。そして藤沢和厩舎だ。今年は何か勢いが違うと思っていた。ついに古馬の頂点に立った(外国遠征組を除いて。とりあえず出ていない馬については比較できない)のだ。
平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。
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