熱狂的香港国際競馬[和田栄司コラム]

【天皇賞春】皐月賞は勝ち馬をズバリ推奨！騎手の腕が超重要な長距離G1で絶対に買う1頭

提供：アナタの知らない騎手の世界
26日、香港シャティン競馬場では春の国際競走オーデマピゲQE2カップが12頭立てで行なわれ、グッドトゥファームの堅い馬場、地元のブレイジングスピード(セン6歳/父ディラントーマス)が直線残り150mで抜け出し、混戦の2着争いを尻目に2馬身のリードを取って優勝した。この日の入場者数は前年比5%増の3万1943人、売り上げは昨年同様13億4500万香港ドルだった。

ミスターニョッキが回避した今年のQE2C、人気は豪州クライテリオンが1番人気の2.5倍、ドバイ帰り(1つ前に行われた香港G2ザスプリントカップではペニアフォビアが4着、ラッキーナインが9着)が気になってかデザインズオンロームは3.9倍、その後は香港ダービー4着のヘレンハッピースターが将来性を買われて6.5倍、我が推奨馬ミリタリーアタック9.7倍で続いた。因みに日本から遠征したステファノスは18倍と人気薄。

スタンド前からの発走となる距離2000m、内枠からクライテリオン、ミリタリーアタックが前を伺うが、大外12番枠から出たセイムワールドが1コーナーを廻り主導権を取った。25秒73、51秒90、1分16秒88の予想された超スローペース、クライテリオンは指定席の2番手、3番手は内ヘレンスーパースター、外ミリタリーアタックで併走、その後ろは内にステファノス、外ブレイジングスピード、デザインズオンロームは後ろから2番目の11番手である。

それでもデザインズオンロームのジョアン・モレイラ騎手は3コーナーから仕掛けて行く。一方前の動きは4コーナーで早くも先頭に立つクライテリオン、その外にミリタリーアタックが体を併せて行った。直線、ステファノスはクライテリオンとミリタリーアタックの後ろ、外からブレイジングスピードが来ている。囲まれたステファノスは最内から伸びるヘレンスーパースターとクライテリオンの間にスペースを見つけて追い出した。

残り150m、先頭に立ったのはブレイジングスピード。デザインズオンロームは4コーナーで前団の後ろまで取り付いたが、やはり外に振られる。それでもゴールでは横一線の2着争いに加わった。写真判定の結果は2着にラストストライドで上がったステファノス、短頭差3着にクライテリオン、デザインズオンロームはハナ差4着、同じくハナ差5着にデザインズオンロームを内から交わして一旦前に出たパッキングクアラギブ、その後ろはヘレンスーパースター、ミリタリーアタックと続き、2着争いは6頭が4分の3馬身の中に犇めいた。

勝ちタイムは2分02秒89、1頭抜けたブレイジングスピードのラスト400mの上りはメンバー中最速の21秒86だった。2度チャンピオントレーナーになっているトニー・クルーズ調教師とニール・カラン騎手は初めての優勝。ニール・カラン騎手は「調教師から直線で追い出しを待つように言われた。だから10数えて追い出した」とコメントしたが、ビデオを見る限りでは残り300mから左鞭を多用してる。クルーズ調教師は来月のG1チャンピオンズチャッターカップ(芝2400m)で連覇を目指すつもりである。

QE2Cが終わって今週3日は、こちらも国際G1のチャンピオンズマイル(芝1600m)が行なわれる。今年は外国馬の参戦は無く8頭立ての模様。目下ワールドランキングのトップに立っているエイブルフレンドが登場してくる。シェアードビリーフがその後の調べで右の股関節を痛めていることが判明、全治60日から90日の診断を受けた為、エイブルフレンドはその間1人横綱として競馬界を引っ張って行かなければならない。

メンバー中、エイブルフレンドを送り出すジョン・ムーア調教師は、他にザスプリントカップ2着のダンエクセルを連闘使用、またリワーディングヒーロー、シークレットシャムもエントリーしている。登録馬の中で注目したいのは今年の香港ダービー馬ルーガー、10戦7勝、2着2回の成績が示すように侮れない存在である。チャンピオンズマイルには他、リアルスペシャリストとオールユーウィッシュもエントリーしている。

チャンピオンズカップが行なわれる3日の朝(日本時間)にはケンタッキーダービーが発走する。出否未定だったメイドフロムラッキーに代って、獲得ポイント22のキーンアイス(牡3歳/父カーリン)が出走20頭目に滑り込んだ。いよいよ米トリプルクラウンシリーズのオープニングを飾る第141回ケンタッキーダービーのカウントダウンである。

海外競馬評論家　和田栄司
ラジオ日本のチーフディレクターとして競馬番組の制作に携わり、多岐にわたる人脈を形成。かつ音楽ライターとしても数々の名盤のライナーを手掛け、海外競馬の密な情報を把握している日本における第一人者、言わば生き字引である。外国馬の動向・海外競馬レポートはかねてからマスメディアで好評を博しており、それらをよりアップグレードして競馬ラボで独占公開中。